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blessing  作者: 雨音未波
37/37

†〜3〜†

「5日間此所を空ける?」


「あぁ。祖父に会いに行かないといけなくなったんだ。手紙が来てな」



あの騒動から一週間。

城の人達は街の復興で慌ただしかった。

しかしそれも一週間で終わり、やっとみんな…十夜も休めると思ったんだけど……。


十夜のお爺ちゃんから、手紙が来た。

今までの事、そして闇の事について詳しく話したいらしい。


だからまた十夜は忙しくなる。

5日間此所を空けて、お爺ちゃんに会いに行くんだそうだ。

もちろん十夜の側近の旒來さんも。(今分かったんだよ!旒來さんが十夜の側近だって!!)



「疲れてない?復興作業忙しかったじゃん」



十夜は人一倍働いたと思う。

睡眠もろくに摂らないで、いつも復興作業をしていた。

だから絶対疲れてるのに…。また遠出をしなきゃいけないなんて、大変すぎるよ…。



「あぁ…確かに疲れてるけど…平気だ」


「……皇子だからって、弱音吐いちゃ駄目って訳じゃないんだよ?」



十夜は我慢してる。

みんなが見てない所で、苦しそうな表情をしてるのあたし知ってるよ。


十夜は柔らかい微笑みを向けると、椅子から立ち上がり窓のある場所へと移動した。


夜空を見ながら、言う。



「そうだな。でも俺は…みんなの為なら何でもしたいって思うから。辛い時もあるけど……弱音吐いてる時なんかないんだ」



月の光に照らされた十夜の顔は、憂いを帯びていて、切なく見えた。



「じゃあ……弱音吐きたい時になったらあたしに言ってね!あたしは聞くから!!十夜の弱音!!いつでも頼ってよっ!!」



亜子はガッツポーズをして笑うと、十夜はそんな亜子を見て、目を細めて優しく笑った。



「ありがとう、亜子…」


「いいえ!!」



だから…辛い顔はしないでね。十夜……。







次の日、十夜と旒來さん、少数の兵達は、十夜のお爺ちゃんの元へと旅立って行った……。



そして十夜から聞いた事。

またいつ闇が襲ってくるか分からないし、あたしを一人にすると危ないから、別の守護者を側に置くみたい。


水の力を得意とする守護者。

十夜の幼なじみなんだって。明日会う約束をしてるんだけど…。

どんな人なのかな。

会うの楽しみ!!


亜子はその夜、胸を弾ませながら眠りについたとか。







翌朝……。


亜子はいつもより早く目を覚まして、支度をし、いつでも会いに来て良いように準備をした。


そして時刻が9時を回った頃……。



「亜子、失礼します」



諷羅の声が部屋の扉の向こうから聞こえた。


「はぁい」


軽く返事をして、走って扉に向かう。

ドアノブに手を掛けて、視界に諷羅が映った。

それと…諷羅の後ろに居るスカイブルーの髪をした男の人も。



もしかしてこの人が…十夜の幼なじみ?

水の力を持った、守護者……。



「亜子、鳴巳(なるみ)様が参りました。ご挨拶を」



諷羅は後ろに居る男の人を前に出すように、自分が下がって男の人を前に出した。


見えたのは……とても綺麗な男の人。

髪の毛の色、スカイブルーが映えてとても綺麗だった。

もちろん顔立ちも。

よく整っていて、十夜や旒來さんみたいに美形だった。

つい魅とれてしまうくらい綺麗な人。


「亜子様、水の力を得意とする守護者…鳴巳です。はじめまして」



スッ…と右手を胸の辺りまで持ってきて曲げると、お辞儀をされた。


慌ててあたしもお辞儀をする。


「は、はじめまして!亜子ですっ!今日からよろしくお願いします!!」



すごく大きい声だったのだろう。

鳴巳と諷羅は目を大きく見開いて固まっている。

亜子は、はは…と乾いた声を漏らした。






―――…



「亜子様は元気な方ですね。びっくりしました」


「いやっあれはその…てか様いりません!どうぞ呼び捨てして下さい!!」


「え?」



様付け嫌いだしっ是非名前で呼んで欲しいよ!こんな美形さんには!!


「それじゃあ…敬語も無しで」


「…えっ?」


意外な言葉に亜子が固まる。


敬語無しって…まさか鳴巳君から言ってくれるなんて…。

嬉しい!!


「うん!!敬語無しで呼び捨てねっ!!」


「じゃあ改めてよろしく。亜子」


鳴巳が亜子に手を差し出す。


「よろしくっ鳴巳君!!」


差し出された手を、あたしは強く握った。

それから、亜子の部屋で話は弾む…。


気がつけば、もう陽は沈みかけていた。



「もうこんな時間か…早いなぁ、時間が過ぎるのは」


「そうだね。それじゃあ亜子、俺はこれから用事があるから。少し出てくるよ」


「あっうん。じゃあまたね」

「すぐ戻ってくるから。その後に、亜子についてきて欲しい場所があるんだけど。来てくれるか?」


「え?…うん、良いよ」


「良かった。それじゃあまた来るから」


そう告げると、鳴巳君は部屋から出ていった。

あたしは夕日色の窓を見つめて、鳴巳君が言った事を考える。


「ついてきて欲しい場所って、何処だろ…。まぁいっか、すぐに分かるもんね」


亜子はベッドまで近寄り、勢いよくダイブした。

ふかふかのベッドが、亜子の眠気を誘う…。


すぐに亜子は、深い眠りへと堕ちていった……。

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