第107話 あなたの事が知りたくて
その日は、男女二人ずつに別れて眠る事になった。……まぁ、当然だよね。
内訳は私とエリスさんの女性陣がベッドのある寝室、サークとヒューイさんが居間のソファー。ちょっと申し訳無い気がするけど、二人が譲らなかったから仕方無い。
「ふふっ、こんな時なのに何だかワクワクするわ。ヒューイ以外の人と同じ部屋で寝るなんて、久しぶりだもの」
隣のベッドに横になりながら、エリスさんが無邪気に笑う。子供のような、大人のような、本当に物語の妖精のような不思議な人だと思う。
「私も、エリスさんと一緒に寝られて嬉しいよ」
「ありがとう、嬉しいわ! もし私に聞きたい事があったら、何でも聞いて頂戴ね!」
本当に嬉しそうにそう言うエリスさんに、私は少し悩んで。思い切って、気になっていた事を聞く事にした。
「あの……エリスさん。サークが追放されたって、どういう……」
私の質問に、エリスさんの表情が悲しげに変わる。そして、長い睫毛を伏せてこう答えた。
「サークは……あの子は本当に、あなたに何も言ってないのね」
「はい……故郷に関する事は、全部」
「……」
辺りに、静かな沈黙が下りる。その沈黙を破ったのは、やっぱりエリスさんだった。
「……本当は、あの子が自分から言うまで待っててあげたいけど……そうね。あなたがこれからもあの子と一緒にいたいと願うなら、知る権利があるのかもしれない」
エリスさんは、今までにない真剣な表情を浮かべ。ゆっくりと、その話を語り始めた――。