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《始まり》

「どこだ、出口が見つつからない」

静寂に包まれた迷宮迷路のような基地を、走り続けた。

「ねー君、出口はあっちだよ」

上の方から声が聞こえ、そっと見ると、そこには・・・

「きっ、君は!」

そこには、逆さになり天井に立つ恭祐の姿があった。

「何で君が?」

「いや~特に意味は無いよ・・・ただ君は興味深いからねー」

「んー、でも出口の方を教えてくれて、ありがとう・・・丁度探しに行こうとしていた所だったんだ」

「んっ、僕を?・・・なんで?」

「いや、此処は、危険な臭いがするからだよ」

「ははっ、危険な臭いか・・・そうかもね」

「でしょ・・・」

「でも、僕を心配してくれるのか~・・・」

「うん」

「じゃあ、解かっよた・・・こっちだ正姫君、ついてきな」

こうして、二人は出口を探すため走り出したが・・・

「おかしい・・・やっぱりおかしいよ・・・恭祐君・・・」

「え、どうした?」

「こんなに凄い研究所なら警備の一人や二人居てもおかしくないでしょ?・・・でも物陰一つすらない」

「そうだね~だから?」

恭祐は笑みを浮かべ、何の疑問も持たず言った。

「いや~僕の浮遊能力は歩かなくても進めるからいいよねー」

「・・・そう言えばさ、さっきっから地面から浮いて移動しているけど恭祐って浮遊能力者なの?」

「え?・・・ん、そんな事より、出口が見えたよ!」

「ん?・・・」

正姫は聞いていなかったのか、話を逸らしたのか・・・結局恭祐の能力は疑問なまま・・・

「まぁ良いっか」

彼は腑に落ちなかったが、どうせ恭祐の事だから凄い能力なのだろうと思った。

そして、彼等は出口をみつかそこから出ると・・・

「うわっ!眩し!?」

二人の前には、膨大な大地と眩い蒼の空があった。

「(何でこんなに眩しいんだ・・・黒都の空はいつも見ている筈なのに、まさか中は偽空・・・)」

「さて、此処から先は僕も歩かなきゃね」

「え、どうして?」

「外で能力を使うと結構目立つからね」

「え、うん、そうだね・・・え!?」

正姫は外に出るなり何か違和感を覚えた。

「どうしたの?」

「いや、ただ見られてるような嫌な感じがするんだよ・・・」

「『嫌』な感じって?」

遠くの方から微かにカチッと音がする・・・

「(この音・・・どこかで・・・金がぶつかる音・・・ん!?)」

「え?」

「・・・って恭祐君危ない!」

正姫は恭祐を押し倒し、地面伏せた・・・空には銃声が響き鳥の飛ぶ音が聞こえる。

「今のって?」

「銃・・・まさかもうバレタの・・・」

「どうだろうね」

「でも、銃弾は・・・外れた・・・わざと?・・・どちらにしろ僕等は狙われてるって事だね」

「そうみたいだね、この音と火薬の臭い、恐らく二00メートル先の五時と八時の方向かな」

「え、そこまで解るの恭祐君!?」

「まーね」

「(これも恭祐の能力なのか・・・いったい何者なのだ・・・)」

果たして銃声は誰の物であったのか・・・その頃五時の方向ビルの上では・・・

「ちっ、はずしたか、まっ『打ち殺すな』って言われたから、あえて手加減してやっているんだけどなー

殺さない程度に打ちまくろうかなー」

一方、向かいの八時の方向・・・そのビルの上に居る左門は、通信機で話していた。

「こちら左門、おい聞こえるか。返事しろよ」

通信機の調子が悪いようだ。

「聞こえとるは、ボケー」

「おっ、そうか、いくら高能力者とはいえ、まだ子供、殺すなよ」

「ふーん、それだからテメーは、雑魚なんて言われんだよ」

「雑魚ではない、フェミニストだ」

「まぁいい、餓鬼であろうと危険と解れば打ち殺す」

「そんなー・・・」

「そう言われたんだろ~」

「んー・・・しかし、さっき起こされた時は吃驚したぜ」

「全くだ・・・いきなり『奴らが逃げた。外で待ち合わせて殺さない程度に倒せ・・・それと子供とは言え二

人は能力者、隠れて狙え、見つかったら最後・・・』とかよ~・・・ふざけんなよー」

「まーいいじゃねーか」

「ふっ、くだらねー・・・ま、さっさと仕事終わらせ金貰って帰ろうぜ~」

「だな、早く・・・」

バーン!・・・銃声が空を、貫く・・・

「うっ!なんだこれ・・・」

 右門は一瞬、胸に違和感を覚えた、ゆっくり胸に手を当て、下を見ると・・・

「あっああああああああ、血がぁあああああああああー」

「どうした、右門どうしたんだ」

「くそおおおお!よくも打ちやがったなーバカ野郎・・・はああああ・・・ゆるさねー!クソ呼吸が・・・」

 何者かに打たれ苦しいのか、途切れ途切れで彼は通信機に話す。

「ちょっと待て!何の事だよ!?説明してくれ!」

「はー・・・お前の所からしか此処は見えねーんだよ・・・銃を持ってる奴・・・左門しかいねー・・・」

 右門が怒りを覚え、左門に叫びかける。

「ああああああああああクソオオオオオオオオオオ!・・・」

「ち、違う、・・・俺は何も」

「じゃあ・・・誰が・・・クソ血が止んね・・・」

「・・・ん!?まさか、さっき下にいた黒ずくめの怪しい奴・・・そうだ考えてみれば、今黒都の警備兵の

皆はこのエリアから他のエリアに移されている。つまり、誰も居ない筈なんだ・・・さっきは只の警備兵かと思っていたがアイツは怪しい・・・黒尽くめの奴・・・いった何処だ・・・何処かに居る筈だ・・・」

 左門は、必死に辺りを見回した。

「何訳の解んねー事いってんだよ・・・」

「黒尽くめの男だよ!・・・右門を打ったの」

「それは本当か?―・・・」

「俺じゃい!そうなるとアイツしか考えられない」

「(本当に左門じゃねーみたいだな・・・じゃあこの黒ずくめの男って何処にいやがんだ・・・クソ見つけ

次第俺を打った分のお礼をしねーとなー・・・)」

「何処だ・・・早く見つけねーと・・・あっ・・・居た!エリアBビルの隅!」

 左門は見つけた喜びのあまり大きな声を上げ喜んだ。

「うるせー!?居場所がばれんだろ!」

「え、あ、すまねー・・・」

すぐさに頭を下げ身を隠した・・・どうやらバレていないようだ・・・

その後黒尽くめの男を見つけた左門は銃口を彼に向けた。

「仇うったらああああああああああ!」

 引き金を引こうとしたその瞬間・・・黒ずくめの男は、左門の方をを向いた。

「ん!?・・・んな、まさか此処がバレた!?声を上げたからか・・・いや聞こえる訳がない・・・ん・・・」

 銃に変な違和感を覚えた左門は、引き金を引いたが何も起きない・・・彼はゆっくりと自分の銃を見た。

「まっ、まさか・・・」 

 そこには、砕け散った彼の銃が有った。そして彼は視線を銃から伝い自分の肩へと・・・

「え・・・」

そう、弾は左門の銃を貫き抜け左門の肩を打ち抜いていた。

「がぁ―――!血だー!まさか、まっすぐ銃口の銃弾を打ち込むとは・・・あの角度から・・・ありえん」

「くそっ~・・・お前もかよ!・・・このざまじゃ・・・ミッション失敗だなー救急体を呼ぶ・・・は―――

待つか・・・それにしても、イって――――!何者なんだよあの黒尽くめ・・・ってお前!」

「なんだ?」

「黒尽くめに気を取られて、餓鬼の事忘れていたー!?」

「あ、Ex1、2!?やべー・・・怒られる・・・」

「ハー―――どうせミッションは失敗・・・金も貰えねーしどうでもいいや――――・・・」

「・・・お金少しもらえないかな・・・」

「金無、怪我・・・最悪だ~・・・」


其の頃、恭祐と正姫の居る下では・・・

「銃声がやんだようだね、恭祐君」

「そのようだねー」

「でも油断大敵・・・」

「え、なんで?」

「さっき、黒尽くめの男が敵を倒しているのを見た・・・」

「へ~・・・じゃあその黒尽くめの男も的かもね」

「・・・そうかもね・・・」

「でも大丈夫だと思う」

「え?」

「さっきの嫌な感じはもう無いから」

「ん?そうなの?」

「うん」

「何故正姫君はそう思うんだい?」

「何となく」

「何となく?・・・ははは、やっぱり君は興味深いね」

「そうかな?・・・」

全てが終わったかと思われた。

そんな事を考え油断していた彼等の前には・・・

スタ、スタ、スタ と足音が聞こえる。

「ん、誰か来る・・・」

「あー、そうだね」

ビルの影から彼はゆっくりと現れ、少しずつ顔が見える。

「君達は、僕からは逃げられない・・・」

彼は深く優しげな声で言う・・・

「お、お前は!Drグボルグ!」

「『お前』とは酷い物言いだ・・・」

「・・・出来れば、貴方とは会いたくなかった」

「相変わらず。冷たいな~小さい頃から面倒見てきたと言うのに・・・」

 少しにやけるグボルグ・・・

「『面倒を見てくれ』など、僕も頼んだ覚えは無いんですけどね・・・」

「此処は、僕に任せてくれないか!・・・だから正姫君は早く行け!」

「え?」

「おやおや、餓鬼の分際で義理の父に刃向かうとは、そうですね・・・お仕置きが必要ですかね・・・

僕も丁度運動不足で・・・丁度良い、教え子の成長でも見てみますか」

「ありがと恭祐、この恩は絶対に返す」

 そう言って正姫は走りだした。

「さて、正姫は行った・・・骨の一本や二本じゃ済ませてくれないかな、まっ、そうもいかないか、

さぁ始めようか!」

「そうだな・・・だがEx1、お前が私にかてるかな?・・・こう見えても悪魔の研究をするもの・・・

悪魔の弱点は知っているんです」

「何を?・・・」

「クロノス様にな内緒で開発したこれを私は自分に投与した」

「な、なんだそれ?・・・」

 グボルグの手には赤い瓶があり彼はそれを恭祐に見せた

「ふふふ、これは鬼人のDNAです。投与すれば人間も動物も皆狂乱し『鬼』と化す」

「鬼・・・」

「まー今の所は人間にしか適合できないんだがな・・・研究の使用がいがある・・・」

「なぜ?・・・悪魔の研究は?・・・」

「悪魔の研究もしているよ、だが悪魔の研究はだいたい上手くいっている・・・僕は研究者だ」

「・・・でも、どうして『鬼人のDNA』を研究して?・・・」

その時、グボルグは悪・・・最悪の笑みを浮かべ、笑う・・・

「ふふふふははははあああああああ!悪魔の弱点だからさ!」

「悪魔の弱点?・・・」

「そうさ、亜人(悪魔)の弱点は鬼人(鬼)だからだ」

「弱点・・・」

「でも、なぜそれを僕に言う?・・・」

「ふふふ、Ex1よ・・・君は黒都の実験体の一人だ。研究者として頼む・・・私の実験体にならないか?」

「え?・・・」

「君にこの『鬼人のDNA試作品』を入れれば、悪魔と鬼人、両方の力を得、最強となる!」

「最強・・・」

「そうさ、最強だ!・・・」

「・・・」

その時・・・恭祐の雰囲気ががらりと変わった・・・

「黙れ、雑魚?」

「はい?・・・恭祐君?・・・」

「僕は最高の悪魔だ・・・鬼人のDNAなどで最高になっても嬉しくない」

「でも鬼人のDNAは悪魔を倒すためのような物!」

「それ、見せろ」

「お、実験体になってくれるか!?」

雰囲気の変わった恭祐はグボルグの手に有った赤い瓶を奪い取った・・・・

「これか・・・」

「そうだ!それを飲むだけでいいんだ!」

彼は蓋をあけ・・・瓶を翳し・・・グボルグの方をチラッと見た・・・

「(そうだ。それで良い!それを飲めば!最高だ!)」

「・・・」

「よし、よし!」

「人間風情が・・・」

グボルグの期待を裏切りパリーンと鬼人にDNAの入った瓶を握りつぶした・・・

彼の苦労、彼の研究・・・全ての努力が詰まった彼の瓶は目の前で、一瞬にして儚く消えていった。

「あ・・・あ・・・な、なんて事を・・・」

「ふ、その顔面白い・・・」

「面白いだと!?お前餓鬼だからって黙っていれば!その瓶を入手するのにどれだけの苦労が!?」

「はぁ?逆切れ?」

「情報に情報・・・研究に研究を重ね、やっとのこ事で夜行人の事をしり、鬼人のDNAを入試した・・・ま

だいくつか作ってあるが、一つ入手したり作るのにどれだけ苦労すると思ってんだ!?」

「お前に意見、なんて知らないね・・・や、やめろ」

「は?」

「やめろ・・・僕・・・体をかえせ・・・悪魔が・・・」

恭祐の様子がおかしい

「(な、何が起きているのだ?・・・コイツ恭祐じゃやにのか?・・・)」

「黙れ、人間、俺は最高の悪魔・・・うああああああああ・・・」

彼は頭を押さえ、数秒錯乱したが・・・おさまったようだ。

「(どっちだ?・・・今の彼は悪魔か恭祐か?・・・)」

「・・・ウザイ・・・人間の分際で俺に呑まれないとは・・・」

「お、お前はいったい・・・」

「最高の悪魔さ」

 その時グボルグは『こいつはヤバい』と言う事に気づいた。

戦う気が無くなり、命押し惜しくば従え・・・彼は恭祐に従うこと事にした・・・

「・・・悪魔さん・・・一つ聞いていいですか・・・」

「ん?なんだ?」

「何故鬼人のDNAを飲まなかったのですか?・・・」

「ふっ、実験を公平にするためさ・・・父の実験を完成させるため」

「実験・・・」

「その実験に、鬼人のDNAと言う余分な物はいらないからね・・・だから、正姫を連れ帰してきな」

「え、でも逃がしたんじゃ!?」

「それは俺じゃない『恭祐』だ。あの屑め・・・黙って寝てろってんだ・・・」

「え?・・・」

「今の俺は悪魔だ!だから恭祐のした事など関係ない!Ex2を連れ戻せ!」

「え、あ、はいEx1解りました!(私はこの地面に落ちたサンプルを回収し、研究上に持って行かねば、

しかしEx2・・・あ、そうだカイル様に電話して、待ち伏せ捕まえる事を頼めば!・・・電話です!)」

恭祐の正体・・・裏と表、悪魔とはいったい誰なのか・・・鬼人のDNAとは・・・

そして正姫の方はと言うと・・・逃げようとしていたが出口の方には警備員が待ち伏せをしていた。

「ちょっと!そこの君止まりなさい!」

「向こう・・・門の向こうに外が見えるのに・・・逃げたい・・・」

強く思ったっ時、ドクン!と心臓の奥に彼は熱い物を感じた・・・

「胸が締め付けられる・・・苦しい・・・けど、力がこみ上げてくる・・・試して・・・」

力を込めると・・・正姫の拳は黒い闇に包まれた。

「これは!?闇?・・・考えている暇はない、これで警備員を!はああああっああああああああ!?」

「うわああおおおおおおおおあああああああああああああああ」

全力で腕を振り、警備員全てを薙ぎ払う事に成功した。

「やった、出口だ!」

ついに、正姫は黒都の脱獄に成功し、外へ逃げ、自分の家を探し歩き続けた・・・ 

「あー家どこだっけ?確か此処を曲がって、あっちだっけ?」

街を歩く彼は・・・裸足・・・何処に行けばからからず。ただただ街を歩いた・・・

「・・・此処は・・・」

左も解らず右も解らず。行きかう人々は彼を避けていた。周りからは只の靴を買うお金の無い裸足の餓鬼に

しか思われていたのかもしれない・・・

でも、歩く事約二時間・・・おなかが空いてきた彼は、偶然見つけたの外のベンチに座っていた・・・

「グゥ~・・・お腹すいた・・・家何処・・・ここ何処・・・」

広い公園、沢山の子供達や家族達が居、遊びながら、笑っていた。

そんな中、正姫は一人、孤独で座る彼・・・羨ましがる彼の心は、次第に暗くなって行く・・・

「・・・家族・・・」

彼はベンチに足を上げ頭をうずめた・・・次第に彼は一人寂しくなった・・・

「どうしよう・・・怖いよ・・・帰れない・・・解らない・・・寂しいよ・・・お腹すいたよ・・・」

そんな時、一人の男が彼に声をかけた・・・

「君、一人かい?」

正姫は顔を上げ彼を見る・・・そこには白い肌、両目に縦線、長い鉢巻、芝生頭の男が立ち、見た目は悪

そうではない、優しい笑顔・・・でも世の中、人は見かけによらないと言うから正姫は少し警戒をしていた。

「貴方誰です・・・」

「ははは!そのとして敬語を使えるとは君は中々の使い手だな!」

「・・・」

「そう、僕の名前は『光琴』・・・それで君は?」

会ったばかりの彼に名前を言うまいか迷っていた。

「僕は・・・」

「言いたくなかったら、良いんだ!君から見れば僕は不審者!」

「不審者・・・」

「でも、大丈夫、僕は『不審者』じゃない『光琴』だ!」

「(変わった人です・・・どうして僕に話してくるのか?・・・)」

その時正姫は思った。この人は只の不審者じゃない、名前くらいなら教えても・・・

「僕のなま・・・」

「あ!?大変だ!ブランコから落ちて泣いている子!」

「え!?」

光琴は落ちて泣いている子に近づき、励ました。

「うわああああああああ・・・痛いよ」

「大丈夫かね、君!痛いの痛いの飛んで行け~、ほら、もう大丈夫、痛いのはどこかへ飛んで行っちゃった!」

「うん!」

子供は泣き止みまた遊んでいた。そして、光琴は正姫の元に戻ってきた。

「それで、何の話だっけ?」

「あ、あの・・・名前の話で・・・僕は・・・今井 正姫です・・・」

「そうか!正姫君だね!」

「それで・・・なんで・・・僕に用ですか?」

「ん?うん、コンビニ寄って来たから」

「コンビニ?」

「君、お腹空いているでしょ、だから食べ物買ってきたんだ」

「・・・Drが知らない人から食べ物は貰うなって・・・」

「え?でも、君は僕の名前を知っている。それだけじゃ不十分かい?」

「不十分です・・・ショタコンですか・・・変態ですか」

警戒をしながらも正姫はビニール袋を貰い中のパンを食べていた。

「言っている事とやっている事が逆だよ・・・」

「ごめんなさい、気にしないで・・・これ美味しいですね」

「それは良かった」

「今度お金返す・・・」

「いいよ、さすがに子供からお金は取らないよ、むしろお金があり過ぎて使い道に困っているんだよ」

「・・・だから、僕みたいな子供にも優しく」

「子供だけじゃないさ、世界に居る人、日本に居る人、僕は僕にできる事ならなんだってやる、一人でも

多くの人を僕は救いたいんだ!」

「貴方はいったい?・・・」

「僕かい?・・・僕は・・・」

彼は立ち上がり手を上げ言った。

「公園の皆様!今日は良い日ですね!」

すると次第に公園に人たちが良い方向に反応し始める

「あ、あれは光琴様!?」

「あ、光琴さんだ」

「光琴さーん!いつもありがとう!」

彼は手を振った。

「君は僕が誰だと聞いたね・・・僕は四天王に一人、南の番人、光琴さ!」

「四天王・・・」

「で、君は何処から来て、何処に行こうとしているの?迷子?」

「家に・・・」

「家かーどこら辺とか覚えている?」

「・・・解らない」

「ん~そうか・・・君、苗字は今井だよね」

「うん」

「そうか、なら家が・・・たぶん、何処にあるか解るかもしれない」

「え?・・・」

「まーついてきな」

「でも、知らない人について行くとか・・・怖いです」

「それもそうだね、君の意見は正論だ・・・ん~君に家の住所をあげる・・・あ、いやそれが偽物で君を事件

に巻き込んでしまうかも、電話番号を教える?・・・いや、さすがに知らないし・・・ん~どうすればこの 子を彼の家に送る事ができるのか・・・ん~?」

光琴は腕を組み必死に考えていた・・・

「ん~」

「・・・(なんだろうこの人・・・怪しいんだけど悪い人ではないさそう・・・でもそれがこの人の手なの

かも・・・僕を油断させて、誘拐とか・・・いや、僕に人質としての価値は無いか・・・)」

「どうしようかな~・・・」

「付いて行きます」

「え?」

「貴方を信じる」

「そうか、じゃあ行こうか」

その後、彼に付いて行く事三十分後・・・見事に正姫に前には懐かしい家があった・・・

「あ・・・」

「此処かい?」

「う、うん・・・」

「そうか、やっぱり・・・」

「でも、どうして此処が解ったの?」

「知り合いが此処に居てね・・・じゃあ僕の役目は此処で終わりだす!」

「もう行くの?」

「そう!僕にはまだ救わなければいけない人が沢山居るからね!」

「・・・ありがとう」

「うん、どういたしまして・・・あと、最後に聞いていいかな?」

「ん?何?」

「君は能力者?」

「あ・・・はい」

「そうか・・・頑張れ少年!」

「あ、うん」

そう言い残して光琴と言う男は正姫の前から消えていった。

「ありがとう・・・光琴さん・・・」

 そして、彼は今井家の前に立っていた。

「やっと、やっと着いた・・・」

 彼は万年の笑みを浮かべ正姫は柵を空けようとした。

門を開けた音に誰かが反応したのか中に居た誰かが、玄関のドアが開く・・・

「ん?誰・・・って、しょ、正姫!」

「お、お父・・・んっ・・・首にチクッとした感触・・・あれ?」

 突然の事で何が起きたか解らなかった。

「これは・・・この感触前にも、あった様な・・・あ!まさか!記憶の改善、針だ!・・・え、あ―――記憶が・・・消えて・・・行く・・・」

針のような感触が首に刺さった。

やがて、彼は記憶を無くし・・・記憶を無くした正姫の前には、昔『自分を捨てた』っとグボルグが

言っていた父が居た・・・

「は!お父、どうして僕を捨てたんだ・・・よ・・・」

 そういって正姫は気を失った。

「あれは、お前のために!話を・・・」

父の声など気を失った正姫には届かなかった。

「ふっ、無駄だ。無駄な記憶は消したからな・・・ほれ、そこのお前さんの記憶も消してやる。お主は何も見

ていない、全く余計仕事は増やさないでくれ、実験体の癖に・・・Drグボルグに言われて此処で待ち伏せていたと言うのにEx2はいったい何処で寄り道をしていたのか、まー結果オウライですな・・・それより、なんで俺がこんな事をしなきゃいけないんだよ、施設内でケーキ作りの練習をしていたのに・・・将来の夢はケーキ屋さんとか・・・まーDrグボルグが他の用事で手が離せないとか言っていたから仕方ない・・・」

 そう彼の名はカイル・マッガード・・・このプロジェクト代理人で今の所黒都の最高司令官である。

「無駄な記憶は、精神を壊す、そこに居るあなたも何も見てなし何も聞いて無い」

「・・・」

「そう、それで良いのです」

カイルは、正姫の父を眠らし、彼が今日正姫に会ったと言う記憶をカイルの持つ薬で消した。

カイルは正姫をおぶり、意識のない正姫の父にカイルは優しく囁いく・・・

『貴方の息子は優秀です。誇りを持ってください、最高ですよ、はははははははっ』

その後・・・正姫は、黒都に連れ戻され父の記憶を再び失った・・・


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