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15.テンプレは強者によって阻まれる。


「はい。依頼達成お疲れ様です」


うんうん。美人の笑顔は最高だね。


ニール精肉店:ラビエ豚 ラビエ牛の解体作業手伝い


ジャミー調薬店:調薬の下準備作業手伝い


2つの依頼を午前と午後で終わらせ、受付にいたミリネさんへ達成報告を済ませたが、今日も笑顔が最高に素敵でした。


精肉店で、解体の技術を教えてもらったが、転生前の技術がそのまま活かせた。


あまりの手際の良さに驚かれたが、村で狩った動物の解体を、していたと言ったらすぐに納得してくれた。


《料理》スキルにより、おおよその解体部位や手順が転生前の記憶と合わさり、食材を前にすれば刃の入れ方を教えてくれる。


まだまだ足りない熟練度で、ここまで出来たのは、間違えなく前世の知識があったからだろう。



そして、驚いたのが調薬の依頼だった。


店に行き、ジャミーさんと言う調薬師さんのもと、ポーションの作成を手伝ったが、薬草を茹でて柔らかくなったところですり潰し、浄水に混ぜて濾した液を瓶詰めする作業を淡々とこなしたが、この作業に《料理》スキルが適用されていたのだ。


茹で時間や、茹でる火力などが勘が良い程度に、何となく分かり、出来るポーションの質が良いと、ジャミーさんからお墨付きを貰った。


ただあくまで作業について、適用されていたが、薬草を持っても食材のように、効能などが浮かび上がるわけではなかった。


たぶん母さんの、薬草学のスキルが必要なんだと思う。

でも薬草を使う料理もあるから、薬草の事をもう少し勉強してもいいかもね。


「これで、3つの依頼は終了ですね。この後も他の街中クエストを受けられますか?」


「はい。またお勧めの依頼を教えて下さい。シルネさんが教えてくれた今回の3つとも本当に役立ちました。あとでお礼を言わなくちゃですね。それと午前か午後のどちらかで武術を習うことは可能ですか?なにぶん迷宮に入れば魔物と戦う必要がありますから」


「おいおいおい。なんだー?ガキっお前冒険者になってやる事がお使いクエストだぁ〜。おいっ折角なら俺が指導してやるよ」


後ろから肩を掴まれ強引に振り向かされると、下卑た笑いを浮かべた3人の冒険者が囲っていた。


やっぱり美人の最高の笑顔は、馬鹿な男を引きつけるみたいだ。


直接声を掛けた男は180cm程の身長にがっしりとした体格をもち、頬に大きな傷を持っていた。


冒険者風?と言うのは間違った表現だろうか。


金属の肩当てに心臓部分を守る胸当てといういかにもな格好。

武器は斧か?と思ったが幅広の剣を腰に刺している。


戦士職には見えるが、剣士には見えないのが不思議だ。


もう一人は、少し低めの170cmくらいだろうか、長い手足のスラリとした体格をしてはいるがボサボサの髪の毛に無精髭を生やし、気持ち悪い笑みを浮かべている。


武器は短槍を背中に背負っている。


最後の一人は小柄なちっちゃいおっさん。

卑屈な笑いを浮かべているが、リーダーの腰巾着と言った感じで、腰に短剣を挿している。


見た目 盗賊職シーフだ。普通ならシーフでも斥候職って認識だけど、このおっちゃんはどう見ても本職も盗賊シーフと言っても驚きはしない。


この人を馬鹿にした感じ、村にいたときのコダンを思い出すよ。


こう言う輩は……。《しらべる》っと。


名前:ジーパー

年齢:29

性別:男

職業:冒険者

スキル:剣術 痺れ耐性

備考:恐喝 強姦


名前:グリット

年齢:26

性別:男

職業:冒険者

スキル:槍術 家事

備考:傷害


名前:メジル

年齢:26

性別:男

職業:冒険者

スキル:罠解除 木工

備考:窃盗 強姦


アウトー。


そうか、ここの【神在板】は、殺害や強盗みたいな罪に反応するから、強姦や窃盗じゃ反応しないのか。


やっぱり、ちっちゃいおっちゃんは泥棒さんでした。


まぁこのギルド内なら、いきなり斬りつけられることもないだろうし、大丈夫かな。


「あー。すみません。お忙しい皆さん手を態々煩わせるのも申し訳無いので、ギルドの講習を受けるので大丈夫です。それに街中クエストばかりで、お支払い出来るお金もないので」


なるべく事を荒だてたくないけど、まぁテンプレ通りなら何言っても無駄なんだろうな。


「お前よりもランクの上の俺が、自ら指導を買って出てんだ。今持ってる有り金全部で……」


「あー。坊主 《ナザーレ》で、飯作ってた坊主だろ!なんだなんだ、トラブルか? トラブルか?なぁジーパー?」


にっこりと、爽やかな金髪イケメン中年が、威圧感をだしてジーパーの前に割り込み、ジーパーの肩に手を置く。


その肩に置いた手には、相当の力が込められているのか、ジーパーの顔が歪む。


話かけてきたその男性は、見るからに上級冒険者でありジーパー達の格好が、滑稽に見えるほど立派な深い青色の鎧を身につけていた。


「何言ってんだよフォルスさん。何もしてねえし、これからもする気はねえよ。あんたいつも傍観してるだけなのに、なんで出てくんだよ。このガキはあんたの何なんだよ……」


苦悶の表情を浮かべ、フォルスと呼んだイケメン中年に、僕との関係を聞いているが、僕もさっぱり分からん。


こんな金髪イケメンと。知り合った覚えは全くない……。


「いやいや。気を付けろよお前ら。この坊主に目をかけてる奴は結構いるぜ。何てったって、この坊主に胃袋つかまれてるからな!」


振り返って親指を立てて「な!」って言われたところでやっと気付いたが、昨日の客の1人のようだ。


そういえば最初に、飯作ってたとか何とか言ってたな。

僕が作ったって、何で知ってんだろう?


「い……胃袋?何訳わかんねぇ事を……。分かったもう手出しはしねぇし、関わらねえよ。だからて……手を がぁぁあ」


崩れ落ちるように膝をついたジーパーは、他の2人に体を支えられている。


2人がめちゃくちゃ高速で、頭を何度も下げながらギルドから出ていくし、これはもう今日からしばらく臨時休暇だな。


ご愁傷様。


見えないように軽く手を合わせると、横から改めて声を掛けられた。


「よう。坊主災難だったな。あいつらに目を付けられるとしつけえんだ。悪いな急に。あっ俺はフォルスな、一応Aランクだ。坊主はサラムさんの所で泊まってる新人だろ?」


「はい。フォルスさん。先程は助けて頂いて有難うございます。僕はユウって言います。もしかして昨日の夜、食堂にいらしたのですか?ならすみません全く気づけず」


どうしても調理中は集中してるからなぁ。


肩叩くとかしてもらわないと、料理を提供する事に関係ない事は、あまり気付かないんだよね。


「いんや。全く気にしてないぞ。うめぇステーキの礼をしようと厨房覗いたら、ユウが凄い勢いで調理してたからな。声かけずに引っ込んだんだ。だから結構ユウの事確認しに行った奴多いぜ。いつもは食えりゃいいと思って胃袋に詰め込んでたけど、あれは美味かった。ステーキなんて9枚も食べちまった。そんなユウを失う訳にはいかないからな。まぁ今後もよろしくな」


頭をガシガシと少し乱暴に撫でられたが、嫌な気持ちにはならなかかった。


美味いと面と向かって言ってもらえる。

こんな料理人冥利に尽きる事があるだろうか。


ギルドから出て行くフォルスさんの背中に深々とお辞儀をする。


「ありがとうございました。またのご来店お待ちしております」


やっとギルドで絡まれる。が出来ました。

前作を読んでいただいた読者の方は存じていると思いますが、私はテンプレ・王道が大好物です!


ブックマーク&評価頂き有難うございます。

引き続きよろしくお願いします。

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