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夢の終わりの物語 ~Story of end of dream~  作者: 深水 浅火
オープニング
3/11

五月七日の奇跡(未完)

壁の飛ぶ鳥が描かれたカレンダーに、今日五月七日が丸で括られていた。

なんの日だったろう。なにか意味があったはずだけど。全く覚えてない。暗記は得意じゃないんだよ。


白染蓮真はベッドの上を寝転がりながら悪態をついた。

既に針は数字の1を指さそうとしている。


ゴールデンウィーク最終日は誰と遊ぶ約束もしていない。

今みたいな時間を愛してやまないのだが、どうにも生きた心地がしない。


ぐぅぅと腹の虫がなる。


一人暮らしでご飯を作ってくれる者もいない。不服ではあるが彼は起き上る、


雑に黒いズボンにワイシャツを着て家を出た。財布を忘れて一度戻った。


誰だっけあの子。

蓮真は軽く首を傾げた。

高層ビルの立ち並ぶ通りの一角のファミレス。

ポテトとハンバーグを食べながら、彼の視線は釘付けにされた。

俺はあの子を見た記憶がある。

小中の同級生かなぁ。いや、あんな美人を俺は知らない。

彼の目先には、青黒い長髪が美しい少女が座っていた。異様なぐらい色白で、目鼻立も整っている。不気味なくらいに浮世離れした雰囲気があった。

目、青いな、ジュースを飲みながら彼は思った。ハーフなんだろうか?


ふと、蓮真は自身を振り返る。

このままでは不審者じゃないか。

サッと視線を何気なく戻し、誰もいない正面席と向き合った。


少女は二人組で来店していた。

もう片方は、丁度父親ぐらいの年齢であった。さすがに彼氏ではないだろう。まさかの援助交際じゃ……。

彼は軽く首を横に振った。

馬鹿なことを考えるもんじゃないな、と苦笑した。

結局、昼飯を終えるとそのまま退店した。

いくらなんでも初ナンパがその子の親の目の前とかは怖すぎる。


蓮真は外に出て、スーパーに寄って行った。

今日の晩飯はどうしようか。

うん、そうだなぁ、肉じゃがかなぁ。

彼は食材をカゴに入れた。


スーパーを出た頃は既に日も傾いていた。

蓮真は歩きながら、オレンジに染まるビル壁、通りすがる車を眺めていた。

家への帰路の人影も減ってきている。

特にもこの道は軍事区へと直でつながっているから軍人以外の、学生とかの出入りも元々多くない。だから静かといえば静かなエリアだ。ときたま軍用ジェットがソニックブームをしている程度だし。


家に着くと、蓮真はそうそうに調理を始めた。

面倒臭そうに人参ジャガイモ云々を切り刻み、最後は眠たげに煮えるのを待っていた。


晩飯にありついた時は既に八時を回っていた。

内心で「いただきます」と呟いてから食べる。

寂しい一人暮らしでは、こういう料理なりでそういう気を紛らわせるのは得策と言えた。

それに自分で作った料理は三割り増しで美味しく感じる。


テレビは連日の異能消失事件を取り上げていた。

正直蓮真にはあまり関心がなかった。

正確には、自身の街でこんなことが起きている実感が湧かなかった。








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