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7.子馬を乗せて

歌詞の部分を念のため、一部削除しました。


「ふんふん〜♪〜〜〜子馬を 乗せて〜♪」


「やめねぇか!坊主!なんじゃいそのおっそろしく暗くて悲しい歌は!お前さん売られんのか?俺に売られんのか⁈」


真昼間雲一つない晴天!空は青く周りは見渡す限りの草原!


なんて素晴らしい日だ!最高の旅日和だっ!と思ったのも、1時間くらいが限界だった。


「だってさ〜おっちゃん。ここ狭いし、硬いし、なんか臭い……。」


「黙っとれ、バカモンがー!街まで行くのにどうしてもって、お前の親父のリカートさんが言うから乗っけてんだろうが!それを1時間で暇持て余しおって」


おっちゃんがぶつぶつと、文句を言っている。


このおっちゃんは、村に行商で2ヶ月に1回物資を運んでくる行商人。


護衛の2人の冒険者を加えて、村からの物資を積み込み、迷宮都市ラビエーニに向かっている。


「って言ってもな〜」


意識化でスキル《メニュー》を発動し、《ちず》を起動する。


この《ちず》の能力は探査とマップ。

って言ってもこのスキルの熟練度はまだまだ低く、精々半径5mの地図が更新されて行くのみ。


条件を入れれば、その範囲内もしくは1度行ったことがある場所。

ようは地図上で空白になっていない場所であれば、探索可能。


ただしこれも半径5mまで。だから今の時点では、探したい辺りを、プロットして細かく探す必要がある。


「まぁ行く必要がないから、それはそれで便利なんだけどね。おっ?前方から魔物の気配」


馬車の後ろから顔を出し、前を覗き込むと前方に3匹の狼型の魔物(リトルグレイウルフ)がやってきていた。


「おっちゃ〜ん。魔物〜」


「わーかっとるわい。こんな草しかない場所でただ突っ込んくるやつは、2人でなんとかなるわい」


「わかったー」


一応了承はしたが、念には念を。


「《メニュー》《そうび》装備2選択っと」


これが《メニュー》3つ目の能力 《そうび》。


最初はただ装備を道具入れではなく、こちらに入れるだけかと思ったけど大間違いだった。


この《そうび》の能力は瞬間換装。

事前に登録していた装備に瞬間的に換装してくれる。


ちなみに

装備1

胴体 布の服

武器

右手

左手

帯 腰帯

足 布の靴

その他1

その他2


装備2

胴体 布の服

武器 短剣

右手

左手

帯 腰帯

足 布の靴

その他1 胸当て

その他2 石袋


やり方は簡単。その装備を着て登録するだけ。


今の格好は右手に短剣。元々の布の服の上に父さんからもらった胸当て、そして腰帯の右腰あたりに、少し大きめの石を入れてある石袋を巻きつけてある。


最初は頭・胴体・足しかなかったから、こちらも熟練度アップのお陰で、細かく指定できるようになった。


毎日、無駄に装備チェンジを繰り返してた甲斐があったね。


「ウォーン」


3匹のリトルグレイウルフが遠吠えと共に、速度を上げる。


こちらの護衛は2人纏まって相手を出来れば良いが、少しウルフ同士の距離が空いているところを見ると、1匹は分かれて来るのだろう。


おっちゃんは街道に一旦馬車を留め、幌の紐をしっかりと結ぶ。


幌には動物の革が掛けられている為、直ぐには商品を傷付けられることは無いだろう。


腰の石袋から大きめの石を取り出し、分かれた1匹のウルフの額に狙いを定め、スキルの《投擲》を意識する。


そうすることで熟練度に応じて、自然に狙いが定まり外れる気がしなくなる。


実際に的を狙って、外したことがない。


この国でスキル至上主義の理由が、おそらくこれだろう。


このスキルを使っている感覚が万人の常識であるならば=スキルがなくては出来ない。と思ってしまってもしょうがないことなのだろう。


さぁこの12年、これしか出来なかった投擲の威力を、しかと見よ!


「ガァー」


オーバースロー気味に振りかぶり、全力で投げた石がウルフの額を鮮血に染める。


ピンポイントで眉間に当たった石は、基礎的な筋トレしかしていなかったこの身体でも、充分な威力を誇っていた。


「助かった!」

「……すまない」


2人の護衛の冒険者が、同時にこちらに礼を言う。

冒険者も1対1の状態で集中出来るようになったため、リトルグレイウルフを瞬殺していた。


その後、額を割られ苦悩するウルフにとどめを刺し、3匹のウルフを解体し始めた。


「坊主!助かったよ。最悪1匹くらいは馬車に噛み付いてくるかと思ったがな。今回の礼に入街税はこちらで持とう。銀貨5枚だがそれでいいか?革は貰うけどな。」


「おちゃん太っ腹!勿論十分だよ。儲け儲け」


なんたって銀貨20枚が全財産だからね。

入街税で5銀貨取られないだけで、大助かりだよ。


しかし、村ではあまり近くに寄らせてもらえなかったが、魔物の解体も、獣の解体も似たようなもんか。


お腹側から正中線沿いに腹を開けて、そこから毛皮を剥いでる感じだ。


「あれ?護衛のお兄さんウルフの肉は食べないの?」


解体し、牙や爪、毛皮が取り除かれたリトルグレイウルフの死体は見事に肉だけがそこに残されていた。


そういえば、村では魔物の処理がどうなってるか、教えてもらってないな。


「えっ?知らないのかキミは?魔物なんか食べたって美味しくないんだ。毒があるわけではない。ただ単純に恐ろしく不味いんだよ……」


どうやらこの護衛の冒険者2人も、興味本意で魔物の肉を切って焼いて食べてみたが、それは酷い味だったと苦悶の表情を浮かべていた。


「そう。何ですか……。」


「あぁ機会があれば試してみるといい。一生忘れられない味だよ。あれは」


護衛の2人は、悪戯っ子のような笑みを浮かべ、解体の仕上げに戻っていったが、心臓あたりから赤い小石を取っていた。これが獣と違う点、魔晶の摘出か。


このリトルグレイウルフからは、小指の先程の小石のような魔晶が心臓付近から摘出されていた。


「ほれ坊主」

そして解体しこちらへ向くと、親指で魔晶を僕の胸元に弾いた。


「えっあ ありがとうございます」


冒険者にとって魔晶は素材の単価で言えば、一番高い素材となるが、この冒険者は1匹は僕が仕留めたとカウントしてくれたみたいだ。


「おう!とっとけとっとけ。記念の魔晶だ!」

「……記念だ」


初めての魔晶を、腰の石袋に入れるふりをしながら、《メニュー》から《どうぐ》を意識し魔晶をしまう。


これが固有能力4つ目の能力 《どうぐ》。


この《どうぐ》の能力は、アイテムストレージ。

アイテム10種類各100個 2m×2mまで、生きていなければ保存できる。


初めは時間停止は出来なかったが、今では停止も倍速も可能。

つまり保存も熟成も可!種類も50種類は入る。


今後も、他のスキルと同じように使っていけば、育つだろう。


《メニュー》

しらべる

どうぐ

ちず

そうび


これが僕の、僕の料理人としての4つの力。


「さぁ坊主後1時間程で迷宮都市 ラビエーニ だ行くぞー」


「おー‼︎」


読んで頂き有難うございます。

やっと迷宮都市に入ります。これからもよろしくお願いします。

ブックマーク&評価頂ければ嬉しいです。

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