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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
6:大使館に休みはない

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6-10

地球からの客人を迎えて2日目の朝。


朝ごはんは焼き立てのパンに地元の野菜と川魚の揚げ焼きを挟んだフィッシュバーガーとお茶だった。


いつもより数が多いので大変そうなのを見かねて、一番に食べ終わった木栖などは片付けを手伝っており俺も自分の食器を手に今日の予定を考え直す。


今日は大使館の中が舞台になる。


朝食を終えると早速大使館1階をイベント会場に仕立て直さなければならない。


掃除は事前に済ませているから良いが、今回は留学を検討してる人たちを集めて簡易的なマッチングをするのがメインとなる。


会場のセッティングは木栖・オーロフ・アントリの3人に任せ、担当者との最終打ち合わせは俺と納村、来場者の混雑対策を嘉神と柊木医師と言う感じで分担する。


10時に会場となる大使館の扉を開けて、希望者を各国ブースに案内。番号札を渡して呼ばれたら10分間の面談を受けられる。


ちなみに面談待ちや特定の留学希望国がない人は各国の特色をまとめたポスター(夏の収穫祭のときに大使館で張り出したものを参考に各国で事前に用意して貰った)を壁に張り出しておき、それを読むことで暇つぶしや希望国を決める参考にしてもらう。


12時には昼食と休憩、1時半から再び面談を受け付ける。正午ごろに来た人には午後からの面談を優先的に受けられる札を渡すことで不公平感を減らす。


面談終了は5時、ちょうど日が暮れるぐらいのタイミングなのでちょうどいいと思ったのだ。


「……もう少し頑張らないとな」




****




面談会は大盛況だった。


10時開場の予定が15分前倒しになるぐらいには希望者が殺到、面談終了の5時を過ぎても各ブースには30人以上希望者が残っていたのでやむなく延長せざる終えなくなった。


いちばんの想定外は留学希望者と家族の意見の相違が多かった事だ。


1人の留学希望者に家族がついて来て「留学なんかさせずに働かせたい、息子にそう命じてくれ」と担当者に懇願する事態が多発、時間を超えてしまう事が起きたのだ。


希望者の多くは金羊国建国前の事を知らない若い世代で『この国では獣人でも勉強すれば偉くなれる』というロールモデルがあるが、家族にはそのロールモデルが希薄なので『早く働いて家族を楽にして欲しい、人間さまの命令なら従うはず』と考える。だから揉めてしまうのだ。


あと親世代は文盲だったり読解力が低い傾向にあり、ポスターも張るだけでは効果がいまいちなように思えた。


明日もこの混乱が続くと思うと憂鬱だ。解決は無理でも楽にする方針で考えよう。


……人手不足はもうどうしようもないので諦めよう。同行していた記者もこき使、もとい手伝って貰っても人手が不足してた。もうどうにもならん。


留学してほしくないという親の気持ちについては留学のメリットを各国担当者と共有・ポスターにまとめておくだけでも少しは違うだろうか?分からんが試してみるか。


明日の面談会が終われば休みだ、と言い聞かせながら深く息を吸い込んだ。

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