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Vo.1

カシャッカシャッ


「いいね~かわいいよ~‼」


今だにこんな風に言われるのが恥ずかしい。

周りには照明とかがたくさん。

私はポーズをとり、カメラさんがいろいろ褒めてくれる。


「はい~終了でーす!」


「お疲れ様でした!」


みんなが口々に挨拶する。


「いやー、美咲ちゃん!今日も絶好調!」


「山下さん、からかわないでください!」


「ちょっと、ちょっと、相変わらず謙虚だな~!」


山下さんは私のマネージャーさん。デビューしてからずっと私を支えてくれてる。

これが今のわたし。たくさんの人に支えてもらってるの。


「モデルなんだから、もっと自信持ちなよ~!」


「いや、ちょっと...」


私は歩いてると、一枚のポスターが廊下に貼ってある。

”主演 植草葵


あの太陽に...


大ヒット上映中‼”


葵....


私は撮影用のスカートをぐしゃりと握りしめた。


「うえくさあおいね~。こいつも最近出て来たよな~!まあ単純に顔がいいだけじゃないけどなっ!」


「...ええ。そうですね。」


あおい、、私は目を背けた。


こいつが全ての元凶だ。忘れたい。



「美咲ちゃーん?もしも~し?」


「あっはい!」


「ぼーっとしてたよん!」


山下さんは私を小突いた。


「あっ..すいません。」


「ちょっと疲れてるんじゃなーい?」


「いえ。大丈夫です。」


「今日のパーティ、行ける~?」


「あっ、はい!」


そう言って、私は楽屋に戻った。着替えなきゃ。山下さんは男だから当然入ってこない。



鏡に写ってる自分を見る。まるで別人だ。

真っ赤な口紅なんて少し前まで塗ってなかったもんな~。ワンピースもほとんど履かなかった。まあ、今の生活は好きだ。かなり変わってはしまったけど、それなりに楽しい。


「美咲ちゃんさ、私服を集めた写真集とかさ作ったら絶対に売れるよ!」


出て来て早々に山下さんがいう。今私ドレスなんだけど。


「そうですかね~?」


「ぜっっったいに売れる!断言するよ!」


元々おしゃれは好きだった。出版会社にいたときも、ファッション雑誌のところに勤めてたしね。


「うーん...まあ出してみたい気もしなくは...」


「でしょでしょ?!それでさ...」


私はパーティ会場に向かう間に写真集の話を山下さんとした。






「美咲ちゃん~!ありがとう来てくれて!」


今日は事務所の先輩モデルの誕生日会だった。


「楽しそうですね!」


たくさんのモデルや女優、俳優が集まってる。みんなグラスを片手にもっている。

私は少し不安になった。あいつが来てるかもしれない、、、

モデルとして人気が上がってきたのと同時に人気絶頂の俳優で私の元カレの植草葵に鉢合わせしたり、最悪の場合共演する確率が日に日に高くなり、いつも怯えてる。


「まあ、ごゆっくり!」


先輩は私の肩を叩いた。


先輩は何気に私を気に入ってくれてる。私もあの先輩は好きだ。サバサバしてていると楽なんだ。


ローストビーフの香りが漂ってる。天上にはミラーボールがぶら下がっていて、クラブみたいだ。


「みさーきちゃーん!私の友達!」


先輩が誰かを連れて戻ってきた。






頭の上にレンガが落ちてくるような衝撃だった。




『はじめまして~!神山みちるですぅー!美咲ちゃんですよねぇ~?わたしぃ、ファンなんですよぉ~!』


忘れもしない。あいつとチューした、元グラドルだ。

なんでお前がここにぃぃぃぃ?!

なんでなんで?ふざけんな!ファン?あんたと私じゃ全然キャラ違うでしょ?!てか私大して売れてないんだけどぉ?!あんたは胸出し大好き人間だけど、私生まれてこの方あんたが着てるヒョウ柄のエロいドレスなんて試着すらしたことないからね!?


『はじめまして。みちるさん。』


落ち着け、落ち着け、美咲。営業スマイル。落ち着け。こ、こ、は、パーティ会場だぞ?

プロレスリングじゃないぞ?ここで右ストレートお見舞いしたら、カンカンカンって試合と同時に私の芸能人生終わるよ?落ち着け!





『今日~彼氏も連れてきたんですぅ~!』





彼氏...まさか?!




元グラドルは男を引っ張ってきた。




『彼氏ですぅー!』



”彼氏”は嫌そうな顔をしてる。髪の毛で顔が隠れていた。でも...私はすぐに分かった。



『どーも。植草葵です。』


こいつはむっつりと答えた。






何もかもが分からなくなった。最悪の事態が起こった。


急にめまいがして目の前が真っ暗になり








気絶。

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