26-1
今回から週1更新です
12月中旬へさしかかる頃、飯島と叔母から手紙が届いた。
飯島からの手紙はいつも通りの近況報告と、最近マスコミだけでなく暴露系インフルエンサーが異世界関連の仕事関係者ネタを漁っていて迷惑だという愚痴で埋まっていた。
どうも紅忠の河内さんが暴露系インフルエンサーの餌食になりかけたそうで、紅忠で火消しに追われたんだそうだ。
(向こうも大変だな)
やれやれという気持ちで飯島からの手紙を読み終えると、叔母からの手紙の内容にため息が漏れた。
「……どうすっかな」
「妙にシリアスな顔してどうした?」
書類を持って来てくれた木栖が俺の顔を覗き込んでそう聞いてきた。
「いや、冬休みどうするかと思ってな」
「冬休みの予定に問題が?」
「俺の従兄弟が新年早々足の骨砕いて入院してな、いま叔母の所に従兄弟の子どもたちが預けられているから叔母の家にご厄介になれなくなった」
従兄弟たちのうち現状唯一の既婚子持ちである莉羅が仕事中足にモノを落として入院したのだが、嫁ぎ先が自営業で多忙なため叔母が莉羅の子ども2人の面倒を見ることになったらしい。
そのため叔母はやんちゃな男子小学生2人の世話と本業(和裁師)で手一杯で何もできないので冬休みはうちに来ないでくれ、と手紙が来たのだ。
俺の実家も現在借り手がついているため実家で過ごすのも難しい。
「まあ顔出しに行くぐらいなら迷惑にならないだろうが、残り日数をどうするかと思ってな」
例年14日間程度ある冬休みだ、日本にいるうちにやっつけておく用事など2~3日もあれば片付く。
その残りの休暇をどう過ごすか?が今年の悩みとなってしまったわけだ。
「じゃあ、俺と一緒に温泉行かないか?」
温泉というキラーワードにピクリと反応する。
「どこの温泉だ?」
「まだどことは決めてないから、一緒に行くならお前の好きなとこでいい」
「そうだな、交通の便が良くてあんまり寒くないところがいいな」
「近場なら伊豆とかどうだ?」
伊豆という地名から連想されるようにふと子どもの頃の思い出が甦る。
叔母夫婦が俺の小学校入学祝いとして俺を一泊旅行に連れて行ってくれた事があり、河津桜を見たり海の見える露天風呂に入ったりして過ごした記憶がある。
そんな良い思い出がもう一つ作れるのならばそれはだいぶワクワクする。
「いいな、伊豆」
「伊豆のどこがいいとかあるか?」
「お前に任せるよ、のんびり温泉に浸かりながらお前とダラダラ過ごせるところがいい」
木栖は困ったような口ぶりのくせに悪い気はしなさそうな顔で「難題だな」とうそぶく。
そんなゆるゆるな顔で言うんじゃない、という話だ。
「行き先とかホテルは俺の方で決めておいていいか?」
「ああ。でも頼むから一泊5万とかするような高級宿はやめてくれよ、俺が落ち着かない」
「一泊1万5千円くらいのとこ探しとくよ」
書類を俺の机のわきに置くと、木栖は再び仕事に戻っていく。
冬休みの予定も決まったとなればやる気も湧いてくる。
長期休暇前に片づけておくべき仕事を終わらせたら、今年は木栖と温泉でダラダラ過ごす。
「仕事やるか」




