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Vo.29

お待たせしましたぁっ!!!ホント最近テスト続きで(>_<)やんなっちゃうわ~

「思い出したかしら?」


はい、はい、思い出しましたよ。私の黒歴史。


「あのあと、あいつ...葵..くん?の機嫌がすごく悪くてほぼ追い出された感じで家を出て...」


「まあ、そりゃそうでしょう。まさかあの葵が彼女できるなんてって思ったわよ。出来るとしても彼氏かと...」


ちょっ....!!!!


「でもその彼女はファッションセンスはまあまあなくせに髪はボサボサ、小太りで超がつくほどの地味女だったからね。」


うっ、今ガラスの破片(小)が数枚私の心臓に突き刺さった...


「普通の男なら絶対あなたなんかよりもいい女と浮気するのがオチだってあのときね感じたわ。...ビンゴね。」


ドスドスドスっ!!!


きた...ナイフ(果物用)今追加されました...


「まあ、仕事だからしょうがない部分もあるけど...」


目をギラギラさせ、私の目を捕らえて口には不敵な笑みを浮かべてる....皮肉なことにあいつとそっくりの。


「おしえてあげましょうか?なんで葵が女と平気でキスしたか...?」


「いえ、結構です。」


だって今更知ったってどうするの。現にあいつは彼女(仮)がいるわけだし、私にだって...


「知っとくべきだと思うけど?言ったでしょ?世界であの子を分かるのは私だけだって...」


違う。


「それは...間違えてると思います...」


「まちがってる?」


「少なからず、あいつ...葵は...あなたには似てないと思います。なんでかは分からないけれど。」


恐る恐る顔をあげると、編集長はものすごく不思議そうな顔をしている。


「久しぶりだわ...私の考えを真っ直ぐ否定されたのは。自分の立場とか考えないのねあなた。」


へぇ?あっ。


「まあ、いいわ。いずれ分かるときが来るわ。で、ついでに葵のことも話す。あなたが知りたいとか知りたくないとかどうでもいい。私が話したいんだから。」


さっきの言葉を撤回したい。





この強引さ、植草葵と全く一緒だ。





「葵はね、"愛は形なんかじゃない"って耳にタコができる言葉をまともに受け過ぎてるのよ。」


「...ふへ?」


「恋愛に関して恐ろしいくらい低脳なあなたにはわからないかしら?ずいぶん簡単に言ったのだけれど?まあいいわ。」



編集長はお見通しと言わんばかりに鼻で笑う。


「あのね、"愛"っていうのは心からの気持ちとそこから生まれる"表現"によって初めて相手に愛が伝わるのよ。その"表現"を他の人にやることが不倫、あるいは浮気と認識されるの...分かる?」


「分かるような分からないような...」


「ふん、そのちっちゃな頭を水分が無くなるまで絞るといいわ。........葵の場合は、気持ちさえあればそれでいいと思ってる。"表現"なんてもんは"おまけ"にしか思ってないのよ。」


表現、おまけ...


パチンと頭の豆電球に光がついた。


「彼は他人とキスとかしても気持ちさえあればいいと思ってる。だから"見せかけカップル"の仕事も受けちゃった。ってことですよね?」


「"大変"よくできました。」


編集長は"大変"の部分をかなり強調した。



1年前、週刊誌が出たときにあいつとの話が全く噛み合わずにイライラしてたことを思い出す。こっちはものすごく怒って、泣いて、喚いてたのに向こうは私の気持ちを分かってくれなくて、また怒って。



...辛かった。また鼻の頭が熱くなる。

悪循環のループを断ち切るために私はあいつを置いて出て行った。自分に後悔なんてない、裏切ったあいつが悪いんだと言い聞かせて。


でも...でも今は...


あいつからすれば、訳も分からず出てかれてどんな気持ちだったんだろう?


「ま、それもこれも私たちが悪いんだけどね。」


開き直っちゃってるよこの人。



あきれ顔を隠してる(多分)私に興味のカケラもなさそうな編集長は、あっそうそうと思い出したようにつぶやいた。


「まあ、ついでに言うとあの日なのよ。千里をあそこに預けたのも。」




「...と申しますと?」


「3人目との夫と離婚が成立したとき向こうが私に娘を押し付けて来たわけ。僕の収入じゃこの子を育てられるか不安だとか言ってね。まあ、当たり前よね。完全なるヒモだったんだから。」


全然知らなかった。今度は胸がキリキリと痛くなる。大人の勝手な事情に千里は巻き込まれてたんだね。

あいつも...



「まあ、悪いと思ってはいるわよ。」


....この人の下で働きたくなくなってきたのですが。誰か。


「そうそう、悪いと言えばもう一つ。」


もう聞きたくないです。あなたのもとを辞めたいの...


「高月美香はクビよ。」


ん?


たかつきみか、タカツキミカ、高月...!!!!!!!!!


「えっ?!」


「明日にでもマスコミが嗅ぎつけるんじゃない?」


待って。待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待ってよ!あんた、なにかんがえてんの?!

千夏先輩と人気一位二位争う人気モデルクビにしちゃうなんて!?確かに性格はパンパカカーンだけどそんなことしたら、雑誌の売り上げ落ちちゃうじゃん!!


「なんで....!?」


「あのバカ女は落ちるとこまで落ちた。その報いよ。あと、どうやらあなたの男運は最低だから気をつけなさいね。じゃ。」


編集長はスッキリした顔でカツカツとハイヒールを鳴らして私の前から小さくなっていく。


え?え?え?高月美香がクビ?私の男運が無い?え?え?


オシャレなお店に取り残された私って...





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