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46.終幕

お陰様で1万ユニークを超えました。

徐々に増えるアクセスやPVをみてニマニマしています。


これからもよろしくお願いします。

「ゴワァーーーーーーーーー!(我ゴブリンキング也)」


けたたましい咆哮と共に、僕の身長の倍ほどもある真っ黒な巨躯のゴブリンが、渦巻く魔力から現れる。


「ゴブリンキングか。厄介な」

ギルド長の言葉と共に、目の前の巨大なゴブリンを確認する。


《しらべる》


名前:ゴルド

種族:ゴブリンキング

年齢:3

性別:雄

スキル:連族 斧術 怪力 繁殖

備考:蠱毒の王


強い。

種族位自体は《しらべる》で全て見えたこともあり、低いのだろう。


だが初めての名前持ち。そして相性の良いスキル構成。連族とはなんなのだろうか。連続ではなく連族……。


「いいか!ここからはA級以上は近くな!風圧だけで消し飛ぶぞ!遠距離は直接当てるというよりも援護優先で、補助魔法の使えるものは常に私にかけてくれ!」


「おぉ!」


「いいか!奴は生まれたての【ゴブリンキング】だ。しかも自ら自分の仲間を葬り去ったあやつは、奴らの特殊スキルが使えない。今が最弱な状態だ!今しかない行くぞ!」



《連族》

キングへと進化した者が持つ特殊スキル。

自分の従えている部下が多ければ多い程その力が増すスキル。


しかし、今回の【ゴブリンキング】は部下がいない。

その力はゴブリン最強ではあるが、最低限のランクのキングであるとも言える。


『蠱毒の王ならぬ。孤独の王だね。くっくく』


『・・・』


『やめて!キハク念話で無言を飛ばすのは!悪かったよ〜。うまい!とか思っちゃったんだよ〜』


そんなやりとりをしている中。

自分よりも遙かに大きな【ゴブリンキング】に向かい走り出すギルド長。


その身にいくつかのステータス上昇魔法を受けながら、【ゴブリンキング】へ偃月刀を振り下ろした。

ギルド長ならば……。


「グォーーー」


ガンッガンと斧と偃月刀がぶつかり合い、辺りに土埃が舞う。

お互い一歩も引かずに全力で打ち合い時に避け、互いの隙を生み出すために攻撃を続ける。


「ガーーー!」

キングの咆哮と共に巨大な斧が、地面に叩きつけられる。


「躱せ!」

冒険者の一人が叫ぶと、同時に直線上の冒険者達が一斉に横へと飛ぶ。


【地走】

戦鎚使いの冒険者が繰り出した職技。


その技を【ゴブリンキング】が放った。

地面は割れ、亀裂が20m先にいたB級の冒険者達の元まで伸びていた。


ギルド長も、さすがにこの大技は横に飛び躱している。


常にギルド長の瞳は【ゴブリンキング】の瞳を捉え、その能力で数手先を読み、攻撃を仕掛け、さらにキングの攻撃を防いでいる。


しかし決定打は生まれない。


数分間続く打ち合いに、ギルド長の額からは汗が滲み、所々に傷が増えていく。


後ろからポーションを投擲するも、傷は治るが体力は回復しない。このままでは……。


「キハク!」


少しでも力になりたい。


僕は無双する主人公でもなければ、チートを与えられた勇者でもない。限られた力と、僕に許された唯一のチート武器となる相棒。そしてすこし成長し、より頼もしくなったキハクの力を借りるしかない。


『わかりました。主様』


一度後方へと戻り、作戦を伝える。

ギルド長の攻撃により、視線が逸れた瞬間を狙い。キハクの光魔法により数秒感だが連続で魔法をかけ、姿を消し多くの冒険者達の裏側より、死角へと回り込むため、日没間近の平原を駆ける。


視界を遮るものが何もない草原で、キハクの魔法の力を借り、姿をなんとか消したまま。


警戒のない真後ろへと辿り着いた。


3


2


1


カウントと同時に駆け寄り《血桜》を抜く。




その瞬間、【ゴブリンキング】の正面に伸びる。ギルド長の影からキハクが飛び出す。


シャドウウルフの固有能力【影移動】だ。

※自分の影から対象の影へ瞬間移動する。距離は熟練度による。 現在5m以内の影への移動可能


姿を現したキハクが、瞬時に元の姿に戻り前面の【ゴブリンキング】へと向け、強烈にその身を発光させた。


光魔法【フラッシュ】


「ギャーーーー」


突如見開いていた目を潰され、目を押さえつけながら叫ぶ【ゴブリンキング】の隙を見逃さず、僕らが背後から近寄ってきているのを知っていたギルド長の目がギョロリと龍の目となる。


そして、首などの一部にしかなかった鱗が全身に巡り、目だけでなく全身が龍のように変化していく。


《龍化》

龍人である。ギルド長の固有能力。

龍の力を活性化させ、全ての身体的能力を劇的に増加させる。反面一度使うと使用時間の半分の時間、元の能力が大幅に低下してしまう。


「ヌンッ!」


今までよりも重く鋭い一撃が、【ゴブリンキング】の無防備となった鎧ごと、肩から一直線に袈裟斬りにする。


そして、返しの横薙ぎで腹を切られたキングが崩れ落ち、そのこうべを垂れた。


ザクッ


振り下ろされた《血桜》の一撃。

ゴブリンを刈り続けた【断ち切り包丁】はゴブリン族への斬れ味を、大きく増していた。


道中、切っても切っても斬れ味が落ちるどころか、増していく斬れ味に、僕はやっとこの《血桜》の特性を知ることが出来た。


血桜【断ち切り包丁】

それは正に、断ち切った同種族の吸収した神力に応じ、斬れ味が増す。


特攻効果を付与していく刀。それが《血桜》だった。


既に多くのゴブリン。

そして多くの上位種を倒し、その神力を吸収した《血桜》はゴブリン特攻の刀と言って良い程の斬れ味となっていた。


そして《血桜》の斬れ味、料理スキルによる解体補助の力で、振るわれた刀は流れるように首を落とした。




【ゴブリンキング】となったゴルドは、自分でも何が起きたか理解できなかった。

急に目の前が真っ白になり、その瞬間体に激痛が走った。

そして理解が追いつかぬまま。無警戒の相手の手により、その命を“断ち切られた”のだから。




「ゴブリンキングの首!とったぞー!」



「「「「「「オォォォォォォォォォ」」」」」」


既に元の姿に戻っていた。ギルド長が高らかに拳を上げ、今回の戦いの終幕を告げた。


一瞬の静寂の後に訪れたのは、生き残った冒険者、兵士達の割れんばかりの歓声とゴブリンキングを仕留めたギルド長と姿も名も分からぬ冒険者への喝采だった。


「よくやった」


その声を聞きながら、僕はゆっくりとギルド長の、傷だらけの腕の中へと倒れ込んだ。


対ゴブリン戦

これにて終幕です。


次週からは街に戻ります。


これまでのゴブリン戦含め、是非評価して頂けると嬉しいです。良い評価が貰えると書くスピード5割増しで頑張れます!著者は非常に単純な人間です……。


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