島の初秋
沖縄おばあ伊良部よし子は
浪花珍道中から 帰ってきて
落ち着いた日々に
沖縄 那覇空港に おばあこと伊良部よし子が 着くと
川満きみと息子 陽太が 迎に来てくれていた
よし子は
「わざわざ 迎に来てくれて 悪いさ」と言うと
「私も こっちに用事が有ったからね 良いさ」と きみが 笑いながら 答えた 陽太も
「買い物も したさ」と嬉しそうに言った
3人で 車に乗り プチドライブ感覚で 島まで帰って行った
9月半ば 沖縄はまだまだ 夏である
島に着くと きみが
「おばあ 今日家で 晩ご飯 食べようね 今朝 良い魚有ったから 買っといたさ」と言った
きみは 本当に働き者で よく気がつく よし子も感謝しながら
「嬉しいね」と言った
夕食の時 有紀江から 渡されたお土産を きみと陽太に渡した
きみは
「嬉しいさ こんな良い物 悪いね」と お土産のスカーフを広げながら言った よし子は
「綺麗な 風呂敷さ」と言った きみは ちがうけど・・・まっ良いか と思った 陽太は
「これ 格好いいさ このカバンに色々入れるさ」と言い 中に入っていた タオルで汗をぬぐった
きみが
「ゆきちゃん 元気だった?」と聞くと よし子は
「皆 元気さ それに 祐もゆきも 友達が沢山居るね」と言った
「そう それで 大阪は楽しかった?」と きみが尋ねると よし子は
「楽しかったさ 色々あったね 甲子園球場にも行ったさ」と言い 笑いながら 大阪珍道中を話まくった
よし子が ひとしきり 話終えると きみが
「大阪は 楽しいね 私も行きたいね それに ゆきちゃん 健二さんの事 よく覚えててくれて 嬉しいさ」と 島酒を飲みながら 楽しそうに話した 陽太は テレビを見ながら
「僕も 甲子園行きたいさ そこで野球したいさ」と言った
「甲子園は 野球を見る所さ」と よし子が説明した すると陽太が
「高校野球甲子園でやってるさ やりたいさ」と言った きみが
「あんた 野球やってないじゃないの」と言うと
「中学から するさ」と陽太は言った
この瞬間 陽太には ’高校野球で甲子園を目指す’ という とてつもなく大きな目標が生まれてしまった