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63.少女の今後は?

ギルドにて、ミリネさんとその後呼び出されたギルド長へ事情を説明し、冒険者ギルドとしてのグスト達への対応を任せた後、立ち去ろうとしたタイミングで、ミリネさんに塩の事はまだ待って欲しいと言われた。


「大丈夫ですよ。別に焦っていませんし」


「ありがとうございます。正直、少し上層部の中で意見が分かれてまして……」


そういうミリネさんの顔を見れば、何に揉めているのかがよく分かる。


ギルドの利益最優先組と、僕の利益を考えてくれるギルド長他が揉めているのだろう。


ギルド長を見れば、両手を上に向け困ったもんだ。と無言で表現していた。


「あぁそうそう。今回の件だがな、おそらくユウの言う通りその少女の奴隷主は殺されているのだろう、それには同意見だ。 まぁシルネを泣かせんでくれよ」


ギルド長が会議室から出て行く際に、強めに肩を叩き言った一言。


1人になった会議室で僕は、ギルド長の最期の一言が理解できず。ジンジンと熱くなった肩を抑えていた。


よしっ!

料理を作ろう!




「ただいまー!」


部屋に戻ると、一生懸命に道具を作るシルネがいた。

何だかんだ言って、朝部屋を出てから1時間ちょいしかたっていないんだよね。


魔力を回復しながら、シルネは既に【木べら】以外を完成させており、その【木ベラ】もすでに荒削りが終わった状態となっていた。さすがに早い。


「えっ?ユウ…様?おっお帰りなさいませ。どうされたんですか?まさかもう5階層を?」


困惑するシルネを落ち着かせ、これまでにあった事を説明する。

シルネも表情をコロコロと変え、僕が殺されそうになったと言ったときには、血の気が引き顔を蒼くしていた。


「奴隷……ですか。たしかにその奴隷の女の子は未契約の状態だったんですね?」


表情が硬くなったシルネに、一度頷く。


「うん。たしかに奴隷の後に、未契約ってなってたよ。それが?」


「はぁ〜。ご主人様はあれですね。うん。もうしょうがないのかもしれないですね。それに気付いていないい様子ですし」


「なんなんだ?いったい……。僕何かまずいことした?」


ブツブツと呟くシルネの様子がおかしい。ギルド長といい僕が何をしたと言うのだろう。


「いいですか。ユウ様。未契約となっていたということは、おそらく……いや。間違いなくその少女の奴隷主は亡くなっているでしょう。そして、その奴隷を保護したのはユウ様です。」


こ こ ま で い い で す か


目で訴えるシルネに頷くと、シルネは言葉を続けた。


「その奴隷主が亡くなった事が確認された場合。その少女の奴隷主はユウ様です」


「はっ?」


あっ。


そう言うことか。

こっちの世界の奴隷の契約はそっちだったか……。


その場で僕の奴隷になるケースじゃないから、まったく考えていなかった。


「なんかごめん」


ちょっと考えればわかる事だったけど、あの状況で助けないと言う選択肢も、僕にはなかったししょうがないよね。


「いえ。ユウ様の事です。その状況で助けないという選択肢はないでしょう。ユウ様自身もそう思っているでしょうし」


バレてるのね……。


「まぁね。まぁどうなるかわからないけど、宜しくね」


そう言って、厨房へと足を向けた。

シルネは不承不承といった感じではあるが、納得はしてくれているみたいだった。


厨房へと入ると、サラムさんが夕食の仕込みをしていた。

レムが見当たらないのは、何処かの部屋を掃除しているのだろうか。


「あらユウじゃないか。確か迷宮に言ったと思ってたけど、どうしたんだい?」


拠点登録をしている宿では、朝迷宮に潜るスケジュールを宿側へ伝える。例外なく今日も朝5階層に挑戦する事を伝えてあり、シルネ同様混乱させてしまったようだった。


「ちょっとトラブルがありまして、落ち着くまで宿に戻ることにしたんですよ。今から何か作りますね」


そう伝え、食料庫の食材から何が作れるかを吟味する。

何を作るのかと目をキラキラさせたサラムさんが、チラチラとカットされた牛肉を見ている。


「ん〜………。野菜はそんなにないか。でも牛肉は今使っても大丈夫そう……。おっ植物油が補充されてる。よしっ」


少し悩んだが決まった料理はこれだ。


〜ラビエ牛の牛カツ〜

使用包丁:玄亀げんき【解体包丁】

材料(1人前)


ラビエ牛のサーロイン 300g

自作片栗粉ゴロポイトのデンプン 全体的にまぶせる程度

パン粉 衣としてしっかりと纏える程度

ロングネックバードの卵白 1個分

塩 少々

ぺパル(胡椒) 少々

キャベル(キャベツ) 1/4個分


①ステーキのようにカットしたラビエ牛の裏表に塩と胡椒をまぶし、下味をつける。


②片栗粉を卵白に溶かし、下味をつけた牛肉をくぐらせパン粉をまぶし、衣とする。


③フライパンに、肉が出ない程度の油を入れ180度まで熱する。


④片面60秒揚げ、裏返し60秒揚げた後取り出して、油をしっかりと切る。


キャベル(キャベツ)の千切りと共に皿に盛り完成。


夕方からの食堂の仕込みとして、切られていたラビエ牛のステーキ肉を使わせてもらい、下味をつける。

もちろんキハクの分と合わせて5人前を用意している。


サラムさんが、興味津々と言った感じで見ているが、これは簡単だし早く提供できるから、この店のメニューに加えてもいいのかもしれないな。


牛肉は豚肉と違い水分が多く、揚げると衣がカラっと揚がり辛い。そのため小麦粉ではなくコーンスターチ……。と言いたいところだったが、見つける事ができずに、ゴロポイトで作った自家製の片栗粉を、卵黄ではなく卵白をそして、今回は地鳴鳥ではなくロングネックバードの卵を利用している。この方が、卵白を多く取れるからね。

なんと言っても、卵が地鳴鳥の10ばいの大きさがある。


そして、このひと工夫で、牛肉の衣もしっかりとカラッと揚がるようになる。


6等分にするために包丁を入れると、サクッサクッと小気味良い音を立て、レアにも見える真っ赤な美しい断面が姿を現した。


「お待ちどうさまです」


今か今かと待ちわび、いつのまにかテーブルについていたレムを混じえ、湯気が立ち昇る出来立ての牛カツの皿を置いた。



読んで頂きありがとうございます。

やっとプロットでいう序盤が終わりそうです……。長いですね……。


これからもよろしくお願いします。

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