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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
6:大使館に休みはない

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54/77

6-1

窓から秋風が吹き込む心地よい季節、金羊国は秋の収穫祭を目前に控えて賑わいを見せていた。


「このタイミングに合わせて留学生募集の発表を行いたいのです!」


そうキラキラした目で告げてきたのはクワス教育統括官であった。


朱鷺によく似た姿をし興奮で翼をはためかせたその人の圧に「はあ」というぼんやりした返事を返すしかできない。


「そして日本や異世界への留学のメリットを知るためにもぜひ、日本側から専門家をお呼びして欲しいのです!」


無論その言い分は分かる。


しかし収穫祭までの残り1ヵ月を切っているのを思うと、うまく人を集められるかは分からない。


(何よりこちらに来てくれる人がそう都合よく見つかるのかも不安だしな)


本省はもちろん諸外国外務省との七面倒臭い折衝が目に見えているうえ、そもそも日本を中心に地球側からこちらへ来たがる人は少ない。……いや、情報収集と思えば他国も人員を出すだろう。


「話は通しておきますがもう1ヵ月ないですからね、スムーズに決まるかは分かりませんよ」


さっそく正式な要請書類を仕上げてもらい、完成次第昨日戻って来たばかりの納村に日本側に届けてもらうように指示を出そう。


「あと温泉開発担当官が直接日本に留学したいという希望を出してくれまして、日本へ送る学生を30人から28人に減らしても構いませんか?」


「それは構いません、温泉開発担当官殿には温泉の開発と運営が学べるように手配しておきましょう」


俺が出来る限りの笑顔でそう答えると「助かります」と頭を下げられた。


しかし俺の脳裏によぎることはただ一つ。




……面倒臭い。




しかしこれも仕事であり、この膨大な資源を持ちながら赤ん坊のような小国に手を伸ばす事には意味がある。


異世界からの留学生受け入れとその諸手続き、遅々として進まない新しいトンネル工事、日本から頻繁にやってくる厄介な商社マン、伝書鳩でのろのろと続けている北の国の原油買取の交渉。


「では、よろしくお願いしますね」


満面の笑みを向けられると俺はもう何も言えなくなって「ははっ」と笑うだけだった。

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