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二人の会話は続く…。
「なら分かっているでしょう。亜子さんがどんな存在か…そして……首にかかっているネックレス…」
チラッとあたしの首にかかってるネックレスを旒來は見た。
しかしすぐに視線を逸らす。
何?このネックレスに何かあるの?
話について行けなぃぃぃ!
「…あのネックレスは、サクヤ様から受け継いだ物…、虹色の水晶玉…なら彼女は…」
あたしはこの言葉にカチンときた。少しね…。
「ちょっと待ってよ!」
すぐに旒來に向かって叫んだ。
だって黙ってらんない!
このネックレスは…っ!!
「このネックレスはあたしの全財産使って買ったネックレスだよ!そのサクヤ?とか言う人から貰ってないからっ!勘違いしないでよ!!」
いきなりの大声に二人はあたしを見て固まってしまった。
でも納得出来ないんだもん!これはあたしが迷いに迷って買ったやつなのに!それを貰った!?ふざけんな!ならあたしの全財産がパァじゃんっ!!貰ったって言うならあたしの金返せ!!!
…ぁ…あれ?何か変な方向に…。…まぁいいよ!!
「とにかく!!これはあたしが買った物ですっ!分かった!?」
疲れて肩で息をしているあたしに、二人はまだ固まったまま。
でもいいの!言う事言った!満足!!
…けど、サクヤって誰?
また疑問が出来て、聞こうと二人に話しかけようとしたが…。
あたしのさっきの文句に放心状態の二人…。
…何か話しかけづらい…。てか怒っちゃったし、居づらい…。どうしよう…。
さっきの文句を反省し、体を小さくして下を向いた。
それに気づいた十夜がフッと笑い、優しくあたしの頭を撫でてくれた。
「泣くなって、俺達が悪かったよ。だからもう泣くな、なっ?」
優しい声…泣いてないんだけどな…。
…でも…興奮してたから少し落ち着いた。ちゃんと状況を理解しよう。
「…ん…ありがと十夜さん」
あたしは頭を上げた。十夜は笑ってると思ったんだけど…。
何故か驚いた顔してる…何故?
「俺達年近いだろ?多分。なのにさん付けいらねーよ。十夜でいい」
ぁ…だから驚いてたんだ。成る程…。
「あたし16だけど…」
「何だ、同じじゃん。ならお互い呼び捨てな」
「ぅ…ぅん…」
「よし」
十夜は満足の顔をしていた。そして笑った。
その笑顔は、幼い子供の様な笑顔で、とても優しそうだった…。
…可愛い…。
思ってたら顔が熱くなってきた…。あたしは気づいて両手で顔を覆う。その行動を不思議に思った十夜は、あたしの顔を覗いてきた。
「どうした?具合悪いか?」
「ちっ…違…」
必死で顔を隠す。そしたら上からクスクスと微かな笑い声が…。
「…何笑ってんだよ、旒來」
十夜は笑ってる旒來に気づき訊ねた。旒來は未だ顔に笑みを残し、十夜の問いに答える。
「いえ…何でもないです、すいません」
そしていつもの優しい表情であたしを見た。
「亜子さん、話の途中でしたね。続けましょう」
「ぁ…はい」
あたしも顔の赤みを取り、二人に向き直った。
「では初めから…」




