好きな彼女
太陽がギラギラと輝くほどの暑い夏の日のこと。僕と君が初めて出会ったのはビニールハウスの中だった。
その時の僕はまだ小学生で、気づいたら君はビニールハウスの中にいたんだったよね。熱気がこもったビニールハウスの中で、顔を真っ赤にしている君を初めて見たとき、僕の胸はときめきだした。僕にとっては運命の出会いだ。
けれど、正直心配でもあった。君の顔があまりにも赤くて、倒れて顔がぐちゃっと潰れとしまいそうで不安だったのだ。
僕は恥ずかしかったけれど、勇気をふりしぼって君を支えてあげた。そのとき、君の髪が僕の鼻に触れて、くすぐったかったのをいまでも覚えている。
再び君と出会ったのはレストランだった。
レストランでの君は、とても瑞々しくて輝いていた。実際、君の肌に触るとすべすべしていて弾力があった。そしてやっぱり君は顔を赤くして照れくさそうにしていたね。
服装だってヒラヒラとして服を着ていていつもよりおしゃれで、僕の胸は一層ときめいたよ。やっぱり君を好きになってよかったって思った。
いつも会うたび、君の魅力に僕はうっとりとして頬を緩めてしまう。
でも、そんな君もいつも照れて赤くなっているばかりではなかったね。時には青ざめた顔をしていた時も
あった。
僕は最初、病気にでもなったんじゃないかと心配したよ。でも本当に病気になった時はびっくりしたよ。君のつやつやとした肌があんなにも黒くなるなんて、信じられなかった。その時は僕が付きっ切りで看病したね。きちんと君に薬を飲ませてあげたらよくなってよかったよ。
そういえば君は虫が苦手だったっけ。虫が近づくのを君はすごく嫌がってたものね。そのたびに僕がとってあげたんだっけ。頼りになる彼氏でよかったでしょ。
でも時には君と居すぎて正直、嫌になることもあった。もう顔すら見たくなかった時だってあったよ。だからついつい他の子と浮気しそうにもなった。でも、何故か君の顔が浮かんでくるんだ。君の照れた赤い
顔が魅力的で、君のことが心配で、胸が切なくなる。
そうしてようやく分かったよ。やっぱり君と一緒にいることが僕にとって幸せなんだって。どれだけ大切なのかが分かったんだ。
だから僕は君と一緒にいたい、いつまでも。
僕は君と一緒にいられるように努力したんだ。やっぱり、君はビニールハウスの中が一番似合っているよ。大好きだよ、僕の真っ赤なトマト。