表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/34

Vo.3

今回は有理沙の仕事メインです!


追記


たくさんの人にこのお話を見て頂いて本当に嬉しいです‼ありがとうございます‼

私は電話の前でしゃがみ込む。


最近引っ越してきたマンションからは東京の景色が見える。本当に宝石が散りばめられたみたい。


無意識に電話番号を打つ。何も考えなくても、指がその番号を覚えてる。




「...もしもし?」


出た。あの人を安心させるゆったりとした声。


「あっ...あの、鈴恵さんですか?」


「...有理沙ちゃん?」


「はいっ!」


「あらー!やっだー!お久しぶりねー!なによ、出世しちゃって!」


「いえいえ...」


「あなたが出て行ったときどうなるかと心配してたけど、さすがよね!根性あるわー!」


しばらく鈴恵さんと、たわいのない話をする。東京の宝石がいっそう美しく感じる。


「千里ちゃんね、あなたが恋しくてたまらないみたいよ!時間があるときに会ってちょうだいよ!」


「ホントですか?」


「ん?何が?」


「千里、私のこと嫌ってませんか?...置いていって。」


「まーさーか!毎日あなたのことしゃべってるわよ!」


良かった...目の前の宝石がにじむ。


「ちょっと、有理沙ちゃん?泣いてる?」


「...だって.....千里....を....置いていったから....」


「もー!一年前にあなたに言ったけどね、あの子があなたを嫌うことなんてないわよ!それにあの時のあなたはボロボロだったのよ?」


まだ涙が止まらない。


「ありがとう...明日、午後は仕事が無いのよ.....」


「こっちも特に予定はないわよ!....どこかのカフェとかで会う?」


「いつもの?」


「そうね、いつものカフェでね。」






電話を切った。明日の一時半にいつものカフェ。



千里はあいつの異父兄妹だ。いろんな事情で同棲する際に一緒に生活するようになった。千里とはまるで姉妹のようで、仲が良すぎてあいつがヤキモチを焼いたほどだった。


子どもか。あいつは。


鈴恵さんは千里のベビーシッターで家族同然だ。

元々あいつのベビーシッターでもあったらしいけど。


私は入念に化粧を落としてシャワーを浴び、ベットに飛び込んだ。


一年前だったら週に2、3回くらいは通い詰めてたカフェだ。懐かしい。

でも、ほろ苦い。あいつと一緒に行ったカフェでもあるから。








「スキニーにブラウス...ハットとバングル。」


先輩はゆっくり上から下に視線を落とす。


「シンプルだけど、ステキね!」


「ありがとうございます。」


私の私服だ。少し恥ずかしいな。撮影で着る服とはけっこう違うから。


「ほらー!やっぱり売れるよ、写真集!」


山下さんが後ろからいろいろ持ってきた。多分差し入れ。しかも口になんかついてるんですけど。


「なに?写真集作るの?」


「まだ話してる段階なんですけど....」


「売れるわよ絶対!さっすが山ちゃん、いい眼してるわね!」


山下さんはガッツポーズをした。先輩も返す。


「先輩は、ボヘミアンですか?」


「そーなの!今年流行りのマキシでね!」


先輩は黄色を基調としたマキシワンピにバレエシューズ、栗色の髪をお団子でひとつにしてた。私じゃ真似できない。先輩のファッションはいつも尊敬してしまう。


「それじゃあ、美咲さん、千夏さん入りまーす!」


今日は“真夏の本気私服コーデ特集“の撮影だ。


「まず千夏さん1人で!」


私なんだかんだいってモデル始めて一年たってない。それに比べて先輩は5年以上のベテランだ。ポーズをする度に、服がまるで生命を帯びたように生き生きとしだす。


....ちょっと言い方かっこつけすぎ?


まあいいや。でも、私があんな服着たら服に自分が負けちゃうな。

あれはあの先輩だからこそ着れるんだ。



「はーい、次は美咲さん!」


さあ絶対時間かかるぞ。









「お疲れ様!」


先輩が私にオレンジジュースを渡す。私はコーヒーとか飲めないから先輩が気遣ってくれたんだ。


「ありがとうございます。」


私は少しへこんでる。案の定、私は圧倒的に撮影時間がかかった。しかも、先輩のように服が生き生きしないのだ。


「まあ、経験よ。頑張りな。」


先輩はそれだけ言って何事も無かったように去って行く。


オレンジジュースは酸味が効いてて、でも甘かった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ