《黒都》
一九九二年 三月二十三日 僕は、小さな病院で僕は生まれた・・・が生まれる時、首の辺りには何者かに首を閉められている痕があり、生まれてから五分が経過した頃、僕は呼吸困難で息を引き取った。
世界は次第に暗黒に包まれていき・・・僕は死んだかと思った・・・
しかし、僕の魂は霊界に行かず何故か時の狭間と言う所に送られ・・・僕は、そこで誰かに会った。
その影を不思議そうな目で見、僕は彼に、「君は誰?」と心に呟いた・・・
返事は「ごめんな、連鎖を・・・」その言葉を最後に影は消え、世界は完全な漆黒に閉ざされた。
呼吸停止から一時間が経った頃、とある医者が現れ、病名不明の新型の治療をめた。
開始から三十分後、僕は一命を取り留めた。本来なら、心肺停止が長いと脳に何らかの害が生じる事が多いが僕は幸い、脳に何の障害も見つからなかったと言う・・・がその代わり、心臓と視力が悪くなっていた・・・「夢?」後に気づく、僕の首の周りには閉められた奇妙な後が残っている・・・夢ではなかった。
その後、赤子の記憶なのであまり覚えてはいはいないが、病院を出た事は覚えているの・・・
でも、その後の記憶は、曖昧で良く覚えてない・・・たしか父と母が話していて、突然大きな音がしたと思ったら母が居なくなり、父も消えた・・・そして目の前が暗くなった。
その時僕は、三歳だったと思う、その頃だろう物心がつき始めたのは・・・次の瞬間、僕が目を覚ました時、僕は、監獄の中に入れられていた。
「ここは?」ふっと前を見ると、目の前には、白衣を着た科学者の用な人がいた。
「やぁ、正姫君、僕の名前はグボルグ」そう彼は此処に科学者、Drゲボルグなのだ。
話によると、僕は高能力の素質があると言う・・・そして、グボルグは小さな正姫に言う。
「この場所は研究材料を管理、開発して世界をより良い場所にする安全保護団体なんだよ」・・・
その日から僕の『運命』は予想もしない方向へと変わり始めた。
始めてDrに会った時、これからの運命など知るよしもなかったのだ・・・
やがて僕はDrに問う・・・「僕はなんのためにここに居るの?」
グボルグの回答は「君のお父さんは、君を憎み邪魔だからと言う理由だけで、君を捨てたんだよ・・・
「お父さん」・・・小さな正姫にはかなりショックな言葉であった・・・
「でも僕達は違う、僕等には君が必要なのだ!絶対に捨てたりはしないよ」下心丸出し、笑っていても怖い顔、その言葉が嘘で作ろ物だと解っていたが、初めて必要にしてくれた人が此処に居る。
正姫は嬉しかった。
それから一週間後、他の人とは、異なった能波だった僕は二年間にわたる超能力実験を受けさせられた。
あらゆる知識や運動を教えられた。でも、どんなに頑張っても夜は、いつもと変らず暗くて寒い監獄に入れられた・・・だが、ある時、実験から監獄に戻る途中こっそり監獄の鍵を取る事に成功した。
そして、監視の目が居なくなった夜、僕はこっそり部屋から抜け出した。基地を歩き回り、ここに居る研究実験体は自分だけなのじゃないかと思っていたが、その夜、僕は廊下の途中で見つけてしまったのだ。
『Ex1恭祐』と書いてある部屋を・・・ドアを開けると、そこには年が同じぐらいの銀髪の少年が窓に腰かけていた。もう一人の高能力の素質がある子共だと言う・・・「君は?」と問うと・・・「んっ?あー、ま、入ってきなよ」と返される。部屋に入った僕は、その子と話した。銀髪の少年の名前は、恭祐。
僕は、恭祐と会い、他にも高能力が居るって言う事知り、彼と朝まで話をした。僕は『自分以外にも卑劣な実験にも耐え、逃げださずに頑張っている子供が居るんだな』と彼から勇気を貰った・・・
でも、ある時、僕は最大の疑問にぶち当たった。真実を知りたかったのだ。此処は何所で何の為に僕達を研究しているのか『必要』と言っても何の為に僕達を必要かとしているのか?・・・と言うか、なぜ僕は実験に口答えせずに鍛錬していたのか?フトッ、風が全身を駆けめぐる・・・
警備員の考えや景色が彼の頭に流れ込んでくる。「夢?現実?」どちらににしろ、彼は情報を色々知った。
『ここは、黒都、表面上は、世界の珍生物を保護し研究する場所らしい・・・でも裏では世界をも変える研究や実験をしている・・・そして、僕達はその実験の鍵を握っているのだと言う・・・逆らう者は口封じのために殺し、もしくは記憶を改変されると言う』・・・正姫はあいまいな記憶とその事を結びつける。
きっと僕も実験中、何度か記憶を改変されていたのだろう、でも、如何して今それを思い出した・・・
今はそんな事はどうでも良かった。グボルグの言う『憎い、要らない、捨てる』は『嘘』父がそんな事言う
筈がないのだ。
じゃあ、なぜ数年前父が何も言わずに僕を黒都に渡したのか・・・
真実が知りたい「戻らないと」その言葉だけが彼の脳裏を過ぎる。
・・・その思いを心に止め、一心に彼は走り出した。
こうして、物語は、始まる・・・