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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
25:大使館に恋の嵐

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25-6

俺が木栖と付き合おうが付き合うまいが、仕事は変わらず山積みのままだった。


セフレへの誘いを断られたついでに当て馬にされた可哀想な男(五十里桂馬)もそれは同様なようで、木栖に一歩も近寄る気配もなく淡々と日々は進んでいく。


「現時点でのヘイルム草供給については紅忠さんにご代行いただきますが、将来的には弊社の方で金羊国にヘイルム草の買取・栽培を目的とした拠点を作って地球諸国への安定した供給を目指します」


富山協同の担当者からの説明をうんうんと頷きながら聞いているさまは若手社長そのものであり、木栖に振られたなどという様子はみじんも見せない。


「ヘイルム草の栽培ですか?」


「現時点での研究では呼吸器系のいくつかの疾患に効果を見せる可能性が示唆されています。ですので将来的には使い道も広がる可能性が大きく、それに向けての安定確保ですね。


また金羊国内における薬用植物栽培ノウハウの構築による先行者利益の獲得、また金羊国内での医薬品ビジネスが可能になればいち早い進出で名前が知られているという事による優位性も得られます」


そう語りながら異世界薬草ビジネスの計画を説明しているが、紅忠がヘイルム草の安定供給を担わないのは他企業との余計な摩擦を避けるためだろう。


異世界産原油の輸入により今や対異世界貿易の主役に躍り出ようとする紅忠であるが、それ故の他社からの嫉妬を避ける事も世渡りには大事だ。それに対異世界貿易を特定の一社が独占し過ぎると独禁法に引っ掛かるリスクもあるし、政府でも原油以外は他社の商材として残しておくよう耳打ちぐらいはしているに違いない。


「ヘイルム草以外の薬草についてはどうでしょう?」


そう聞いてきたのは金羊国側の担当者だ。


「それらの薬草につきましてはまだ研究段階ですので研究が進めばそれらの栽培も目指す事になりますが、現時点ではなんとも言い難いですね」


「そうですか」


金羊国としてはとにかく外貨と収入が欲しいので、日本からの企業進出は自国経済の助けになる。


そこら辺に生えている薬草なので初期費用は低く抑えられるし、栽培を目指すなら雇用も生まれやすい。


しかし日本への経済的依存による政治干渉もある程度考えておく必要があるのも難しいところだがー……まあ、現時点で考える事じゃないか。金羊国からすれば経済基盤の強化は最優先課題だから、多少の経済的依存リスクに目をつぶってでも優先するだろう。


「金羊国進出企業はこれからも増えていくはずです、弊社としてもどうかご理解とご助力を賜りたく」


「承知していますが、我々には地球の企業が求める支援内容がまだ不明瞭です。もう少し詰めさせてください」


金羊国と富山協働側の話し合いはこれからも続いていく。


俺達日本大使館が出来ることはその関係性の維持のための協力ぐらいだ。


(あとは双方の努力次第、ってとこだな)


この話はたぶん俺が金羊国を離れてからも続いていく。


今日の話し合いについての記録とメモ書きをファイルに挟むと、今日の分の話し合いも終わりの時間を迎えようとしていた。




*****




「これで風土病撲滅への記念すべき第一歩を支えてくれた金羊国の方々と、日本の大使館ご一行に感謝を」


「我々も苦しむ人々が1人でも減ることを心よりお祈り申し上げます」


ハルトル宰相とアラブ諸国御一行が握手を交わし、別れを惜しむ姿がマスコミによって写真へ収められていく。


湾岸アラブ諸国御一行様および富山協働製薬の御一行様は5日間の話し合いを終え、マスメディア向けの報告会を執り行うと帰国の途についた。


(明日の新聞はハルトル宰相とアラブ諸国御一行様の写真で決まりだな)


これにて、俺達在金羊国日本大使館は大きな仕事をひとつ片づけることが出来たのであった。

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