ジャグリング
権之助くんは、ジャグリングをしているおじさんを見つけた。
「おじさん、何をしているの?」
「見りゃわかるだろ、ジャムリングだよ」
「ジャグリングじゃなくて?」
「ん、ああ、それだよジャムリング」
「どうしてこんな道端で?」
「じゃあ、どこならいいんだ?言ってみろ、クソガキ」
「いやあ……」
「いやあ、じゃねえ。自分の発言に責任を持て。これだから最近のクソガキは……」
「おじさん、ジャグリングうまいね」
「こう見えておれはジャムリングの県大会に出たことがあるからな」
「すごいや! おじさん、何位だったの?」
「……座れ」
「え?」
「いいから座れ!」
「……はい」
「『フラペチーノ』って言ってみろ」
「え……フラペチーノ」
「違う! もう一回!」
「フラペチーノ」
「クソガキ! もう一回!」
「フラペチーノ」
「お前な、フラペチーノ飲みたいと思ってねえだろ? お前はただ『フラペチーノ』という言葉の響きの感じで楽しんでるだけ。違うか?」
「……」
「お前のフラペチーノは、『ふふふふーん』の響きだったら何でもいい、ただの記号としてのフラペチーノだろうが! 俺が聞きたいのは、飲み物としてのフラペチーノなんだよ!」
「……」
「クソガキ! なんとか言ったらどうだ!」
「フラペチーノ」
「それじゃない! 今それを促したわけじゃない! もう、ダメだな。お前、フラペチーノ飲んだこともねえんだろ」
「ないです」
「だろうな。俺もない」
「えっ」