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61.5階層へ?

ギルドにてビッグアント討伐と、その素材回収の依頼を受けた後。昨日数時間を過ごした4階層に転移し、周囲を見回す。

やはり、岩塩が希少な素材というではなく、昨日掘り返した迷宮壁と共に岩塩も元に戻っていた。


《そうび》

意識下で固有スキルの《そうび》を発動する。


装備2

胴体 魔芋虫の肌着

武器 血桜

右手 チタニウム鋼の手甲 右

左手 チタニウム鋼の手甲 左

帯 腰帯

脚 チタニウム鋼の脚甲

足 布の靴

その他1 黒鋼のブレストプレート

その他2 石袋


冒険者スタイルに換装し、キハクへと声をかけた。


「行こうか」


周囲を確認し、4階層の地図を確認したところで5階層への階段に向かう。


途中魔物を発見次第、ウォームアップも兼ねて何戦かする予定だ。5階層へ行けばいきなり門があり、門を開ければボス戦という流れになる。


あるじ様》』


細かくキハクが鼻を動かし、《超嗅覚》で周囲の魔物の気配を探り、近くの魔物の気配を感じ取った。


「うん。いるね。これはビッグアント?」


このところ常に《気配察知》を街でもかけていたこともあり、僕のスキルの熟練度も上がっている。

2つ先の部屋にいる何か。ではなく複数のビッグアントの気配をしっかりと感じていた。


『はい主様。この匂いはアリです』


右手に石を握り込み、2つ先の部屋へと向かうと部屋には3体のビッグアントが群れていた。

1個前の部屋側の通路の先から見える。通路先にいる1対へ狙いを定め、石を投擲する。


「【スナイプ】」


遠距離攻撃に補正をかける【スナイプ】を発動し、1匹のビッグアントの頭を破壊する。


「ギィー」 「ギィギー」


残った2体のビッグアントが仲間がやられた事で興奮し、甲高い声で鳴き始めた。


「ガァ!」


キハクが1匹の頭を前足で押さえつけ、首元に牙をいれる。

その瞬間キハクの毛色が真っ赤に色付き、周囲に火花を撒き散らした。


【イグニスウルフ】


炎属性のその狼の口からは、高熱の炎が吐き出されビッグアントの首周辺を一瞬にして燃やし、灰と化した。



「ギィーー」

甲高い声で威嚇し、大きな牙を打ち鳴らすビッグアントに対し【血桜ちざくら】を抜き、ビッグアントへ近付く。


自分の攻撃範囲に入ってきた事で、ビッグアントがその瞬発力を生かし、足元を狙って走り出した。

真っ直ぐと向かってくるビッグアントに対し、側面へ回り込むようにして躱し【血桜ちざくら】を首の付け根を狙い、振り下ろす。


ガキッ!


振り下ろした刃は、その付け根にはうまく当たらず、最も硬い甲殻へと当たり、その丸びた甲殻で攻撃を逸らされてしまった。


「痛ててて……」


当たりどころが悪く痺れた手を振りながら、あざ笑うかのように牙を打ち鳴らすビッグアントに、改めて刃を向ける。


楽に倒そうと思えば《投擲》を使えば簡単に倒せる。

でも、これからもこの迷宮を潜り続けるならば、それだけに頼ったやり方は危険な気がした。


いつ接近になってもいいように。

そうしっかりと意識し、今度はこちらからビッグアントに向かい走り出す。


昆虫のアリのように頭を高らかにあげ、顎を大きく開き威嚇するビッグアントに対し、【血桜ちざくら】を上からではなく下から上へと斬り上げる。


ギィン!


そして、高らかに上げていた顎が更に持ち上がった瞬間。露わになった首元に対し水平に刀を振るい。その首を切断した。


「ふ〜。なんとかなったよ。硬い相手だと面倒だね」


『はい。主様。でも問題なかったです』


ふわさっと一度尻尾を大きく振り、キハクが鼻先を近づける。

待機してくれた事を褒め、その鼻先を軽く撫でた。


本来危険を敢えて犯す必要性は、迷宮では避けるべきなのだろうが、今回は僕のわがままをキハクに聞いてもらった。

手出しせずに見守ってくれていたキハクを、もう一度ひと撫でし、依頼達成のため素材として使える甲殻と牙、そして魔晶石を回収した。


正直このランクの依頼は実入りが少ない。ただランクを上げるため依頼達成数は重要な為、コツコツと依頼をこなしていく必要がある。


まぁこの手の依頼は、数多く素材を集めれば複数回分依頼を達成したことになるから有難い。


「さて行こうか!」


その後1時間程かけ、4度の戦闘をこなしたところで依頼達成分の素材も数回分の量が十分に溜まり、遂に5階層への階段がある部屋の手前へと辿り着いた。


キハクは意識して他のウルフ種の能力を使い、《狼化》の熟練度を上げている。実際宿の中でも様々なウルフ種に変化し、熟練度を上げるべく、シルネと並んで練習している姿を見るようになった。


今では劣化してしまうが、多少なら姿を変えなくても、多種族のスキルを使えるようにまでなった。と言ってもキハク本来の姿でイグニスウルフの炎を出しても、野球ボール程の火の玉が精一杯みたいだけどね。


「キャーーーー」


5階層へ向かう手間の通路に、女の子の叫び声が響き渡る。


「グルゥ」『主様』


キハクがひと鳴きし、注意を呼びかける。

すぐに階段のある部屋へとたどり着くと、4人組の男が1人のフードを被っている冒険者を囲っていた。

おそらくはあの大きな荷物からみて、ポーターなのだろう。


(声は女性のものだ10代くらいか?なんでポーターを囲ってるんだ)


ふと、疑問に思った事で、警戒心が生まれる。彼らはそもそもあのポーターの関係者か?


ここまで何度か他のパーティとすれ違ったりしてきたが、基本僕らは避けれるのであれば避けてきた。

流石にこの状況で無視することは出来ない。


「あの4人とポーターは違うパーティだと思う。だけどポーター1人で迷宮に潜るなんて考えられない。注意してね」


『はい。主様』


他に仲間がいないか、階段を注視し周囲に警戒だけはしておく。


階段近くで女性を囲み、掴みかかろうとしている男たちへと近づく。フードを被っている女性はどうやら気絶しているようだ。今はグッタリしていて動かない。


「なぁ坊主」


こちらに気付いたのか、階段を塞ぐような形で革鎧を身につけた男が近寄ってきた。

残りの連中も1人を残し、僕らを挟み込むように、後ろに回っていた。



やっぱりトラブルは避けられないようだ。


そして、僕は彼らを《しらべる》で確認し、状況をある程度把握した。



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