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帰ろっか?
ファストフード。
ナオが立ち上がった。
彼女は、一緒にいた男子生徒と離れた。
…そして、こっちにやってくる。
「…こんにちは」
「やあ…」
ナオは僕のテーブルに座った。
「ケータイで、用事が入っちゃったみたい」
「新しい、彼なのかい?」
「まあね…」
…。
「帰ろっか?」
僕は言った。
「もうちょっと、いよう」
ナオが、ちょっと、すがるような目で言った。
「なにかあったのかい?」
「別にそうじゃないけど…」
…。
心の中に、なにか、忘れかけていたものが、よみがえってきた。
まずい!
「やっぱり、僕、帰るよ」
「え、もうちょっと…」
僕はナオの制止を振り切って、店を出た。