プロローグ
生来、俺は大体のことに関して無気力だった。
スポーツしかり、勉学しかり、遊ぶことにおいてもそうだった。
しかし、生きることに関しては俺は無気力ではなかった。
そのことは俺にとっては僥倖なのだろう。・・・多分。
無気力というのは解決するのはとても難しい。その問題を解決することさえ億劫なのだから、誰かが何とかしてくれなければ解決はしない。
普通であるならば学力の低下、運動不足による体力の低下や免疫力の低下という外見の変化が顕著になってきて先生や親との話し合いになり、そこから心機一転がんばってみようかというふうになるのかもしれないが、どうも俺は妙に要領がいいらしかった
つまり、そこそこなんでもできたのである。
まあ、秀才と呼ばれるほどでもなかったのだが、そのせいで誰にも特に無気力ということを問題視されることがなくこの度高校一年生の春を迎えることになった。
・・・拍手喝采どうも。
中の上ぐらいの高校に進学した俺は普通なあくびが出そうな暇な学園生活を期待していたのだが、世の中そう上手くいかないものである。
俺はどうやら、十六年生きてきて初めての努力というものを見せなければならないようだ。