第三十四話:奮闘の後昏倒。怒りは沸々と溜まり
すいません、またもや遅い更新です。
その割には、文字数が五千言って無いと言う……申し訳ない。
その上、今回久しぶりのDouble sideです、読みにくいとは思いますが、勘弁してください(T_T)
◇◆◇◆◇◆◇Double side◇◆◇◆◇◆◇
現在時刻十二時十五分。中央区十七番街にて。ディーガン奮闘中。
◇ 背の方向へと地面を強く蹴る音が聞こえる。
どうやら、"隙晒し(ラスコ・ジェルミナーレ)"は、後ろの壁を攻撃として認識してくれたようだな。良かった……あれだけ叫んでて、何も起こらな
かったら……考えるだけで恐ろしい。
◆ 壁が消えたっ!? なんだ!? 何が起こったんだ!? くそ、くそ、くそぉ!! こっのぉ……! いや、今は目の前の屑よりもっ!!
「姉さん!」
どんどん小さくなっていく背中、もうほとんど諦めかけてた背中。やっと……やっと追いつけた背中なんだっ!!
「っと行かせる訳ねぇだろ!!」
◇ 目の色変えて駆けだそうとする、ヴェルデンに斬りかかる。体が重い、無理もないもう生命力の残量がほとんど無い。
「ちぃ!」
此方を僅かに一瞥し、ヴェルデンが斬撃を躱す。僅か一瞥、一瞬しか見る事は出来なかったその目には、病的な執念とでも言えば良いだろうか? 此奴はヤバ
い。そう、嫌が応にでも見せつけられるような目。その目に怖気付きそうになる体を、叱咤する為声は自然に大きなものになる。
「姉貴の背中追っかけてねぇで、掛かってこいやぁ!」
◆ この屑がぁぁぁ……! 自身が冷静さを欠いてるのは分かってる。抑えたくとも抑えられない、だがこのままでは本当に取り返しのつかない事になる……!振
り切れそうになる、その一歩手前で頭の中のスイッチを切り替える。
≪肩書変更:"―――"―>"為政者"≫
一気に頭が冷え、思考が纏まって行く。自分が取るべき行動を組み立てていく。内心では反発していようとも、口は勝手に言葉を紡ぐ。
「チューリ!」
「分ってる」
これで良し、これで姉さんを見失うことは無いだろう。自分は目の前の男をさっさと片付け、合流する、実に単純な作業だ。問題は……僕がまた
"肩書変更"をしてになってこの判断通りに動けるかどうかだが……これに関しては考えても結論は出ない。
出たとこ勝負は好きじゃないが――仕方無いっ……!
≪肩書変更:"為政者"―>"―――"≫
◇ 一人行かれるのは想定内だ。二人止めれると思うほど驕っては居ない。それよりも――
「"傾け"」
ガキィ!――右肩に衝撃。"拳通士"の能力でを防いだのだろう。だが、なにを――?
周囲にはおよそ、今ほどの衝撃が飛ばせるような物体は無い、飛ばされた形跡も無い。とすれば、間違いなく何らかの異能の力。"傾け"この言葉が引き金と
なったのも間違いないだろう、だとしても何を"傾けた"んだ!?
◆ 何に防がれた? 訳が分からない、思考が纏まらない。くそ、とにかく今のは通じない! だったら!
「"模れ"!」
右手に一振りの剣を掴んだような重量感。見えない剣先が地面に当たらぬように、男へと近づく。一閃。
ガッ!――剣と剣が交わったにしては鈍い音。その音が改めて自らの握る剣の異様さを教えてくれる。忌むべきともいえる、自らの異能により創りだされた物
だと。
「なんだこれはぁ!?」
男が剣に動揺している今が隙!
「はあぁぁぁぁ!!」
肺に溜めた酸素を全部吐きだす勢いで剣戟の雨あられ、だが、防がれる。こいつ……殆ど倒れかけの癖に……!
◇ な、なんつう連撃だよっ! 幾つか貰ったぞ……幸い、当たったのに防がれた事には気付いていないみたいだな。だけど、此奴さっきから本当に情緒不安定な
んじゃねぇか? 急に冷静になったかと思えば、今みたいな後先考えない連撃。今も肩で息をしながら、やっとこっちの攻撃を捌いてる。……そんな状態の奴に
捌かれる俺の剣の腕も酷いな、オイ。
ちっ、あんまり接近すると、まぐれで拳でも当たったりするから嫌なんだけどな……そうも言ってられないか。
「ふぅ!!」
短く息を放ち一気に踏み込む。柄から手を放し、懐へ滑り込む。
≪肩書強制変更:"剣闘士"―>"拳と≫
フォオン!――頭の声をかき消すほどの風切音、そして、衝撃。斬撃では無く衝撃、"拳通士"の壁は厚い。
「はぁぁぁぁ!!」
型も何もない闇雲な連撃、と言うよりこの整合性の無さは乱撃と言うべきか。防具を付けているヴェルデンには、毛ほども効くことは無いだろう――このまま
では。
「喰らえ! "群れ成す弧狼"!!」
狼は一つの群れを作る。生きる為に、命を奪うために。それと同じ、一撃一撃が弱い衝撃は、対象を破壊する為に、命を潰す為に、衝撃は――群れを成す!!
「ゴハァ!!」
◆ 痛みで一瞬、意識が飛びかける。口には血の味が広がり、臓器が幾つか傷ついたのを実感する。だが、意識が飛びさえしなければ、あとはどうでもよかった。
「あぁぁぁぁ!!」
闇雲に拳を振るい、体を滅茶苦茶に振り回す。まだ視界がぼやけ、男の姿はうすぼんやりとしか分らなかった。段々と焦点が合ってくると同時、男が思ったよ
りも接近しているのに気付き、後ろへ飛んで距離を離す。
焦点が完全に合わさった時、そこには――男の倒れた姿があった。体中から大量の汗を流し、顔色は蒼白、悪寒でもあるのか全身を震わせている。この様子は
見に覚えがあった、即ち、生命力がほぼ底をついた状態。体中の抵抗力が落ち、あらゆる細菌に体を侵され、体はピクリとも動かず、棺桶に一歩どころでは無
い、半身突っ込んでいるような状態。
「はっはは」
思わず、笑みがこぼれた。今まで散々邪魔をしてきた男の哀れな姿、今の此奴にはこちらが何をしようとも一切抵抗できないだろう。ゆっくりと男に近付
く、心から黒い情念が溢れかえる。消えた背中が、一年前とダブり、その情念を一層掻き立てる。そうなったらもう、自制が効くはずも無く、元々自制などと言
う文字は知ってる筈も無く、ただただ、拳をその体に浴びせ続けた。
午後十二時三十分―side change→
◇◆◇◆◇◆◇side シュヴェルト◇◆◇◆◇◆◇
現在時刻十二時五分。中央区七番街にて。シュヴェルト唖然。
きらきらと太陽光を反射しながら落ちる破片、指輪の破片、敗者の破片。今ここに、ルフト=ゼーレの敗退を知らせるものだった。
「ははは! いやいや、良~い表情! 呆然って感じですねぇ!」
響き渡る嘲笑にも、今は何も感情が揺さぶられない。当事者じゃない、俺ですらこうなのだ、自分の指輪が目の前で砕かれたルフトは……静かに、泣き崩れていた。
「泣かないでくださいよぉ……また、来年があるじゃないですか! あっいや、これは新人戦だから無いのかぁ、これは失礼。なんだったら、心残者に入ります!? な~んてね、ははははは!」
殺したい。怒りを覚えるよりも先に、殺意が胸に湧いた。分ってる、今此奴が心残者であるという証拠が無い事も、そうでなくても犯罪者であれ、殺人は基本的にご法度だ。
「んん~今にも殺されそうな目つき、こりゃ怖い! だけど、良いんですかぁ? ほらぁまだ、ほかのお二人は健闘してらっしゃると思うのですが」
そうだった。それも踏まえて、此奴は指輪を砕いたのだろう。そう考えると、一層殺意が増大する。
「なんで、なんで指輪を砕いて平気なんだ! お前の代表達も全員っ!」
涙を拭きながらルフトが叫ぶ、それは俺も感じていた。自分の代表全員を犠牲にしてまで、ルフトを敗退にした、心残者の話を聞いたからと言う可能性はあるが、それにしたって、利口な言い方とは……
「全員? どうなるんですか?」
「どうなるって……敗退者が指輪を砕「ああ、もしかして、私が敗退したと思ってらっしゃるぅ?」何を恍けて!」
「ははは、それは失礼、これまた勘違いを招く様な事をしてしまって。確かに、フロンゾ選手は敗退になりましたね、御宅の副将らしき方に」
副将……変化してたルフトか、どうやら勘違いしてたようだが、やはり、フロンゾは敗退してるのは間違いない。
「だけどぉ、こうすれば~?」
そう言ってごそごそと付けていたウエストポーチを探り。一つの小さな箱を取り出す、見覚えのある、指輪が一つに入りそうな箱を。
「はい、これで僕はレーヴォレ選手って寸法です」
「「なっ!!」」
「そ、それはルール違反だろ!」
思わず、声を荒げ掴みかかりそうになる。
「ダメです、ディーガンさん、一人が二つの指輪を付けちゃいけないなんてルールは……」
だが、首を振りかぶりながらルフトに諌められる。
「そう言う事。まっこの大会自体、ルールの穴をどれだけつくか、より実践的なとか何とかいうものですからね、悪く思わないください」
膝から力が抜ける。当事者のルフトは、体を震わせながらも立っていると言うのに。確かに、二人は残っているが、あいつ等だけでは優勝は無理だろう。結局、大会には敗れ、心残者を告発できず、ただ若者に良い所を見せようと出しゃばっただけの老人だった。
「やれやれ、貴方も大変ですねぇ~こんな老いぼれ抱えなければ、私も此処に来ずに済んだわけですし、まだ可能性はあったのですがねぇ~」
「……てめぇ……!」
明らかな挑発、ルフト一人を敗退に追い込んだだけでは飽き足らず、この男はチーム全員を敗退に追い込もうとしていた。それも、反則負けと言う、余りに屈辱的な方法で。
「怖い顔しないで、貴方じゃなくてぇ、こ の 老害の事を言ってるだべぇ!」
目の前を通り過ぎる優男。胸にどす黒く溜まってた塊がスゥーと薄らぐのを感じる、だがしかし、それは同時にゲシャフトチーム全員の敗退を告げる知らせでもあった。
午後十二時十分―side change→
どうも、生意気ナポレオンです。
今回、読みやすさは如何だったでしょうか、二回目ではあるものの、例によって例の如くと言うか、ちょろちょろ書き方変えてるもので(汗)
次は早く更新できるよう頑張ります! ←信用度0
ではでは~