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人魔のはみ出し者  作者: 生意気ナポレオン
第一章:もしくは相棒編
21/107

第二十話:相棒

掟破りの二話同時投稿!

と言う訳で(どういう訳かは知りませんが)今回で第一章が終わります.

今回,ちょっと癖がある感じになってると思いますがご勘弁を!

◇◆◇◆◇◆◇Double side◇◆◇◆◇◆◇



叫び続けていたのだろう、喉が枯れ、その声はかすれていた。

―叫び続けたせいか、喉が枯れ、声はかすれていた。

気付かないようにしていた、罵られるが恐く、脅えた目で見られるのが怖かったから。

―恐いのだろう、あれほど隠していた正体がばれたのだから。

だが、いくら罵られようとも、どんな目で見られようとも彼女は助けないといけない。

―人からは裏切り者と言われるかもしれない…だが、彼が魔族であれ、彼を信じるのは当然だ。

なぜなら彼女は…

なぜなら彼は…

相棒なんだから。―相棒なのだから

ゆっくりと鬼の腕を使い、鎖を壊す。

彼女は何も言わない。当然だろう、こんな姿なのだから…

―何も言えなかった、その異形を前に、息を呑んでしまった。しかし、彼の顔を見て決心する。自分も傷つこうと。

[炎から生み出されし、小さき者よ、我が手に集いて剣となれ"火片の剣"]

彼女は創った、今から目の前の異形に振り下ろす断罪の剣を。

―私は創った、罪人となる為の剣を。

彼女の剣が真っ直ぐと振り下ろされた、俺に向かって。

―剣を振り下ろした、彼に向かって。


「はぁぁぁぁぁ!」

「あ、あつあぁぁぁ!!」「あがぁぁぁぁ!」

手に掴んでいた二人が火で出来た剣に両断され、その火によって燃やし尽くされる。

火がこちらに移る事は無かった、その剣は器用に二人の命だけを断っていた。

能前とし、ふと辺りを見回す。部屋のあちこちに倒れている死体、怒りに任せて殺した死体、一方的に殺した死体。その光景に全身が嫌悪感に蝕まれる。

殺すのがつらい訳ではない、自分の姿が自分を殺そうとしたあの人間に、スライム族を殺してきた妖精族に、優越感に浸った顔で襲ってきた奴らに重なる…それがたまらなく不快で、気持ち悪くて、嫌で自分で自分を切り離したくなる、そんなのは無理だと言うのに。

だからだろう、彼女と共にいたのは。初めての依頼の時、初めて言葉が通じる相手を殺した時の言葉に救われたと感じたのは。

―辛いのだろう。周囲を見渡した途端、顔に苦悶の表情が浮かんだ。ここでお前は悪くない…などと言うのは容易い。だがもう私はその役目を終えた。私に出来るのは精々…苦しみを味わうだけ、同じ種族を殺す、そのような彼が感じているのとは全く違う苦しみを勘違いして背負うだけ。それだけの事しか出来ない。

彼女は何も言ってくれない、だがこれは一人で苦しみ、そして乗り越えなければいけないのだろう。

俺は彼女に腕を引かれるばかりだ。

―私は彼の足を引っ張ってばかりだ。

だけど、それでいい。相棒とは持ちつ持たれつではないか。

―けれど、それで問題ない。相棒とは助け合うものだ。

その事に気付かせてくれたのは彼女のお陰だ。

―その事に気付かせてくれたのは彼のお陰だ。

しかし、彼女は俺の事を相棒と思っているのだろうか?

―彼は私の事を相棒と思ってくれているだろう。

俺は彼女を信用しきれていないのだろう。

―私は自惚れているのだろうか?

「…なぁルフト。私はお前の事を相棒だと思ってる、お前もそうだろ?」

「そうだろ?…か…そう言われたら「そうだ」としか言えないな。と言うかそれは俺が言って見たかった台詞なんだが」

「ふん…ところで、口調はそのままで良いのか?」

「良いんだよ、隠し事をしてないんだし」

「何だ、それが原因だったのか?」

「相棒に隠し事をしてるのは結構心苦しいんだ」

「はは!まぁ私はすぐにばれたからな」

「俺はばらす気は無かったんだがな…やれやれ、長老の危惧した通りか…」

「お前はお人よしだからなぁ」

「まぁな」

「そこを認めるか?」

「ああ、俺は優しいからな、昔からお前は優しすぎるって御婆ちゃんに怒られてたんだ」

「はいはい」

「軽く流されましたとさ…ところでイレーナ」

「何だ?」

「これって過剰防衛にならないよな」

「………微妙な所だな、まぁ最悪此奴らが私を争って、同士討ちしたという事にしておけば問題ない」

「面白い冗談だな、私を争って辺りがもう大爆笑だ」

「そうだろ?自分でもなかなかのものだと自負してる」

「冗談はさておきどうするよ?」

「…燃やしておけば大丈夫なんじゃないのか?」

「…俺達が犯罪者みたいだな」

「私はこいつらに…その…そういう目に合されようとしたのだぞ?こっちとしてはそれだけじゃあ足りない位だ」

それは半分嘘だろう、インモンド達を殺すときの表情は怒りよりも苦悶に満ちていた。

「そういう目って誤魔化すあたりはお前も女性なんだな、イレーナ」

「やれやれ、そういうお前も紳士じゃないな。女性にそんな事を言うなんて」

「うぐっ…そ、それにしてもだイレーナ」

「誤魔化しても無駄だと言いたいが、誤魔化されといてやろう…なんだ?ルフト」

「こいつ等ずっと俺達の事恋人同士と勘違いしてたよな」

「えっ…勘違い…?」

「急にそんなこと言っても無駄ですよ、そんな素振り無かっただろ」

「何度でも言うが私も女性だ。禁じられた愛…みたいなのが好きだったりするのだぞ?」

「それで魔族と人間か?どっちでも出版禁止だぞ、その本」

「だが、そういう物語。私は嫌いじゃないな…」

「………ま、まぁそれはさておきだ、俺達は恋人同士とはとんだ勘違いだな?」

なんで確認した感じなんだ?俺。

「………そうだな、私たちは恋人同士じゃない」

そう言いながら彼女はゆっくりと腕を上げ、拳をつくる。

「そうだよな…」

―そう言いながら彼はゆっくりと腕を上げ、拳をつくる。

「俺達は」

彼女と視線を合わせ、真っ直ぐ拳を突きだす。

「私達は」

―彼と視線を合わせ、真っ直ぐ拳を突きだす。

「「相棒だ」」

拳と拳がぶつかり合い。

―軽快な音を打ち鳴らす。

その音は結束の証。

―その音は信頼の証。



どうも,生意気ナポレオンです.

第一章終了致しました.

此処まで書けたのは皆さんのお陰です.

本当にありがとうございますm(__)m

と言ってもまだ第一章,これからも当然続くのでどうか見放さないでください(苦笑)

それでは,此処まで読んでいただき,重ね重ね有り難う御座います.

ではでは…あっ人話も一応更新しました.


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