17.パティーの薦め。奴隷の基礎
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日課となった市場を巡り、野菜や果物を買って回る。
こちらの世界はやはりというか、奴隷制度が存在している。奴隷は首に首輪か奴隷魔刻印を着け、基本主人に危害を加えられないらしい。商人や小金持ち、そして冒険者が奴隷を利用しているようだ。
「奴隷ですか?」
冒険者ギルドの受付ミリネさんは、今日も大きくステキな胸をしている。今日も有難うございます。
「はい。冒険者の皆さんは奴隷と、どのような関係を築いているのかと思いまして」
「どのような関係?ですか。どのような扱いという事でしょうか。それならば荷物持ちや戦奴として、緊急時の盾役やあとは性奴としてでしょうか。冒険者にはどうしても男性が多いで……」
少し言いづらそうな顔をして、奴隷について教えてくれたが、やっぱり扱いか……。奴隷の立場は相当低いと見ていいんだな。僕はどちらかと言うと、就職奴隷みたいな働き手の確保的な奴隷の立場の小説が好きだったんだけどな。それはしょうがないか。
そういえばあの3人。ジーパー達の後ろにも獣人の男が控えてたな。首輪してたし、奴隷なんだろうな。
「そうですか。村には奴隷がいなかったので、この街に来て初めて奴隷を見ました。奴隷でパーティを組むケースもあるんでしょうか」
「はい。比較的多いと思いますよ。よほどの関係がなければ報酬の分配や、迷宮で得たアイテムの所有権で揉めることが多いですし、それがもとでパーティ解散もありますからね。ユウさんも早くパーティを組んで下さいね。効率が違いますから」
「わかりました。因みに相場ってどのくらいなんでしょうか」
「そうですね。性奴や戦闘スキルのある戦奴や迷宮探索に有利なスキル持ちは値段が高いです。一度奴隷商に行って見てはいかがですか?今のユウさんなら1人か2人は値段によっては買えるかと思いますよ」
笑顔で奴隷商会を紹介してくれるが、美人が笑顔で奴隷を勧めるって…。よほど奴隷の売買が普通なんだな。
ークワトロ奴隷商会ー
ミリネさんに紹介して貰った奴隷商会の前についた。東区でも南門に近い大通りから1本入った通りで、ここは娼館が建ち並ぶエリアとなっている。3階建の木造建築で普通の商会とは違い入り口1つで、ドアを開くとそこは2階に上がる階段になっている。
「当商会に御用でしょうか冒険者様」
タグにチラリと目をやり、入り口に立っていた瘦せぎすの黒服の男が礼儀正しく、声を掛けてきた。
「はい。奴隷相場が知りたくギルドから紹介して貰いました。パーティを作るようにギルドからも言われておりまして」
「これはご丁寧に。どちらかの商会のご子息様ですか?」
姿勢を正し、軽く会釈をし出来るかぎり丁寧な言葉を選び黒服の男性の問いに答えると、何故だか商会の息子に間違われた。冒険者や年少者は乱暴な人が普通な感覚なのだろう。
「いえ、ただの村出身です。言葉遣いは父親が王城で兵士をしてたので、教えられました」
「なるほど良いお父上ですね。ではご案内致しましょう。2階が商談スペースとなっております。と言いましても見て頂いた通り、2階に上がるしか入る方法がないんですけどね。」
にこりと笑う男の背中を追って2階へ上がると、そこはペルシャ絨毯のような模様の敷物に革のソファーの高さに合わせた重厚な木造のテーブルが配置され、その先に1段上がったステージのようなスペースがある20畳程の空間となっていた。
ステージの手前左右の壁にはそれぞれ扉があり、他にも部屋があるようだった。
「では少々お待ちくださいませ。ただ今主人を呼んで参ります」
そう言うと、男は一礼し右手の扉から奥へと消えて行った。
「ようこそ当館へ。ここの代表のクワトロと申します。以後宜しくお願い致します」
男が奥へ行き、まもなく。
少し大柄だが決して太ってはいない引き締まった顔付きに、身体つきは冒険者に見える男と共に戻ってきた。
「いえ。こちらこそ。冒険者のユウです。新人ですがパーティを作るよう強く勧められてこちらにお邪魔しました」
「なるほど。確かにバークから聞いた通りの礼儀作法ですね。冒険者には珍しいタイプですね。私も元々は冒険者でしたがまぁ性格上冒険者には向いておりませんでし。見ての通り見た目だけは立派な冒険者なんですけどね。
さて、当館へはパーティメンバーとなる奴隷をお探しに来られたと。必要なのはポーターでしょうか戦闘奴隷でしょうか」
「そうですね。ポーターは今のところ大丈夫です。出来れば戦える奴隷を金貨3枚迄で1人か2人と考えています」
「ほうほう。戦える奴隷で金貨3枚となりますと相性の良いスキル持ちは少々厳しいですね。戦う意思のある奴隷を何人かご紹介しましょう」
クワトロさんが右手を上げ、何個か番号の書いた紙を黒服のバークと呼ばれた男性に渡し、すぐに先程入ってきた扉ではないもう一つの左の扉の奥へ行った。
「ご主人様」
声の方に顔を向けると、右の扉から女性がお盆片手に入って来ていた。
軽く肩にかかるくらいの水色の少しウェーブのかかった髪は、非常に美しく。薄手の白いフォーマルドレスのようなシンプルなデザインのドレスは豊かな胸元の膨らみからウエストに向けて絞られまたゆったりと広がっていく。その儚げな表情につい見とれてしまった。
「遅くなりました。どうぞお召し上がりください」
お盆から紅茶のようなお茶をテーブルへ。テーブルはソファーの高さで少し屈まないといけない訳で…。
「あっ…。有難うございます」
つい胸の谷間を凝視してしまったのはしょうがないことだと思う。うん。しょうがない。
「どうですか当館最高額の奴隷です」
女性が一礼し扉の奥に戻ると、満面の笑みを浮かべて紹介する。こちらが緊張しているのを楽しんでいるな。
「はい。非常に美しい女性ですね。見惚れてしまいました」
「彼女は分類上性奴となりますね。ちなみに白金貨50枚つまり金貨5000枚ですね。あれが奴隷の最高峰です。ちなみに戦闘奴隷の最高峰は当館では白金貨20枚の龍人族がおります。スキルも竜魔法 槍術 物理耐性と相性の良い戦闘スキルとなっております」
「凄いですね。有難うございます。まさか相場ではなく、トップクラスの方を見れるとは思いませんでした。勉強になりました」
「いやなに。先行投資ですよ。あなたは何かで成功しそうだ。今のうちに目を肥やしておいて間違えはないでしょう。ちなみに下には下がおります。手足の欠損した者。顔が傷だらけのもの銭貨1枚から売られている奴隷もおります。奴隷商人からすれば食費が減るだけで利益になる奴隷達ですね。奴隷商人は売られた奴隷を買い取る義務がありますので」
そう言って少しクワトロさんが暗い顔をしたタイミングで、左の扉が開きステージ上に4人の奴隷が並ばされた。
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