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Vo.5

ホント、どんどんお気に入り登録数が増えていて嬉しいです!

「おはようございます。本日はお願いします!」


今日は集団撮影。かなりベテランの先輩と私みたいな新人が全員集合する。


でも....


「おはようございます。」


「.....」


他の子が先輩に挨拶した。


無視。先輩としてあるまじき姿だよね。


千夏先輩は気さくだから誰とでも話すけど、もう1人の先輩は“清純派“にも関わらず、スタッフに挨拶しないし、後輩に挨拶されても返さない。


今はつまんなそうに毛先をいじくってるのにカメラが前に来た瞬間笑えるのがすごい。これがプロっていうやつ?



「ったくなんなの?ムカつく。こっちが挨拶してんのに。」


私と同世代のモデルたちがひそひそと文句をいう。


「腹立つわ~。」


先輩の悪口言えちゃうみんなもすごいと思うけど。

モデルの世界は好きだけど、本当に厳しい。上下関係とか。女の戦いっていうの?

ひぃぃぃぃ~。



「美咲とかまだ慣れてないよね。こういうの。」


千夏先輩が歩きながら耳打ちする。


「大丈夫です。私、タフなんで。」


精神はかなり鍛えられてる。まあいろいろあってね。


それにしても、みんな細過ぎでしょ!マッチ棒かよ?みんな最近アメリカのヴォーグ誌が“痩せすぎモデルは使わない宣言“したの知らないのかな?あのヴォーグが言ったなら、世界中にも広がると思うけど。




「それでは皆さん、撮影入りまーす!!」


カシャッカシャッ!


おととい研究したポーズが生かされてるといいな~。特に集団だからポーズがかぶらないようにしなきゃ。


カシャッ、カシャッ


「次は不思議の国のアリス的な感じで!」


カメラマンさん、わかりまへん。


やるけど。






ふぅっ...ひとまず終わった。まあ前よりは上手くいってた。


みんなで水を飲んだり写真をチェックしたりしていた時だった。


「ちょっとあんた。」


同僚のモデルが1人先輩に呼ばれる。


「はっ...はい。」


「この写真さ、あたしとポーズかぶってるんだけど。」


逆に何十枚もある写真からよく見つけたね。あんた。


「あっ..すいません....」


「これだから新人は困るんだよね。ポーズのボキャブラリーが少ないし。まったく、、」


それって間接的に自分のこと侮辱してることになるんじゃあ...


スタッフさんもあきれ顔だ。カメラマンさんは貧乏ゆすりしながら時計を見てる。

真っ白なスタジオに黒いよどんだ空気が立ち込める。


「まあ、今回の写真良かったじゃない。」


千夏先輩がフォローに入る。


「ふんっ。私の真似事ばっかりじゃない。」


いじわる先輩(名前は忘れた。)は鼻で笑う。


鼻で笑うとか...



「さっ撮影再開しまーす!」


ナイスタイミングで再開の合図が入った。というか入れた。






「うっざーい!!まじなんなの?!」


みんなは私服に着替えながらブーブー文句を言った。


「ポーズとかどうしようも無くね?」


まあ確かに言えてる。


「美咲ぃ、飲みに行かない?」


モデル仲間(誰だっけ?)が言った。


「いいけど、私そこまで飲めないよ?」


「いいよ、いいよ‼」


「私もいーい?」


他の子も顔を出して言った。


「いいよ!千夏先輩もさそおっか?」


みんなガヤガヤ賛成した。







次の日は二日酔いが酷かった。女子だけの王様ゲームが面白くて、ジュースにタバスコいれたやつ飲んだりとかしてた。

今日オフで良かった‼深夜まで飲んだし、私、お酒強くないからいつもベロベロに酔っちゃうんだよね~。


プルプルプル


ケータイが鳴った。山下さんから。


「....はい。」


「美咲ちゃん!やばいよやばいよ!大変だよ!」


ハイテンションだな~。山下さん。


「なにがですか?」


「ネットニュース見て!今すぐに!なうなう!」


ネットニュース?パソコンを開きながら、頭のだるさに耐える。


ネットニュースのところで私が心当たりがあるニュース....



“高月美香、清純派のイメージ崩れる。撮影現場で女王様ぶり発揮“


「たかつきみか?」


誰だっけ?むくりと起き上がる。


「そうだよ!昨日の‼」


ああ...思い出した。って、えっ⁈


「なんで...」


「現場にいるやつが情報を流したらしいんだよ。今高月美香のブログ炎上するわ、事務所が対応に追われるわで大変なんだよ!」


私はその記事をクリックした。


“清純派で知られるモデル、高月美香。

しかし、その本来の姿はかなりあくどいものだ。

「清純派として売り出してますけど、素顔はかなり性悪ですよ。スタッフとか後輩モデルに挨拶しないしいちいち撮影止めて後輩モデルに文句を長々と言うんですよ。」


関係者はそう話した。


「ただ、一回のショットで自分と同じようなポーズをとっただけでギャーギャー騒ぐんですよね。責められた後輩モデルが泣き出してしまっても知らん顔ですしね。」


この女王様ぶりはかなり問題である。事務所側は“そのような事実は無い“と主張してる。


ちなみにこの撮影後には、高月抜きでモデルたちは飲みにいき、深夜まで大盛りしたらしい。"




「もしかして...あの中のモデルが?」


「ああ。おそらくな。」


....ちょっと信じられない。

でも冷静に考えたらそうかもしれない。多分恨んだ後輩モデルがこの情報を売ったんだ。


この記事も悪意のあるウソがあるけど。


「...山下さん。これがモデルの世界なんですね...改めて知りました。」


私はつぶやく。胸にどしりと重いものがのしかかった。


「まあ高月は気の毒だが、君にはいいニュースがある!高月が出演予定だったPVがあったんだけど....」


PVってつまり、ミュージシャンの....


「この事件が原因で高月は降板した。だから代わりを探してるんだが、候補の中に君がいるんだよ!」


えっ...!なぜに?!


「本当ですか⁈」


「ホントホント‼また随時報告するよ!」


「お願いします!ありがとうございます‼」





電話を切ると、私は無言でラジカセを再生した。


♪ハーレルヤーハレルヤハレルヤ‼ハーレルヤー♪


私は夢見心地に踊った。


私がPV出演?こんな私が?どんな役でもやりまーす‼


私の頭の中でファンファーレがなり鳩が飛び交った。


ヴォーグの痩せすぎモデルの話は実話です。

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