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1.プロローグ

『転移先では望みのままに』を読んでいただいた方も初めての皆様も、興味を持っていただき有難うございます。

前作の合間に書いていた小説を公開しました。

楽しんでいただけると幸いです。よろしくお願いします。


改訂報告

転生 転移を担当している。という文面をカットしました。

とある神社の境内。

ここは日本でも唯一料理の神を祀る神社だ。


海藤かいとう ゆう36歳。


様々なレストランでの修行を15年積みこの度やっと独立の決心を固めた。


というのも、最後の修行をつけてくれた洋食メインの食堂【鷹野】のシェフ鷹野康夫は、本来ならば伝統あるレストランで働いていてもおかしくない経歴を持っているシェフであり、俺の一番の師匠だ。


3つ星ホテルの総料理長を務め、ある日突然


「ここには熱がねぇ。本当のお客の顔も見れねぇ」

といい辞職し、実家近くに洋食屋を開業した。


本人曰く、美味いの基準が食べた本人じゃなく店が決めている。


ここの店の料理の味が美味い。そうじゃないだろ?と昔酔っ払った時に話してくれた。


師匠は泣上戸だからな。


そんな訳で、師匠からはそろそろ独立しろよ……。と今年になって言われて数ヶ月。


とうとう決心を固めた。


そして、師匠から教えて貰った日本で唯一、料理の神様が祀られている。千葉にある神社に、師匠から貰った名工が鍛え上げた和包丁のセットを神主様に祓って頂き、独立の成功とお客さんの笑顔を祈ってお参りをした。


店は3日後大安吉日の天気予報では晴天予報。


まぁ大安吉日は六曜で、仏教でも神道でもないらしいから験担ぎ的な感じかな。


開店場所は東京のおしゃれスポット自由が丘!の近くの大きな通り沿い。


駅からは15分以上掛かるが近くにコインパーキングもあるし、バス停もある。


大きな通りから一本入れば閑静な住宅街が広がっている。固定客を掴めれば何とかなるだろう。


師匠の実家が吉祥寺だから、いつでも相談に行けるというのも安心材料の一つだ。


師匠と相談してオフィス街は選択肢から外して、とにかく地域密着の料理屋にするつもりだ。


店名は『うみ屋』洋食を中心に和食も提供するフレンチやイタリアン、和食専門ではない師匠と同じ食堂にした。


なぜ『うみ屋』だって?そりゃ俺の名前が海藤だからってのもあるが、うみ屋・うみや・うみゃ・うみゃーって感じで食べた瞬間うみゃーって感じ?って師匠に説明したら、めっちゃ白い目で見られた……。


「料理の神様、この度料理屋〜うみ屋〜を開店することになりました。お客様が笑顔で帰る店になりますようにお願い致します」


2礼2拍手1礼。


ここでの作法がこれで良いかは分からないが、間違ってはいないだろう。


「さてと、お参りも終わったし南房総ならではの美味いもんでも食べて帰ろうかね」


「とまぁここまでは覚えてるんだよ。ここはどこだ?」


なんだかモヤモヤする頭に、手を当てがぶりを振ってみてもスッキリしない。


周りは白一色、さっきまでの境内とは雰囲気が、全く違うし。

「ぉ〜ぃ」

「ぉ〜ぃ」

「お〜い」

「お〜い!」

「おーい‼︎」

「おいって‼︎」


後方で何やら声がするが、ここは一先ず放っておこう。

振り向いちゃ行けない気がするんだよね。


「ねぇ 泣くよ?そろそろ泣いちゃうよ?僕一応神様だよ。気付いて無視されてるのとか分かってるよ?」


なにやら不穏なワードが出てきたな。


神様?


おぉそういえば料理の神様の所にお参りに来たんだから、なんかのご利益か?


「あぁ〜。違うかな〜。料理の神様とは違うかな〜。どちらかと言えば苦手かな〜」


ん。違うっぽいな。じゃあなんだ?夢か?


「いや〜一応現実?現実かな?ねぇそろそろ後ろ向いて心ん中で喋んのやめない?ちゃんとお話ししない?」


そろそろ現実逃避もやめにするか。

夢じゃないっていうのは、この膝を真っ赤になるまでつねったりしてみたからなんとなく分かった。


思いっきり抓ってみたけど一瞬で赤みも痛みも引いていくし。まぁ現実じゃなかったら後は幻覚・幻聴か。


それを自覚しているから精神障害じゃないとは信じたいが…。しょうがないか。


「海藤 優だ。無視したのは悪かった。よければどういう状態か教えてくれると嬉しい」


意を決して後ろを振り返り、胡座をかいた状態で両拳を地に付け、頭を下げる。


「いや。いいんだ。やっとその気になってくれたんだね!僕はネル。神族の末端で自分の担当する異世界を創ってるんだ。それより顔上げてくれないかな」


透き通ったソプラノのような声を聞きながら、ゆっくり顔を上げるとそこには水色のドレスのようなフリルの付いた服を着た銀髪の美しい女性がいた。


顔を上げる時、下から太ももとミニスカートの境目と大きな柔らかな胸の前で一瞬止まったがバレてないだろう。


うん。


「いや。バレてますよ。意外に女性は男性の視線に敏感ですから気を付けてくださいね。海藤さん。改めて僕はネルです。よろしくね」


おぉバレていたか。次はバレぬよう気を付けよう。


しかしボクっ娘とは分かっていたが、まさかのグラマー美人だとは、想像では完全にロリっ娘ショートカットの絶壁ちゃんを想像していたが。これはこれは。


「海藤 優だ。まぁ視線は慣れてくれ!それより状況の説明をしてほしいのだが」


「えっ‼︎開き直っちゃんうんですか?それより心の声もダダ漏れですからね。グ グラマー美人だ だ だんて 」


おぉ顔が真っ赤だし、なんか壮大に噛んだなこの神様は。


「んっうんっ。それよりも状況ですね。率直にお伝えします」

「あなたは死にました」

「異世界に転生します!」


転生まであと数話続きます。

お読み頂きありがとうございます。

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