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Vo.15

「用件は手短に10秒以内でよろしく。」


「千里は....?」


「寝たよ。まだショックが収まってないみたいだけど、少しは元気になった。」


あいつは電話越しにほっと息をついた。


「以上?」


「そんなに僕が嫌いなの?声を聞くのもいや?」


いや。当たり前でしょ。


「他に用がないなら切るよ。.....」


とは言ったものの、やっぱり心配だった。ムカつくけど、私はあいつを心配してる。


「....手、大丈夫?」


もうバカみたい!!なんでそんなこと....?!


「ああ。大丈夫だよ。ありがとう。」


なんであんたも嬉しそうに答えるの?!バカバカバカ!


「べっ別にあんたのこと心配してるわけじゃないからっ!ただ、撮影とかに影響でないかな~?って...」


「今はなにも撮影してないよ。次のドラマが控えてはいるけど。ありがとう、"心配してくれて"。」


ムキー!!強調するなぁっー!!!ああもうっ!!!


「以上?」


「いや....明日、君の家に鈴恵さんか僕が千里を迎えにいくよ。」


は?


「あんたが迎えに来たら千里が怖がるでしょ?だから鈴恵さんに迎えに来てもらって!」


「千里に謝りたいんだ。」


なんで分からんかなこいつは?!


「だーかーら!!鈴恵さんがあいだにはいることによって、千里が少し安心するでしょ?そこで謝りなっ!!」


最後の言葉使いがおばちゃんみたいだ。


「分かった...有理沙がそういうなら。」


なんじゃその納得のしかた。違う人が言ったら納得しなかったのかおまいは?!


「あと....家を別のところに移動した。前より狭いけど....神山除けだ。」


まあ、そこは確かにその方がいいかも。


「移動ってことはある程度の荷物しか持ってないの?」


「うん。仮だから。日用品とあいつに持たれるとまずいものとかは全部。千里のは明日僕が取りに行く。」


なんでそこまでしてこいつの秘密を知りたいんだメスヒョウは?自分の手元に置くっていう理由の割には執着しすぎというか...


「有理沙?大丈夫?」


「...ん?あっああ、考え事してただけ。以上?」


「うん、以上だよ。それじゃあ...おやすみ、有理沙。」


「はいはい。」


「....」


「なにか?」


「ちゃんと挨拶して。」


なんでこいつにそんなこと注意されなきゃいけないんだ?生徒と先生か?


「.....おやすみ。」


「有理...」


ピッ、


なんか言いそうだったけど、いいやどうでも。いいんですどうでも!







「結局、鈴恵さんがきてくれたんですね。良かった。」


「ええ。さすがに葵さんを来させるわけには....」


そらみろ。へっへっ。


「千里~!鈴恵さん迎えに来たよ~!」


反応無し。起きてるはずなのに。


「千里....?」


「いや。」


千里はベッドの上でうずくまってた。


「千里、帰らなきゃ...」


「やっ。」


「メスヒョウはいないよ。」


「やっ。」


「お兄ちゃん、もう怒ってないよ。」


「やっ!!」


毛布をかぶってしまった。


「どうしましょう、鈴恵さん。」


「うーん、無理に帰らせるわけにはいかないですよね~。」


ですよね~。とは言ってもな~。


「あいつに電話かけます?」


「それが1番最善策かもしれないですね。」


私は電話帳の1番上にある"あいつ"というフォルダを開いた。


まさか私からかけることになるとは。いやんなっちゃう。


「....もしもし?有理沙?」


「千里が帰りたくないってさ。」


用件は手短に。


「....そうか。千里の好きなようでいいよ。相当僕が怖かったんだろうし。」


「分かった....千里、まだここにいたい?」


毛布がもぞもぞ動いた。多分イエスだ。


「千里まだいたいって。」


「分かった...鈴恵さんはどうするんだ?」


「ちょっと待って....鈴恵さん、どうします?」


「有理沙さんもお仕事ありますしね...お仕事ある日に私が来るっていうのはいかがでしょう?」


あいつが1人にならないように気を使ってるんだ。寂しがりやだからな、あいつ。


「鈴恵さん、大変じゃないですか?」


「大丈夫です、これでも体力ありますから!」


鈴恵さんは胸を張る。


「じゃあ....聞こえた?」


「ああ。聞こえたよ。鈴恵さんがそれで良ければ。」


「分かった。そいじゃ。」


ピッ、


「じゃあそういうことで。良かったね~、千里!」


千里はすでに毛布を払い、ニコニコしていた。


「フルーチェたべたいな~!!」


「フルーチェなんていつでも食べれるでしょ?」


私と鈴恵さんが笑った。


「まあ、作るかフルーチェ。鈴恵さんは、ソファに座って下さい。朝から大変だったでしょう?」






「フルーチェ、フルーチェ、らんらん....」


千里は朝からご機嫌麗しいようで。フルーチェをもぐもぐ食べてる。

鈴恵さんは新聞を読んでた。


「全く...今夜の番組は大したのやってないわね!」


私はのぞき込んだ。


"芸能人大暴露SHOW!!

あの元清純派モデルT.M芸能界裏情報を暴露!"


千夏先輩の言うとおりだった。T.Mっていうのはいじわる先輩のことだろう。また名前は忘れた。


神よ。私のことはばれませんように....


「人のことをペラペラしゃべるなんてはしなないわ~!」


同感です鈴恵さん。


「今夜9時からか。ふーん。」


「どうかしたの有理沙さん?」


「いえ、なんか知ってる人出るみたいだったので。」


一応見ておこっと。監視のために。


ピリピリピリ、


携帯に着信、山下さんからだ。


「はい?」


「ぐっともーにんぐ美咲ちゃーん!!!」


うおっ!

相変わらずビックボイスの山下さん。


「おっおはようございます!どうかしたんですか?」


「いやいや!ネットニュース見た?見た?」


「ネットニュースですか?」


ピンと来ない。


「今開きますね。ネットニュース....?」


「ホントすんごいんだから!!イエスイエス!!!」



パソコンをインターネットにつなげた。


「どれですか?」


「特集よ特集!」


「とくし....?」


目を疑った。


"LOVE?の新曲PVに出ている女の子が可愛すぎると話題に"


「これって....」


「君だよ君君!!!クリックして!!」


"LOVE?のメンバー、RIZがツイッターで新曲キスミー・ベイビーのPVの映像の一部を流したところ、出演している俳優の植草葵を誘惑している女の子が可愛すぎるとネット上で話題になっている。彼女の名前は美咲。モデルで主にユア・スタイルに登場しており今回は、高月美香の代役として出た。来月でる同誌には人気急上昇モデルとしてインタビューが載っている。"


「う....わ....」


「すごいでしょー?!これで美咲ちゃんも人気モデルの仲間入りだー!!フォー!ん~だっだららららだったららら~!」


私が人気モデル?!こんな私が?!えっ?......えっ!!!


「だっだららららだったららら~!!」


山下さんと一緒に歌った。


千里と鈴恵さんが私を見てるけど気にならない。


「イエーイ!イエス!イエス!イエスっ!!フォー!!!」


私は周辺をぴょんぴょん飛び跳ねた。


悪魔に魂吸われたかいがあった~!!!!




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