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ペンが突き刺さった日

小説書いてみたいって話を友人としていたら、なろうを教えてもらって今に至る。

異世界モノとか最初から俺ツエー系の話が人気を集める中で、

どうにか主人公の努力や成長がみられるような話を書いてみたいなと思いました。

なんて偉そうに言っといて何ですが、こういうの初なんでお手柔らかにお願いしますね(笑)

「なぁなぁ、梨本っているじゃん?」

黒板を教師がカリカリと刻む。その音の隙間から聞こえてくる男子生徒の声。

「誰だそれ?んな女いたか?」

「男だよって・・・いつもいるだろ?教室の窓側の後ろから2番目だよ。」

「ぁ・・・・あいつかぁ・・・・名前知らなかったぜwwww」

「おまぇ、ひっでw」

まあ学生服がなければの条件付きではあるが、見ようによっては大人の範疇に含まれそうな彼らでも授業中の私語というものはおいそれと止められないらしい。

ましてやそれが、他人を小馬鹿にしたような内容であれば蜜の味がするというものだろう。


いろいろ言いたいことはあるが、本人に聞こえているぞ?

もう2学期なんだから名前くらいは知っててくれてもいいじゃあないか。

そう思いながらも、梨本水月ナシモト ミヅキは教室の空気に同化するように息を潜め、ただただ彼らの会話を聞く。


「そんな事言ってもあいつ喋んないじゃん。なんか絡みずれーし。」

「喋ってるのは見た事あるけども、何言ってんだかわかんなかったなw」


コミュニケーション能力、人間社会で生きていく為にきっとこれは必要な能力なのだろう。

コミュニケーション能力、どうやら僕はそれについて秀でているわけではないらしい。

コミュニケーション能力・・・・・・・うん。


いや・・・・ぶっちゃけ苦手なんですあぁぁぁqwsでrftgyhじゅきおlp;@

嘘ついたよ!そうだよ。人前じゃ声出ないしあがっちまって、言葉のキャッチボールが成り立たないんだよ・・・・はぁ。


梨本水月、よく風流な名前だねと言われる。

それも嘘・・・言われるなんて事は無い。だって僕話とかしてませんしね。


月曜と水曜の間である火曜日に産まれ落ちた。

そんな適当な事実に由来して名づけられたなんて、大して面白くもないエピソードについてすらクラスの誰だって知らない。

小学生の頃は友達とかも居たはずなのに・・・いつのまにやらボッチになってしまっていた。


授業を終えたらまっすぐ家に帰って、殆ど誰とも話さずに翌日提出の課題を終え、スマホでゲームをしたら布団に入る。そんな毎日をかれこれ1年半続けていた。

そしてミズキは思う。話すって事は体力の要るものなんだろうな・・・と。

そんな理屈でいくと体力をあまり使っていない僕が中々寝付けないのも道理というわけだ。

目を閉じて意識が朝に繋がるのをただ待つ。

いつだって振り返るのは過去の事。


高校デビュー・・・なんて意気込んでた去年の春を思い出す。

あれは最初の自己紹介の時だったろうか。


「よし次行くぞ~。え~梨本。男子出席番号15番の梨本~。うんお前の番だぞ。うん。ここに立って始めてくれ。はいっ。」


何を隠そうこの日の僕は準備万端であった。

自己紹介があるのは前もって分かっていたし、クラスの真ん中くらいの階層の人間として評価される程度には話す内容も作りこんできてある。

そう。心配することは無い。

ただ人の前に立って話すだけだ。


「皆さんはじめまして!!なしもt」

「まった!!!」

「ぇっ…?」


唐突に自己紹介が遮られた。


なんだこれ?


「彼の中学の担任の前沢先生に聞いたんだが、梨本はこう見えて中学じゃギャグマシーンって呼ばれてた逸材なんだそうだ。そうだよな?期待して聞くように!!!はい拍手!!」パチパチパチパチ・・・・!!盛大な拍手が教室に鳴り響く。


担任の巳桜先生は中々のイケメンだが、あの瞬間は間違いなく死刑執行人であった。

拍手が徐々に止み、凛とした静寂の中俺は言葉を紡いだ。


「はじm・・・・t、梨本mzkでs。よrしk。」




あぁ・・分かってるさ。

我ながら蚊の鳴くような声でしたよ。ええ。

緩やかにトーンダウン。チキンハートに乾杯。


「え?」

「え?なんて?」

「声ちっさww」

「がんばれギャグマシーンwwwww」

「よろしくなっしーwwww」


・・・・終わった。

その後本物のギャグマシーンこと山崎が登場し、巳桜先生の勘違いに突っ込みを入れる山崎が教室を沸かせたのは言うまでも無い。

以来彼はクラスの人気者だ。あぁ羨ましい妬ましい。


え?僕はどうだって?

あぁ・・・あれ以来必要最低限の会話しかしていない。

いやほんと、高校生やり直したい。


違う。


そうじゃない。


もっとこう、根本的に自分自身が変われるようなチャンスがあれば…。

「ま、無理か・・・」

世の中そんな甘くないよな。

ふぅとため息をつき、つぶやいた音は虚空に吸い込まれていく。



「見つけました。」

…虚空から声がした。


「え?」

遠のいていた意識が唐突に引き戻される。


「だれ?か、いるのか?」

ゆっくり開いた瞼の向こうに見えたのは人間、それも髪の長さから女であろうか。

フードの奥から怪しく光る両目が俺を値踏みし、

やっと食い物にありつけるといった様子で舐めるようにじっくりと僕の存在を確かめていた。


「おまっ…なn」

「しーーーーーー。って言うんだよね?こちらでは。」

声を出そうとした俺の唇に指を当てて女は言う。

体が驚きと混乱からくる緊張で動かない・・・・目だけはどうにか動かせそうだ。

暗いはずのこの部屋で何故か薄紫の光を纏ってひらひら浮かぶフードの女。

どう考えても普通じゃない。こちら?何の事だよ。いやそもそもなんで浮いてんの?見た感じファッション性もこちらのものとは大分違う、中央アジアの踊り子のような恰好といえばいいのだろうか。


悪い夢だ。そうとしか思えない。そうだ、目を閉じれば朝が来るはずだ。

そんな俺の気持ちをよそに女は言葉を紡ぐ。

「こんばんは静寂の御子、貴方に会いに来ました。」

「貴方は梨本 水月・・・そういう名前なのでしょう?」


…ダメだ・・・眠れん。いやこれは夢なのだから、起きれん。そう俺は起きれないんだ。


「夢じゃないの。話を聞いて?」


なんで俺の名前を知っているのだろう・・・

こんな知り合いは居ない。


「うん…疑うのも仕方がないよね。こうすれば信じてくれる??」

セリフから不穏な空気を悟ったのも束の間、

女の手がすっと僕のほうに向けられた。


「・・・・?」

なんだ?

なにやら内臓がざわつく・・・・

ドーゥンドーゥン

ドゥンッドゥンッ

まるでウーファーが唸るような振動を体に感じる。

ドゥンドゥンドゥンドゥンッ

ドッドッッドッドッド

振動がの感覚が徐々に早くなり、音と音が重なり始める。

ドドドドドドド・・・

・ーーーーーーーーーーーーーーーッーーーーーーーー!!!!!


音が一体化し、キーンと一つの線のように変化したとき、

あり得ない事が起こった。


突如自分の体が天井に向かって落ちていく。

「え?・・・・あぁぁぁあああああああああああああぁああああぶっ」

天井に衝突する直前で急停止したせいで体が弓のように跳ね、その衝撃で呼吸が止まる。

「おごっ・・・」

一体何が起こったんだ。



「・・・体が・・・ういて・・・っ」

「これは夢?」

僕の動揺を見透かしたように女は言い放ち、

今度は横向きに飛ばされる。


「ぁああああああああああああああああっっ」

「ぁうぐんっ」

またもや急停止。


「ゴハッ・・・ガ・・ハァハァ・・・もう・・・いい」


「分かってもらえた?かな?」

無邪気に微笑む彼女。

美しい声は天使のようだ。

「はい・・・わかりましt・・・・

・・・・・・・・・あぁぁあああああああああああああああっ」


ついでとばかりに腕を下に振り下げた彼女。

前言撤回・・・この人悪魔です。

僕は数分の間弄ばれ、ようやく謎の力から解放された。


「知る権利が貴方にはあります。」


ベッドから体を起こすと、女は順を追って説明を始めた。

曰く、彼女はこの世界の住人ではないらしい。

俺たちが住む世界と薄い紙が重なるように存在する別の世界からやってきたそうだ。

丁度こんな感じ、と机にあった紙と紙を重ねヒラヒラさせる。

通常その二つの世界に繋がりは無いが、

ウォーカーと呼ばれる特殊な能力を持つ一部の人間だけが特例で行き来する事が出来るという事らしい。

「それが私、こうやって世界と世界を繋ぐ・・・それって素敵でしょう」


そういうと、明日提出予定のプリント課題をボールペンで突き刺し、にっこり笑うのだった。なんなのこの人。


「私たちの世界ディルムガルドでは、音の力を利用する技術が発達していたの。」


「・・・音の力?えっと・・・音波?」


「ええ、音波。貴方達がそう呼ぶ物に似ているけれど、私たちの使うものは魔法

との相乗効果があるから、生み出す力は貴方達の知っているものの比では無いはずよ?」

さっき味わったでしょと言う彼女。

あぁ…あれッスか。なんか納得した。

確かに一個人が人をぶんぶん飛ばし回す力はやばいとしか言いようがない。


音の力を利用した彼らの文明は繁栄を極めた。

しかし、不測の事態が起こる。

響獣キョウジュウ

・・・と言うらしい。3本の角を生やす異形の獣。

ただの伝説上の存在だったそれは、人間にしか扱えなかった音の力を行使し人里に現れては村々を襲うそうだ。


「・・・ふむ」

あまりにも現実味の無い話にまともなリアクションはとれそうもない。


「さらにある新月の夜、国王付きの預言者アクルが轟王ジンオウの復活を示唆したわ。」


「・・・・・・じんおう・・轟王?」


「そう。その名が表すのはディルムガルドに伝わりし伝説の魔王。雷神の生まれ変わりであり、響獣達の長。膨大な魔力を持ち並みの勇者では太刀打ち出来なかった。」みんな死んでいったと彼女は眼を伏せた。


「うぅん・・・いかんな話が大きすぎてなんとも・・・。」

なんとも・・・信じられん。魔法くらっといてそういうのも変なのだけれど。


「多くの轟王討伐体が壊滅していったわ。

・・・・一発逆転のカギが必要だった。

私たちらウォーカーはアクルの指示で、ある人物を探す事にしたの。

それは静寂の呪法をその身に宿し轟王を打ち砕く者。静寂の御子。」


それが貴方と指差した彼女のフードがひらりとめくれた。

・・・・。

・・・・・・・幼女でした。マジかよ。

「え・・・は?僕?」


「そっ。君だよ。ミズキ。」


戦えと?

そんなの絶対嫌なんですが。

断固お断りします。何が悲しくて轟王なんぞと戦わにゃならんのだ。

いくら幼女に頼まれたからといって俺は・・・・

「・・・・ぁ、その・・・ごm・・・」


「うん?」


頼む・・・曇りなき眼で俺を見つめないでくれ。

聞き返さないでくれ・・・。俺は・・・・


ドーゥンドーゥン・・

ドゥンドゥンドゥン・・・

「来てくれるよね?(にっこり)」


「・・・・ぃきます。」

やばい音が聞こえてた気がするのはきっと気のせい。


今日までの俺の日常はドS幼女のボールペンに貫かれ、非日常へと落ちていく事となった。


俺は梨本水月、コミュニケーションが苦手な17歳・・・・静寂の御子なのだそうだ。

人間付き合いって本当に難しいですね。

僕の中にもミズキがいて、不意に親しくない人と対面する時にひょっこり顔を覗かせます。もしかすると幼いころに何やら失敗の経験を積んだせいかもしれません。あるいは生来の気の小ささから来ているのかもしれません。

どちらにせよ、私たちはそんな自分の弱さを理解してうまく付き合ってあげなくては…と思うわけです。

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