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16.料理人として言いたかった言葉

ある部分に対し意図しない印象につながっていましたので削除しました。

1週間の準備期間の残り4日は、午前中配達の依頼3件に、再度ジャミーさんの薬の調合を手伝い、回復ポーションや毒消し薬、麻痺回復薬などに使う薬草や材料、調合方法などを学んだ。


この依頼は作ったポーションの規格外商品をいくつか貰える。

お陰で《どうぐ》の中には、ソロでの活動に十分な各種低級のポーションが用意することが出来た。


そして午後は戦闘訓練として、ギルドで無料で受け付けている。低クラス用の訓練に参加して剣を振っていた。


ちなみにジャミーさんは72歳の老婆で、調合の邪魔にならないように長い白髪を後方にまとめている。

顔の皺以外老化を感じさせない、現役バリバリの薬師だ。


そしてありました!香辛料!

そもそもスパイスを扱う店が無いから、若干この街での入手は諦めていた。

だ・が・しかし!ラノベの定番中の定番をすっかり忘れていました。元の世界とは用途が違うの法則!


「ジャミーさん!この小さい実とこの赤い粉は何にっ! 何に使うんですか⁈」

「なんだい!ユウそんな興奮して?それはぺパルの実だよ。それと粉は赤ぺパルの粉だね。両方とも活力剤と眠気覚まし薬に使う素材だよ。なんだってんだ。ユウのそんな興奮した姿今まで見た事ないよ」


おぉ。めちゃくちゃ引かれてしまった。なんか凄い目で見られてるし。

まずは深呼吸。


ーーー スー ハー


「すみません。ジャミーさん。落ち着きました。この2つを少し売ってもらう事は出来ますか?それと、これってどこで手に入るんでしょうか」


「あぁ。落ち着いたんなら良かったよ。あんな状態のユウとは話したく無いからね。まったく身の危険を感じたよ。若い男と2人っきりなんかになったのを、後悔するとこだったよ……。あぁ少しなら分けてやるさ。ただし1瓶づつだよ!」


おいっ!70過ぎの老女がいやんいやんポーズでクネクネするな!


まぁいいか。そんな事……。


1瓶って事は200CCの瓶だから100gか。うんうん充分充分。


「ありがとうございます!あっでもいくらお支払いすれば……」


「ぺパルの実は1瓶8銀貨、赤ぺパルの粉は1瓶5銀貨だね。量は少なくても調合には一つまみ以下しか使わないからね。調合もせんのにこんなにいるのかい?」


「はい。銀貨13枚ですね。これで!それでこれは、どこで仕入れれるんでしょうか?」


「あぁ仕入先だったねぇ。これは迷宮産の実だよ。たしか15階層の植物エリアって場所で採取されるはずさ。私の場合は無くなりそうな時に依頼して買い取っているけどねぇ」


凄いな迷宮!これは他のスパイスも15階層に、あるんじゃ無いか?少し時間は掛かるけど、絶対に15階層に行けるだけの力をつけよう。


この街では、調合くらいしか需要が胡椒にも唐辛子にもない。だから今のところ価格はこんなもので済んでるだろうな。それでも100gで8000円位だから、8〜10倍くらいか?ちなみに卵は銅貨1枚で40個は買える。安い……。


15階層での採取難易度はわからないけど、安定供給は難しそうだ。

それに一般的料理に使われるようになったら、それこそ金の価値と一緒みたいなことになりかねない。


それとも、料理で使うことが一般的になれば、みんなついでに採取してくるようになって下がるのか?まぁ供給量の限界がわかるまでは、下手なことはしないほうがいいな。


「ありがとうございます。最高の情報でした。お礼にこれを何に使うか教えますね。台所お借りします」


「なんだい?台所?まぁ好きにしな」


さてさて、需要と供給のバランスも考えなきゃだけど、お礼はやっぱり料理でしたい。

「取り出しますは、市場で購入しましたトメット・キャベル・オニオル・キャロ・ラビエ豚のベーコン。やっぱりこの材料ならポトフだよね。」


〜ラビエ豚のベーコンのピリ辛ポトフ〜

使用包丁:十徳包丁【錦】・陽炎【薄刃包丁】

材料(2人前)

ラビエ豚のベーコン 200g

キャベル 半玉

ゴロポイト(じゃがいも) 2個

オニオル(玉ねぎ) 1個

キャロ(人参) 2本

トメット(トマト) 1個

ネルーツ(ニンニク) 2枚

塩・胡椒・唐辛子粉 適量

水 具材が浸る程度に


①ネルーツを2枚剥がし微塵切りに。ベーコンは厚切り、玉ねぎは4等分、キャベルは半玉を更に半分に、キャロは輪切りに、ゴロポイトは水でさらして4等分にする。


②鍋に植物油をひいて、ネルーツを入れ火をつける。油に火を入れてからだとネルーツが焦げるからね。香りが良くなったところで厚切りベーコンを入れ両面に軽く焼き目をつける。


③ゴロポイトとキャロを入れ1〜2分炒めたらオニオルを入れて火が通る程度に炒める。最後にトメットを入れ軽く火を通し水を入れる。


④沸騰させながら灰汁を取りながら煮込み、塩と胡椒と唐辛子粉を入れ味を調整する。ゴロポイトが柔らかくなったら完成!


「ユウよ…。なんじゃそれは?いつもの野菜スープより格段に、良い香りがするぞ!ぺパルかぺパルを使ったのかい⁈」


台所の入口から食い入るようにこちらを見ているジャミーさんは、今にもヨダレを垂らしそうだ。

そこに立ってたのか……。気付かなかったよ。 どうした《気配察知》!


ここの人たちは調理中に、気配を消して覗く習慣でもあるのだろうか???


「はい。この野菜スープは、ポトフって言います。ニールさんの所で作っている豚の塩漬け……ベーコンを入れているのでしっかり味が出てますよ。そして先程のぺパルの実を細かく砕いたものと、赤ぺパルの粉も入ってます。どうぞ」


「おぉ〜。なんじゃこの食欲をそそる香りは!では頂こうか……」


「美味い!何という旨さじゃ。これ程の物があの実から……。野菜一つ一つからしっかりとスープに味が染み渡り、一つ一つの具が柔らかい事。弱った私の歯でも溶けるようになくなっていくよ。そして舌が少し痺れるようなピリッとした刺激と、舌が熱くなるような身体が温まるような感覚……。トメットの酸味と豚の塩漬けの味も良く合っているよ。」


ふっ〜。と息を吐き出し、軽く額と鼻の頭に汗を浮かべ、心なしか顔色も良くなったジャミーさんが、目を閉じて手を合わせている。


「こんな美味しい料理を頂いたのは初めてだよ。普段はその辺の野菜を炒めるか、生で食べるかだからね。ぺパルの実と赤ぺパルの実で、ここまで美味しくなるなんて。いや違うね。この2つを使ったから美味しくなったんじゃあ無いね。ユウ。ありがとうご馳走になったよ」


「いえ。こちらこそありがとうございます。ジャミーさんのお陰で、探していたものが見つかりましたし。美味しいって言ってもらえるだけで嬉しいです。ただぺパルの実を使うのは、まだ一般的じゃないですから、使うならジャミーさんが食べる料理だけにしといてくれると嬉しいです」


「あぁ勿論だ。広めたって料理方法を知らなきゃ意味ないからね。また作ってもらえたら嬉しいよ」


身体も心もあったまる。そんな料理がまた作れたらいいな。久し振りにこの言葉を……

「お粗末さまでした」




キャベル = キャベツ

ゴロポイト = じゃがいも

オニオル = 玉葱

キャロ = 人参

トメット = トマト

ネルーツ = ニンニク


香辛料第一弾 胡椒と唐辛子を発見しました。これで料理の幅が少し広がります。


またまたブックマークに登録頂き有難うございます。

これからもよろしくお願いします。

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