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警視庁捜査支援センターのある一室に、水村とその部下たちが集まっていた。
「ようこそ警視庁情報支援センター総合捜査課第4係へ!」
今にも踊りだしそうな上機嫌さでそう言い放った水村青葉とその愉快な仲間たちにロヴィーサさんが茫然とした目をしていた。
全員が汚れ気味の白衣で手入れされていない顔に社会性の無さが滲んでおり、第4係に与えられた部屋もなかなか雑然としている。
「係長、この子が例の獣人の子ですか?」
「夏に会ったのはホワイトライオンの綺麗なお姉さんと黒猫のかわいい女の子だったよ」
ワーワー話し始めたのを見て飯島に「民間に頼んだほうが良かったと思うがな」と耳打ちすると「すまん」と答えが来た。
いちど場の空気を壊して話を戻させる必要がありそうだと判断し、丸めたチラシで机を思い切り叩くと思ったよりもいい音が部屋に響いた。
「水村、はしゃぐなら後でしてくれ」
空気がシンと静まり返る。
「あー……悪い。とりあえずサンプル出してくれるか?名護と水上、頼んだぞ」
書類とサンプルを全部机の上に出し、筆跡鑑定を行う名護氏に書類が・水上氏にサンプルが渡される。
飯島は仕事があるからと外務省にとんぼ返り、ロヴィーサさんが提供書類に傷がつかないように見張り、俺は近くでお茶を飲みながら鑑定が終わるまで休憩させてもらう事にした。
なんか変な気疲れをしてしまったのだ。
「木栖がいたら分担してくれたんだろうがなぁ」
いない人間の事を思いだすがいないものは仕方ない、久しぶりの緑茶の味と香りに癒されたくて自販機で一番大きな緑茶のボトルを買っていた。
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諸々の鑑定が終わった時にはもう夜で、鑑定結果も水村の口からあっさり伝えられた。
「リア・ヴェーゼとヴィクトワール・クライフは同一人物でほぼ確定だね」
その理屈についてもつらつらと説明されたが右から左へと受け流していたが、隣にいたロヴィーサさんは割合真面目に聞いており時折俺や水村に質問を投げかけながら丁寧に事情を理解しようとしている。
「……という訳で同一人物で確定したんだけど、わかった?」
「大変勉強になりました」
「真柴大使はいかがですか~?」
「今無性にサイゼのミラノ風ドリアに卵とチーズ乗せて辛味チキンと一緒に食べたい」
何となく零れた一言のお陰で何故か全員でサイゼに行く羽目になったがもうどうだっていい。




