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4.ハズレと言われて

「********ユウ**。**************」

*「この者の名前はユウである。スキルは料理と気配察知である」


「「「**〜」」」

*「「「あぁ〜」」」


「****」

*「ハズレか」


「*****」

*「ハズレだな」


「*************?」

*「リカートさんのところだろ?」


「**〜****。*****************。************」

*「あぁ〜可哀想に。まぁ跡継ぎの長男は当たりだからな。弟にツケが回ったてことだろ」


高らかに声を上げる壮年の男性と、落胆する人々の声で意識が覚醒していく。


まだ言葉はわからないが、なんとなく状況は把握できた。どうやら鑑定石での鑑定と名付けが終わったみたいだ。


何故か自分の名前の部分だけは聞こえた。


僕のスキルが《料理》と《気配察知》なんていう村の為にも国の為にもならなそうなスキル。


いわばハズレスキルで落胆してんだろうな。

ボソボソと村人達が怪訝な顔で話してるし。


それでも、両親っぽい2人と兄貴っぽい男の子が笑顔なのは救いか。


なんだかこの体は眠気が襲う。もうひと眠りしてから考えようか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あれから4年の月日が流れた。


生まれたばかりの頃は、言葉がさっぱり分からず苦労したが、そこは乳幼児。

言葉の成長は早い早い。なんとか2歳になる前には生活に不便がないくらいには言葉を覚えた。


書けはしないが、読めたのは大きい。


裕福な家ではないが、農業のノウハウが書いてある手書きの冊子を読みながら、字もある程度覚えた。


ここで改めて自己紹介。


僕の名前はユウ。


こちらに来て4年。

俺というのは何か違和感が強烈にあり、僕という一人称に定着した。


精神が体に引っ張られてんのかな。

この体型で俺っていう子はだいたいガキ大将的な立ち位置だしね。


人族の農家の次男。ここまではネルの言った通り。

父の名前はリカート

母の名前はヘレン

兄は現在10歳でジェイト


生まれてからしばらくして、鑑定を発動しスキルを見てみた。

父は剣術と掃除

母は文芸と薬草学

兄は農業と筋力増加


父親は元々王城に遣える兵士だったが、戦争時に脚を負傷し除隊。

その時に、この村の農地を与えられ、そのまま農家に。

家や物置はめっちゃ綺麗に、掃除されてる。


母は兵士時代の父と出会い婚約。

「この戦争で生き残れたら結婚しよう」の言葉を信じて待っていたが、脚を負傷し除隊となった父が帰って来た事で、悩みながらも生きては帰って来た…。と自分に言い聞かせ結婚。

薬草学のスキルを生かし、野菜の他薬草を売り生計を立てている。

また村での薬草の取り扱いについても、アドバイスしているようだ。


そして兄は、なんかもう農家が天職な感じだ。

農業をするとまだまだわずかだけど、作物の実りはよくなるは、作業中は疲れづらいは筋力は補正されてるはで、なかなか村の今後を期待されている。

村的当たりスキル持ちだ。

力も強いので、狩りに着いて行くときはでかい木の棍棒を持って行っている。


僕?

僕はほら、料理と気配察知でしょ。

近くの森に採取に行くときは「危なかったら言えよ」と言われ付いて行くくらいで、あまりというかほとんど期待されてません。


そ・れ・よ・り・も!


「あの残念美神ざんねんびじんーー!」


何故一切の説明がないんだよ!

こんな料理に対して評価が低いなんて聞いてないぞ!


今までにも、料理のスキル持ちはいたらしいけど、男の料理スキル持ちはハズレと認識されて、村じゃ役立たずの烙印持ちの扱いだ。


そりゃああまり期待されてない訳だよ。


まずこの村に調味料なんてものはない!出汁なんて概念もない!


「料理?素材を火にかけるか生でしょ?」


そう、少なくともこの村にさらに美味しく調理しようという概念はない。


そして、出されるご飯ははっきり言って、日本人的舌を持った味覚だとくそ不味い!


素材の味?まぁ殆どが芋?クワイモというこっちの村人や貧民の主食で、甘みなんかない。


でも、何かこのクワイモ、何かに食感が似ているんだよな……。


年に4回も収穫出来る旺盛な繁殖力が特徴で、栄養価は高いが、ボソボソした食感のイモを、焼くか煮るか火をつけた穴に葉っぱに包んで、蒸して潰すか。


あとは、森で獲物を狩ってきたら山分け。それがご馳走。


それに、山でたまに見つかる岩塩を削ってかけるか、舐めるか。栄養補給的な、意味合いが大きい。


ちなみに、動物は食べられるが、魔物は食べられないらしい。


で。


魔物と動物の違い?

あぁ一番わかりやすいのが眼を見ること。


目の色が赤いのが、魔物らしい。

これは人型の魔物であろうが、動物型の魔物であろうが同じで、ただ高位の魔物や一部の魔物は例外もあるらしい。


その他にも、真っ赤な魔晶の有る無しで、判断するらしい。

眼の無い種族も、いるからね。


とにかく、魔晶があれば魔物なければ動物。これは確実らしい。


てな訳で、父さんのように兵士だったり、街に住んでいた母さんであれば、屋台やらでの食事経験もあり、調理された食事の味を知っている。


ただ元々農家や、裕福ではない村であれば、塩以外の調味料なんて嗜好品で家庭に常備してあるわけではないし、屋台での食事も、複数の調味料で調理されているわけでは無いようだ。


料理スキル持ちだと馬鹿にされる理由が分からず、料理スキルとはなんなのかと一度、父親リカートに聞いた事がある。


その時の答えは

「すまんな。ユウ。実はよく判らないんだ。ジェイトの農業スキルは農業への知識習得の向上と、作物の品質向上、熟練度次第では収穫量の増加がスキルなしと比べ段違いだと判明してるし、母さんの薬草学のような知識系スキルは熟練度に応じて、薬草への活用方法も含めた知識が解放される。


ただな料理スキルはよく判かっていないんだ。同じ料理を作ってもある程度差はでるが、驚くほどではない。知識系スキルのように料理方法が浮かんでくるわけでもない。


ただ料理スキル持ちが食材を扱うと少し品質が良くなると言われ、父さんが働いているような国に関わる食堂や城で料理を作る人を雇う際は、ちゃんと料理スキル持ちが重宝され雇われていたね。


ただそれ以外では料理スキルがないからといって、料理ができないわけじゃないから、評価されないケースが多いんだ。ただ別に、料理スキル自体は無能扱いはされていないんだ。この村の村長が昔、料理スキル持ちの幼馴染と色々あったらしくてな、料理スキル持ちを毛嫌いしてるんだ。だからその空気が村全体にな……。すまんなユウ」


と言われた。

あのクソ村長め〜。


そもそもちゃんとした料理を食べたことのある人なんて、村ではほんの一握りだ。


料理の事を教えてくれる人もいない。だから熟練度も、上がらない。


父さんの説明の中に引っかかった部分もあるし、これは益々この村を無事に出る必要があるね。


切実に……。


やっと転生しました。

幼少期編です。


引続きよろしくお願いします。

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