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夢の終わりの物語 ~Story of end of dream~  作者: 深水 浅火
オープニング
1/11

夢の始まり、世界の終わり

ふと気が付くと、と真っ暗な闇の中だった。なにもない、吸い込まれそうな暗闇。あるいはすでに吸い込まれていて自覚がないだけか。

なんだろう、あまりに現実感がない。

夢だろう、夢に違いない。そうじゃなければ困る。

「……なんだ、あれ?」

遠くに白い点がある。

明かりだろうか。段々大きくなってくる。

思った次点で気づく、あれは近づいてきている。もう遅かった。

いきなり、眩い光が俺の瞳に襲い掛かる。痛みを錯覚して、つい屈みこむ。


顔を上げると、闇の世界は青く染まっていた。

終始意味が分からないが、夢なんだからしょうがない。

目線を落とし、ふうと溜息をつく。

呼吸が止まる。

目下には小さな街があった。青く茂る森があった。切り立った峰々すら背が低く見える。

ここは遥かな天空だった。

足がすくみ、体が動かない。

何より驚くべきことは、今の自分が空を浮いていることだった。

夢にしたって、やけにリアルだ。

流れる風が肌を撫でているのが分かるほどだ。

頭上には燦然と太陽が輝いている。

真下の三角コーンみたいに尖った山から、なにかが飛んできた。

今度も白っぽい点だった。少し青味がかっている。

鳥か?

例の如く、気づいた時にはすでに遅い。

異様に発達した翼と、整列した銀の大鱗。

比較的爬虫類的な骨格と、それだけに留まらない神秘。

見間違えようもなく銀色の竜だった。

竜は俺に向かってジェット機みたいに飛んでくる。

なにがどうなっているんだ。

このままでは死ぬ。死ぬがしかし、体はなおも自由に動かない。金縛りにあっているみたいだ。

まずい衝突する。

思わず目をつむると、ぞわりと何かが体を通り抜けた。

目を開き後ろを振り向く。

そこには俺など気にも留めず悠々と空を旋回する竜の姿があった。

まもなくして竜は巨大な雲海の中へ消えてしまった。

「なにがどうな──んっ!?」

今度は唐突なめまいに襲われた。

車酔いなんかよりもよっぽど気分が悪い。

ぐらつく視界。

瞬間、世界が一転した。

白亜のビルが立ち並ぶ街。交差点。

遠くに俺の通う木之舞高校の校舎が見える。ということはここは特区だろうか。

数多の人の群れが忙しなく十字路を渡っている。

夢だけあって流石の脈絡のなさだった。

「……あ!」

俺は発見した。

少し先の歩道橋の脇、そこで女の子と楽し気に話している男子生徒を。

彼は手入れのない無造作な髪型で、木之舞高校のブレザー、制服を着ている。

要するに俺がいた(・・・・)

いよいよ可笑しな展開になってきた。

もしや幽体離脱しているのか、とも思ったが、ならなぜもう一人の俺は眠っていないのか。

もしやドッペルゲンガーか、とも推理したがそれはさすがに馬鹿げている。

まあそもそも言えば、夢の内容がまともなワケはないのだが。

次いで、意識はもう片方の少女に向けられた。

白いワンピースに漆を塗ったような黒髪が映える。東洋人かと思ったが、顔立ちは寧ろ西洋寄りだった。絵の中の人物みたいに整った顔をしていて、青い瞳が印象的だった。

こんな美人とお近づきになった記憶どころか、テレビで眺めた覚えすらない。

不思議でならなかったが、最早考えるのも疲れてきた。


不意に横の電光掲示板が目に入ってきた。

その内容の一つだって知らなかったし、興味もなかったが、板の右上の数字に意識を奪われた。

2099年、五月七日。

俺の記憶が正しければ、今は2098年12月31日つまり大晦日だ。

あまりにも稚拙な論理だが、しかし脳裏をよぎる。

これは、未来、なのか。



そう思った矢先。

俺は夢から目が覚めた。









 
















OP終了です。

これから世界観をより広げてけるよう頑張っていきます。


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