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考えてた
放課後。
カナが用事があるというので、一人で街をぶらついていた。
…ナオ。
やっぱり、忘れるなんて無理なんだろうか?
街路のベンチに座って、ボーっと考える。
どうなっちゃうんだろう。
「シンジ!」
ナオだった。
「横、いい?」
「うん…」
…。
「ナオのこと、考えてた」
「そう…」
…。
「私も、シンジのこと、考えてた…」
ナオが手を差し出してきた。
僕は手を握った。
それから、しばらく時間がたった。
「どうしよう…」
「この後?」
「そうじゃなくて…」
「えっ?」
静かに、時間だけがたっていった。