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人魔のはみ出し者  作者: 生意気ナポレオン
第二章:まっありきたりな大会編
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第三十九話:剣姫生誕秘話

警告! 今回は超説明回です。

◇◆◇イレーナside◇◆◇


 痛い。全身の神経が引き千切られる様な痛みが全身を焼く。いや、"様な"などと言う比喩的な表現を使う必要無いか。

 痛みとは裏腹に、身を包んでいた炎は消え、熱だけが辺りに残る、その熱も雨粒に掻き乱され長くはもたない。

 視界が暗く、自分が立ってるのかどうかすら分らない、意識を失っているのかだろうか? ……それさえもよく分らない時点で意識は無いか。

「おい! 大丈夫か!」

 鼓膜を相棒の声が貫く、声に反応するように瞼が開く……ああ、瞼が開いてなかったから真っ暗だったのか。

「イレーナ!」

「大丈夫だ、静かにしてくれ……!」

 痛みの所為か、自然と声が尖ってしまう。自分を心配してくれた人に対しての態度として余りに酷い、謝らなければ。そう思うものの体が言う事を聞いてくれない、それどころか意識が薄くなっていく。

「疲れてんならもう寝とけ、体は俺が……」

 何時ぞやの事件の時聞いたような優しい声、その声を最後まで聞くことなく、空気の読めない睡魔か何かに意識を刈り取られた。


◆◇◆◇◆◇ 


「あー現時点で俺達とあいつ等の戦力差は絶望的とみて間違いない」

 あれからたっぷり六時間寝続けたルフトは何処からか黒板を持ってきてそう言った。寝起きの所為で声は気だるげでやる気が微塵も感じられないが、今に限った事じゃ位ので気にしない。

「まず、俺の生命力は少しは回復したとはいえ二割をいくかどうか、お前の魔力は高価な魔石は一つ砕け、一つは溜めてた魔力が空、お前は言うまでも無く魔力は空、あっても雀の涙位だろ」

 チョークが黒板を叩く、その学生時代に慣れ親しんだ音が診療所に響く。黒板は白い文字で顔にそれぞれの名前の頭文字が書かれた棒人間が書かれ、下に"二割"、"魔臓欠陥"と書かれる。

 雀の涙、魔臓欠陥、否定は出来ないがもう少し気遣ってくれないのだろうかこの男は、変に気を使われるのも嫌だが、はっきり言われるのも傷つく……随分面倒臭い奴だな、私は。

「対して、相手の戦力は……」

 白い文字が再び黒板への侵略を開始、御馴染みの棒人間の下に今度は"魔力八割確実"、"謎の異能"と書かれる。

「はい、見ての通り戦力差歴然。スライムが人間に立ち向かう位に結果は歴然だ」

 チョークを指に挟み嘆息されながら現実を突きつけられる、被害妄想なのだろうがその程度はまるでお前がそんな持病をもってるからだと言われているようだった。

「はいはい、イレーナばれてないかと隠してるつもりかも知れないが傷ついてるがバレバレだぞ。傷つくなイレーナ、今回の作戦を成立させるのに最も重要な鍵がこの――」

 魔臓欠陥と書かれた部分の下を赤のチョークが疾走する、只のアンダーラインなのだが。

「魔臓欠陥。この今までお前が――お前等がハンデと考えてきたこの病気、いや、この特性が鍵となる!」

 黒板を強く叩き、鼻息荒く白チョークを手に取り、先程よりも大きな音が鼓膜に叩き付けられる。

「この魔臓欠陥、専門家曰く魔臓の成長が阻害されるだけであって、魔臓に関するもの――魔力が流れる魔力管や魔力が放出される魔穴はきちんと成長するそうだ。つまりは、例え魔臓が五歳ほどだとしても、流される魔力は年に見合ったものでも問題ないという事だ。ここで質問だ、過去に"デーリオの愚行"と言われた、手術で魔臓をを二つに増やそうと言う、増えれば強い、そんな単純で幼稚な試みは当然失敗した。なんでだ?」

「二人分の魔力に魔力管、と言うか体が耐え切れなかったから」

「正解。ラチェリア辺りでは当時、"身に余る力を持とうとしたからラフィンド神が罰をお与えになったのだ!"とか言ってたみたいだが、考えてみれば当然だよな、魔力灯(トーチ)も一度に灯しすぎたら魔網源(ヒューズ)がとぶ、繊細な人の身体なら尚更だ。で、良い加減回りくどく思ってるだろうから、ぱっと結論を言わせて貰おう。ずばり――」

 紫色のチョークが円を描かれ、紫と黄色の線が私の棒人間に繋がれる。言わんとすることは此処までされなくともさすがにわかる。

「魔臓を移植する。その際に魔力管は勿論だが、無事に魔力を送るために神経も繋がないといけない。そこら辺は専門家にヴァッサーさんに手伝ってもらう」

「理屈は分かるが、その魔臓……どこから持ってくるんだ?」

「もう持ってきてる」

「何処に?」

「目の前に」

 目の前に居るのは当然ルフト一人のみ、魔臓どころか内臓一つ見当たらない、内臓が見当たる方が問題だが。

「ふざけるなよルフト」

「ふざけてないさ、俺が魔臓だよイレーナ」

「何を言ってるんだ、お前は」

「だから、俺が、魔臓に、変化する。ルフト製の魔臓は凄いぞ、何と熟練魔術師五人分だ!」

「…………」

「唖然って感じだな」

 当然だ。此奴が元々魔族だと言うのは知ってる、どの種族なのかは未だに知らないが私は大方の検討は付けていた、霧にも変化できると言う"吸血鬼"、任意の対象そっくりに変化できる"ドッペルゲンガー"その辺りだと。どんな生物も環境によって進化する、外敵を退けるための爪、肉を噛み千切る牙、敵を察知する目、どれも必要な進化だ。だが、ただ一つの内臓に変化する能力など間違いなく必要ではない、誰が好き好んで弱くなるものか。もしルフトが本当に魔臓に変化できるとしたら、こいつは一体何なんだ? などと考えては見るが、考えるだけ無駄なので思考放棄だ、一年も付き合って来て今更こいつの正体なんか知ったところでなぁ。

「おいおい、化け物を見る様な……」

「それで、魔臓に変化してどうやって移植するんだ?」

「えっ……もうちょっとそこは「此奴は本当に……人間じゃないんだな」みたいな」

「そんなの今更だ。で、魔臓を移植するとなれば魔力管も繋がないといけない、で、そんな事したら間違いなく拒絶反応が出る、そんな状態で私は戦えるのか?」

 魔臓移植できました、魔力が一般人と一緒になりました、だけど拒絶反応で死にました、じゃあ話にならない。

「……えーそこら辺は俺が言っても説得力が無いので、専門家の方に説明していただきます」

「あーと言う訳で、柄じゃねえが説明させて貰う、この診療所の所長のヴァッサーだ」

 黒板が魔臓に繋がれた棒人間を残して消され、代わりに"所長ヴァッサー=アーツト"と書かれる、知ってるよ。

「とりあえず、お前の心配してる他人の臓器追加による拒絶反応だが、間違いなく死にはしない」

「なんでそう言えるんだ?」

「この話は軍事機密的な所があるから極力話したくは無いんだが……」

 そう言えば元軍医だったな、あんまり昔の話はしたがらないから忘れていた。と言うか私の周りは過去を話そうとしないやつが多すぎないか? 私も含めてだが。

「この魔臓と言う器官は一切の生命活動の役に立っていない。心臓は血液を作り、胃は食物を消化し、小腸は栄養を吸収する。これと同じように魔臓は魔力を作るが、この魔力は一切生きる為に必要な何かに関わって来ることは無い、使用用途と言えば魔術や術具に魔力を込める為だけだ、余りに生物として不自然な進化だがな」

 ルフトに思ったことが全生物に当てはまるとは思わなかった、あっスライムは別か。

「まぁそれを良い事に一部の軍では内密に様々な事が行われてるんだが、そんな話は今はどうでもいい。大事なのは拒絶反応で死にはしないと言う点だ」

「死にはしないという事は何かあるんだな?」

「激痛」

「実に明快な答えをありがとう」

 まぁ他人の魔力を流したら、魔力管が傷つくのは当然か。だが……魔力を得られる代償としたら――格別に安い。

「どうする」

 ルフトの試すように不敵な笑み、手の平で踊ってるようで気に入らないが、たまにはお約束通りに行くのも悪くない。

「拒否権は無いんだろ? やるさ、当然」

 拒否権があっても、自分自身で放棄した。痛みがなんだ、危険性がなんだ、土壇場に来たら度胸に根性、理論だけで動く人間にはなりたくないし、もとより絶対安全などと言う事は無い。

「相手は自分も迎えに来たって言うのに?」

「戦えば恩知らずの親不孝者、戦わなければ一時の我儘で人を死にかけにした屑。どっちもどっちだが、屑は字面が悪いからな。それに……」

「それに?」

「いや、なんでもない」

「あっそう。時間稼ぎに放送局に電話はしておいたし……それじゃあ、行くぞ。全身変化……"寄生臓"」

 ここまで一緒に戦ってきた相棒、恩を返せずとも別れはしっかりしたい。などとは、さすがに言えなかった。


◆◇◆◇◆◇ 


「……い! おい! 起きろ!」

 意識を引き戻す声は酷く乱暴だった。五月蠅い、私はまだ寝ていたいのだ。

「起きろって!」

 声と共に冷気が私を襲う、布団がはぎ取られたのだ、返せ。

「表彰式が始まるんだよ!」

 表彰式? なん……の……って!

「今何時だ!」

「八時半だ! 表彰式は九時、早く行かねぇとまた恥かくぞ!」

「き、着替えは痛っ!」

「カッツェがしてくれてる、どうせ体中が痛んで動けねぇだろ、じっとしとけよ!」

「ちょっ!」

 ルフトの左腕が膝の裏を通り、右腕が背中を支える、俗にいうお姫様抱っこだ。

「止めろ、恥ずかしいから!」

 そう言ってる間にも診療所を出て、私達は大通りに出ていた。周囲の目線が痛い。

「五月蠅い、いい大人がこうやってるのがどれだけ恥ずかしいかは分かってる!」

「だったら!」

「こっちの方が安定するんだよ! 良いから黙っとけ! 舌噛むぞ!」

「うわ!」

 体に打ち付ける風に襲い掛かる重力、何時もは遠くから見ているこの"重蹄脚"を実際に体験する時が来るとは思わなかった。

 周囲の風景が跳ぶように過ぎていく、これほどの速度がでてるのだから、それに落ちたら危ないし、このままでは不安定だよな。

 そんな言い訳をしながら、私はルフトの首に腕を回した。 

なんでイレーナが魔力をあそこまで使えたのか、納得いただけでしょうか(汗)

正直、全然説明したりてないんですよね、戦闘中ルフトがどこに居たのかとか、魔臓をぶらぶらさせながら戦ってる訳は無いので。

ここに書くのは反則だとは思いますが、書かせていただきますと実は腰辺りに水が入ったビーカーみたいな物がありまして、そこに魔臓が入ってました。

イレーナがすぐに剣姫の羽衣を纏ったのでヴェルデン達にはばれませんでしたが。

ちなみに核は魔臓に包まれてるので見えてません、なのでまだイレーナには正体はばれてません。

分かり難い文章で申し訳ないです。

宜しければ、次話もお楽しみに。

ではでは

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