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曇らせ大好きな女神が勇者を召喚する件

作者: 山田 勝
掲載日:2026/07/27

「ヘ、ヘイトスピーチ!」



 私は女神オルテ、人族の女神でございます。日本人を分解して情報を再構成して肉体を持たせて神殿で再現しましたの。まあ、日本での肉体を消滅させて情報だけをこの世界に転送して肉体を与えますの。

まあ、転移と呼んでいますわ。


 今日来た勇者候補には魔族をぬっ殺して下さいと言いましたの。使命の授与よ。

 そしたら、この女、ヘイトスピーチと言いましたわ。



「魔族だって、話会いをすれば分かります!」

「分からないから戦争をしておりますの」


「レイシスト女神よ!!」



「解除(アベリークト)」


 何だか腹が立ちましたので消去しました。平和と訴えながらも攻撃的ですわ。



 何故日本人を召喚するかって言いますと、それは、そう決まっているからです。



 この世界は平行世界、魔法文明が進んだ世界と科学が進んだらの世界が並立で存在しておりますのよ。



「では、次は・・・・」



 今度は男子を召喚しました。



「へえ、魔族をぬっ殺したら、美女と結婚して報酬をたんまり頂けるの?

 ちょうど良かった闇バイトをやろうと・・・」


「解除!」


 良い子がおりせんわね。

 戦いに必要なのは凶暴性よ。でも、それだけだと私の子達を傷つける可能性がある。


 人格者で魔王討伐を鵜呑みにする10代が望ましいわね。

 そして、最後、我が子たちに撃たれるのよ。騙し打ちにされるくらいの知能の子が望ましいのよ。


 信じていた者達に裏切られ捨てられる。

 その時の苦悶の表情が・・・


「クククク、オホホホホ、曇らせ最高ですわ!」



 何回か試してみたら、気の弱そうな女子が来たわ。いつも本を読んでいる地味な子ですって。



「はい、あの、私は死んだのですか?」

「異世界転移ですわ。貴女は選ばれたのよ」


「そうなのですね・・・・」


 任務を話したわ。

 そしたら怖がったの。良い反応よ。



「女神様、私は人を殺すのが嫌です」

「人じゃないわ。魔族よ。貴女は女勇者になるのよ」


「でも・・・・」


 これは逸材ね。嗜虐心を刺激するわ・・・いいわ・・・




「女神様は大変美しいですわ。地上に現われたら皆喜ぶのではないですか?」

「それは・・・・」


 出来ないのよね。理由は不明だわ。


 彼女は様々な事を聞いたわ。



「勇者召喚は一回だけではないですよね」

「ええ、そうよ」


「神罰で魔族を・・・やっつければ」

「それが出来ないのよ。地上の者は地上でね。間接的に助けることしかできないのです。これが大いなる法則なのです」



「うそ、こんな神々しい女神様が地上に力を及ばせないなんて・・・」



 ヨシ。決めたこの子にしよう。



 女勇者にして、多量殺人出来るスキルを与えて、戦いの最中に発狂する・・・


 これがいいわ。でも、嘘をついて聖女だと言ったわ。神も間違いをする。それは異教徒が存在することよ。


「貴女のジョブは大聖女で豊穣の祈りが出来るスキルを与えます」


「本当ですか?それなら・・・」

「ええ、そうよ。戦いに行かなくて済むわ」


「でも、私はキツいのも。疲れるのが苦手でして、それでも大聖女のお務め出来ますか?」


「ええ、出来ますとも」


「人の前に出るのが苦手で、それでも大聖女になれますか?」


「なれますとも」


「本当ですか?女神様みたいになれますか?キャ、申訳ございません」


「ええ、なれますとも。頑張り次第で私よりも強く美しくなれますわ」



 なれるわけないっつーの。


 さあ、戦場で苦悶の表情を浮かべなさい。魔王は強力よ。勇者が血のにじむ修行をして死力を尽くしてやっと討伐出来る代物よ・・・



 この気の弱さなら信用できる。

 対魔王軍の最前線に行かせるわ。


「では、楽しんできてね」

「はい!女神様有難うございました」


 ボア~と彼女の姿は足から消えた。


 王宮でスキル鑑定をされて絶望をするが良い。



 何とか、私の信徒がいる世界に行かせたわ。


 後は時々地上を見れば良い。


 本来なら聖女のジョブは少し男好きの子に与えて、地上で死刑になるのがおつなのよね。



 私は地上の子たちから奉納されたワインを飲みながら今後の事を想像する。


 もう、何千年続いているのかしら・・・








 ・・・・・・・・・・・・・・




 それからしばらくして、我が子たちの声は聞こえなくなったわ。


 王国に託宣を与えても受け取る者はいない。

 なら、仕方ない。

 こう言った事は時々ある。聖女が亡くなったのかしら?


 眷属のフクロウを呼ぶ。この子は地上を見る私の目だ。


「いきなさい。アルーテ」

「ポポポ-」


 地上に降りた。フクロウの目で王宮を見たら・・・


「ヒィ、血の惨劇・・・」


 王、魔道士、騎士達の死体が山となっていた。


 あの女子は・・・いない。



 謀られたの?そんな・・・・。魔王軍は?



 頭の中は????で埋まる。


「アルーテよ。あの女を捜し出せ!」

「ホホー!」







 ☆☆☆




 私は佐々道子、高校生だった。

 いつも、疑問に思っていた。魔王を討伐出来る能力があるのなら、何故召喚した国を討伐しないのか?



「いたぞ!魔女だ!」



 まだ、王国軍の残党がいたのね。


「照射!」

 手の平から怪光線を出す。


 すると兵士達の体はみるみる溶けていった。

 これは量子のレベルまで分解する光線らしい。


 彼らとは話会いが出来ない。

 まるで水道から水が出るように、使い捨ての対魔王のヒットマンである勇者が天から降ってくると思っているからだ。



 この威力ならカウンターパートの魔王は更に強いのだろう。

 そして、単独で魔王領に攻め込むのならそのスキルもあるはず。


「隠蔽!」


 カメレオンのように完全に景色に溶け込む。

 これで安心して眠れるか?


 森の中で寝た。


 三日も過ぎると追手はこなくなった。


 だが、変なフクロウが追いかけて来た・・・・


「託宣でもされたら面倒だ」


 光線で殺した。


 女神の力は届かない。

 だから、恐れる事はない。たじろぐ必要はない。



神殺しを始めるわ。


まずは・・・


「世直しね」



・・・いつ頃からか、女神教魔女狩り部隊を襲い。盗賊狩りも行う黒髪で黒い瞳の女盗賊が現われるようになった。

貧しい村は襲わない。村に分け前を渡す彼女の人望に人が集まるようになった。

彼女が消息を絶った女勇者ミチコ・ササであるかは不明である。


公式ではササ・ミチコは召喚直後に魔王軍に襲われたと伝えられる。

女神は間違いを起さないからだ。



最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
応援できればと思い来ました(^ ^) 召喚する女神を語り手に据え、その悪意を独白させる視点設定が挑戦的で引き込まれます。書き手として感心したのは、勇者候補を次々「解除」する冷酷さで女神の狂気を積み上…
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