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島の夏

伊良部よし子(いらぶよしこ)が 住む 沖縄の離島

ここは 真夏は とても暑い

でも 海からの風 は 都会では考えられないほど 気持ちが良い

真夏になっていた

沖縄の離島 は 日差しが 半端なく強い

島の人間は お昼過ぎの 一番暑い時間帯は 出来るだけ野外に出ることを避ける

ただ 海が近いので 風は絶えず吹いている


8月の半ば過ぎ 平良祐(たいらゆう)は 世間より少し遅めの夏休みをとって 祐のおばあ伊良部よし子(いらぶよしこ)のいる この島に来た

「おばあ ただ今」と 開けっ放しの 玄関から入ると いつもの様に 居間に座った よし子は

「お帰り お疲れさん」と麦茶を 出してくれた

冷たくて 美味しい

「部屋 用意してるから 好きに使いなさい」とよし子は いつもの様に言った 祐は

「じゃあ 荷物置いてくるから 外は暑いけど ここは いい風が通るわ」と 祐は気持ち良さそうに伸びをした

「疲れただろうから 休んどきなさい」と よし子は言った

「じゃあ 休んどくわ」と祐は言った

大阪にいると こんなにゆっくりした 気持ちになれない

そして こんなに気持ちが良い風も無い

部屋に入ると 自然と眠気が襲ってくる

そのまま ねむってしまった様だ 気がつくと 夕方になっていた

1階の 居間に行くと よし子と きみ と 陽太が居た

きみが

「ゆうちゃん お帰り お疲れさん」と言った 祐は

「ただ今 きみおばちゃん 健二おじさん亡くなったって ほんま ご愁傷様です」と頭を下げた

きみは

「ありがとうね ゆきちゃんと 祐ちゃんから 電報頂いて ありがとうね ゆきちゃんにも お礼言っといてね」と 丁寧にお礼を言われた 祐は

「そんなん お葬式にも 来られなかったし ほんまごめんね」と言った

「あの人 亡くなったの 急やったからね でも もう気持ちも落ち着いたさ 明後日から旧盆だから 色々忙しいね」と言った

沖縄のお盆は 内地とは違い 旧盆で行われる 毎年 内地のお盆と 日にちが少し違う

「今年は おじさんの 初盆やもんね」と 祐が言うと 陽太が

「それだけじゃないさ おばあの7回忌と おじいの17回忌 も有るさ」と言った

祐は 

「7回忌 17回忌も重なってたら 大変違います?」と言った きみは

「もう 大変 大変さー お肉や魚 材料揃えるだけでも大変さー それに又 食器や重箱なんかも大変だね だから 今日おばあの所に借りに来たさ」と言った

お店などが少ないこの島では お盆や法事などで 出す食べ物は 手作りしなければならないことも多いその規模が 大きくなれば 近所の人たちも手伝ってくれるが 当事者の家族は 一番大変である

でも 行事は大変だが 現世に暮らす 我々が先祖や家族に対しての 敬いの気持ちの 現われなので 大切にしなくてはならない


お盆の日 祐は よし子と共に 川満家を 訪れた

そこには もうすでに 川満家の家族 親戚が 集まっており その人数は 大阪では考えられない人数だ

きみが

「祐ちゃん おばあ 座っててね」と言いながら 忙しく動き回っている 祐は

「おばちゃん 何か手伝うよ」と言った きみは

「今日は 手伝ってくれる人も沢山いるね 大丈夫さ」と言い 台所の方に入っていった

それからしばらくして エイサー隊がやってきた

やはり間近で見るのは 迫力が違う

よし子は

「お盆の行事だね」と言って 一緒に踊った

そして エイサーが去った後も 飲み食いが行われ よし子も 三線を奏でたり歌ったりしていた

外では きみや 陽太 そして陽太の 兄 姉も一緒に 内紙(うちかび)を燃やしていた

うちかび とは ご先祖がお盆であの世に帰ってからも お金に困らないように してあげる為に あの世のお金を 燃やして持って行ってもらう行事なのである

祐も 小さい時から お世話になった 健二おじさんに うちかびを送った


今年のお盆は 意味深いものだった それでも おばあと過ごせて この島で過ごせて 心が休まった

大阪に帰れば 忙しい仕事が待っている

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