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21.冒険者的常識

「おっ今日から迷宮か?うんうん。いい装備じゃないか?」

「………えっ?おい。おいおいおいそりゃぁ」


僕の装備を見て、フォルスさんの顔が驚愕に染まる。

今の僕の姿は、胸の部分は金属で他の部分は魔物の糸と金属糸で織られたシャツというブレストプレートに、同じ混合糸で織られた黒いズボンを履き、金属の手甲と肩当て、脛までの金属脚甲で身を固めている。

今は襟のついたマントコートを羽織っていて全容は見えないが、正面のフォルスさんにはバッチリ見えてる。

見た目だけは中堅どころの冒険者だ。が!勿論名工グランファさん印の初心者用装備だ…のはずだ!


「はい。僕も気に入ってます。軽くて動きを阻害しないんですよ」

笑顔で装備について言ってみたが、未だに固まって動かない。

しょうがないので近寄って突っついてみよう。


「フォールースーさーん」


「ハッ!おいチョット2階に来るんだ。ミリネさん!2階借りるぜ!」


2階に連れてこられたが、フォルスさんの視線がなんとも厳しい。


「ユウ?まさかとは思うんだが、その装備グランファさん自ら作った装備じゃないよな?」

「はい。そうですよ?鉄鉱石運搬依頼で、一式造って貰いましたけど」


はぁ〜と額に手を当て首を振り顔を上げる。

「いいか。ユウ。お前の常識のなさは少々まずいレベルだぞ。通常鉄鉱石運搬で貰えるのは弟子の中でも更に新人の作った量産品の一つだ。どんな経緯かわからんが新人がグランファさん作の装備を持つことはない。というより、俺も2年前から頼んで未だに首を縦に振ってもらえない……。うらやま…。そのくらい希少なんだ。まぁよっぽどのマニアか見る目がある奴しかわからん。だから自分では絶対言うなよ!余計なトラブルを引き込みかねない」


「あ〜。そういえばシルネさんも驚いてました。グランファの爺さん、金槌片手に3日くらいで作ってたんで簡単なものかと……。」


「は〜。なんて事を。それにグランファさんを爺さんって呼ぶ奴はお前だけだぞ…。いいかまずその金属は黒鋼と言って中堅どころの上位の素材だ。重さはあるが、衝撃と斬撃に強い。今回は胸の部分にしか使ってないからそんなに重くないんだろう。あとなそのシャツとズボンの素材は20階層以上で出てくるマジックキャタピラの糸と綱糸をグランファさん自ら織ってるはずだ。魔法防御と物理防御どちらにも優れてる。しかも軽い。

脚甲と手甲は、チタニウム鋼って言って軽くて丈夫な金属を関節に合わせて組み合わせることで、動きを阻害しないように作ってるな。勿論攻撃にも使える部分は更に丈夫にしてあるが。それにしても新人になんて装備を…」


うん。どうやら思ってた以上にすごい装備らしい。無知って怖いな〜。でもラッキーだよね!

普段は《そうび》で普段着にしておいて、迷宮に入ってから装着しよう。あともう一度ちゃんとお礼を言おう。つまみでも持参して。

「ちなみに、まぁ石でも投げりゃそれなりに威力が出るじゃろ!っていわれたんですが……」


あっ。やっちゃったか。フォルスさんの顔がまた引きつってるよ。

「いや。まぁ分かってたことだ。グランファさんは装備に何かしらの付与がつく。そこが他の鍛治職人と違うところだ。その言い方なら間違えなく、投石に補正がかかるはずだ。まぁスキル持ちの高熟練度には届かないだろうがそれなりの威力は出ると思うぞ」


やっぱりか〜。って事は投擲の補正プラス石を投げれば投石の補正も加わるって事だね。今ですら頭蓋骨粉砕レベルなのに、装備したらゴブリンの頭吹っ飛ぶんじゃなかろうか。

うん。最初は軽めに投げよう。なんかまずい気がする。


「ありがとうございます。他言はしないように気をつけます。あとこのマントは常に着けときます。はい。」

このマントもグランファ印で、熱寒調整付きなんて事は黙ってよう。うん。それがいい。


「そうだな。それがいいと思うぞ。全く。お前は何者なんだか。まぁ応援してる。無茶はするなよ」


「はい。ありがとうございます!」


先に出て行くフォルスさんを見送り、1階の受付に戻りミリネさんを呼ぶ。今日来たら呼ぶように言われてたからな。


「こんにちはユウさん。今日から迷宮ですね。そんなユウさんにこちらのご紹介です」

そう言うと手に持った鞄から5枚ほどの地図を取り出し、こちらに広げて見せてくれた。

まるで、通販番組のような紹介の仕方だ。


「これ迷宮の5階層迄の地図ですか?おぉ凄い助かります!ちなみにお幾らでしょうか」


「はい。こちらの地図ですが、3階層までは無料で、以降10階層までが、階層と同じだけの銀貨。その後は階層に応じて高くなるので、その際ご確認ください」


と言う事は、銀貨9枚必要って事かまぁ当分は3階層迄しか行かないつもりだしな。


「じゃあ3階層迄の無料分を頂いて良いですか。地図があると行きたくなりそうなんで」

そう言うと何故かミリネさんが胸元で腕を組み。うんうんと頷いて見せた。ついでに僕の視線もうんうんと上下した。

今日もありがとうございます。


「流石ですね。ユウさん。3階層より上層を求められたら、少々ご忠告しようかと思っておりました。しっかりと油断なく準備をされているようで、安心しました。試すような行為申し訳ありません。どうかお気をつけて十分にご探索下さい」


そう言って、ミリネさんは深々と頭を下げる。戦闘経験もスキルもない新人をここまで心配してくれるのは、ギルド嬢としての職務かはわからないけど、やっぱり嬉しいな。


「心配ありがとうございます。これ皆さんで食べて下さいね」

そう言って《どうぐ》のカモフラージュの為の鞄から食べ物を取り出す。


〜ゴロポイトのポテチ〜

材料(8人前)

ゴロポイト 8個

塩 適量


①ゴロポイトをスライスし水にさらす。

②160℃〜170℃の油で軽く揚げ一度取り出し冷ます。こうする事で仕上がりをパリッとさせることができる。

③冷めたところで180℃の油で2度揚げし今度はキツネ色になるまでじっくりと揚げる。

④油を切って完成。


本当は甘味を持って来たいけど、砂糖がないんじゃ今はしょうがないかな。

大きめの紙袋に入れてきたけど、やっぱり美味しそうな匂いが漂う。急いで奥に持ってって貰ったから感想は今度貰おう。

「行ってきます」







読んで頂き有難うございます。またブックマーク有難うございます。

よろしければ感想や↓の評価を押して頂けると嬉しいです。


よろしくお願いします。

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