2.残念な美人の神。
「はっ?」 「はいっ⁉︎」
えぇと今なって言った。
死んだ?そんで異世界に転生?何言ってんだこの娘は。
残念さんか?残念美人なのか?
あーそうか残念美神さんか。。。
「違いますよ!何ですかその残念さんと残念美人で神様だから合わせたら上手くいったみたいな流れは!」
「だってそうだろう!どこの世界におじさんとかおっさんと言われたくないお年頃の中年男性捕まえて。若い女の子が死にましたって言って、はいそうですかっていう馬鹿がいるんだよ!」
「いや〜。まぁそうなんですけどね。そこはこの状況を見て信じてもらえないかと。あなたは死にました。神社の境内を出た所で、頭上から落ちてきた物に当たって即死です。そんな感じでお亡くなりになりましたので、ささっと違う世界に転生して新しい人生を歩みましょう!そうしましょう!」
残念美神が、勢いよく指で斜め上を指すポーズを決めているが、指の指す先も真っ白だし慌てている感が凄いし何なんだ?
「ちょっと待った。何でそんなに焦って転生させたがるんだ?それに元の世界がいいんだが。なぜ異世界なんだ?それに境内から出た場所って落ちてくるもんなんかないだろ?俺は何に当たって死んだんだ?」
「えぇと…。それはですねぇ……ぼくがおとした……が……したと申しますか…。だから元の世界に……という感じで……」
「おい‼︎」
「はいっ!」
「はっきり言ってくれ!」
「はいっ‼︎僕が遊んでて神界のボール推定5kgを天界から落として、それに運悪く海藤さんが巻き込まれ、頭がピチョンしました!」
「本来死ぬはずじゃなかったので、元の世界に空きはありません!異世界に転生しないと魂消滅必須です!以上」
おぉー。一気に言い切ったなこの残念美神さんは……。まさか自分が原因で殺しておいて、さっさと転生させようとしていたとは…。
「なぁあんたは、バツが悪くてさっさと転生させようとしたわけだ」
「いっいや〜。僕はそんな事しないですよ」
「……」
「……」
「すみませんでしたー‼︎はいー確かにごまかして勢いで転生させようとしました。どうせ記憶なんてなくなるし良いかと」
見事な直角お辞儀だ。
なるほどのやっぱりそういう事か。ただなんですぐに強制的に転生させないんだ?
「あのー。僕らは勝手に転生させれないんです。転生者の同意がなくては、無理やりな転生転移は出来ない決まりなんです……」
「全く。俺は3日後に自分の店を開く予定なんだ。こんな所で油を売ってるわけにはいかないんだが、元には戻れないんだな?」
「はい。その大変申し訳ないんですが、その通りです。ごめんなさい」
先ほどの直角お辞儀とは違い、緩やかに頭を下げた気持ちのこもった謝罪の姿勢だ。
「しょうがないか。俺もカリカリして悪かった。ここからは建設的な話合いをしようか」
「はい。本当にごめんなさい。なんでも出来る範囲でお答えします」
そこからは、典型的な質疑応答となった。
こちらも36歳といっても遅咲きでラノベ小説にはまり、イベントには行かないが好きな作家の小説を買ったり、ネット小説を読む隠れファンだ。
料理人は朝早く夜遅い。開店時間外の休憩だから何処かに行くってこともしなかったから、暇な時間はずっと読んでたっけ。
「まさか自分がこんなファンタジーな世界に飛び込む状況になるなんてな……」
・異世界の名前は『ネルモンテ』まぁそのままこの残念美神さんが主神の世界
・他の神は他の神で異世界を創っているらしい。
・異世界が作られた目的は、神力の確保。
・神力といっても神様の力ではなく、神様が必要な力の事らしい。
・神力は生物が行動するだけでなく、死んだ際などにも吸収される。人も亜人も魔物もいる。
・様々な迷宮があり、ここからの神力の供給が一番多い。
・だからこそ迷宮の攻略が重要な世界を創っている。
・たまに他の神が作った異世界に繋がった迷宮もあるらしい。
・迷宮は迷宮主と呼ばれる者がいるが、人型とは限らない。魔物の迷宮主もいる。
・迷宮には魔物もお宝もある。
・スキル制。自分の技量がある程度達した時に授かる能力がある。スキルがないから出来ないわけではない。
・同じスキルでも能力は異なる場合がある。同じ剣術でも大剣特化や片手剣特化など。
・スキルには生活上必要な物もあれば、戦闘用のスキル剣や魔法などもある
・レベルはあるが、ステータス数値のような物はない。感覚的にはわかる。
・ちなみに今回は転生。0歳児からのスタートで両親は平民で奴隷階級ではない。奴隷もあるらしい。
・とりあえず、使命なんてものはないので好きに暮らしていい。
「んで?主神様。まさか何もなしに転生させようとしたって事はないよな?」
「もももも勿論だよ。僕のせいで殺してしまったんだからね。なんか適当に?ランダムガチャ的な?……。今は違うぞ!な何でも言ってくれたまえよ。。。言ってください」
「それじゃあ逆にどこまで出来るんだ?俺の感覚だとラノベの影響が強すぎてかなりチートな感じになるんだけど」
「えーとですね。ラノベ?ですか。………今海藤さんの読んだ事のある小説を、参照検討したんですが、海藤さんの想像するファンタジー世界には近いところもありますね。ただ俺Tueeeですか?それを望まれますか?」
この一瞬でどれだけのラノベを参照したんだ?全部か?
「いや。俺Tueeeの主人公的なラノベは読んでいて面白いし大好物だが、俺自身出来るとは思えない。取り敢えず異世界でも料理はしたいかな」
とりあえず希望を伝えつつ、ネルが頷いているのを確認する。
「だから、料理人として生活できたら嬉しいかな。能力は料理人として役立つものがいい。それと知識の継承はいけるか?あとは最低限自分を護れて食材の調達が出来るものと、食材がわかるようにと言葉と読み書きか?あと魔法袋みたいのはあるか?なければ食材の持ち運びができるような物が欲しいんだけど」
さてさて、取り敢えずの要望は出したがどうだろうか。
今回もお読み頂き感謝です。
引続きよろしくお願いします。




