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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
23:大使館と夏の日々

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23-8

8月下旬のある日、仕事の資料や荷物と一緒に沢村家からの荷物が届いた。


先に飯島からの手紙だけサッと目を通すと万博の金羊国ナショナルデーがつつがなく成功した事と、以前俺が対応した福永やよいが無事出産したので相手方にしっかり伝えておいてくれと言うことが記されている。


(……無事に生まれたんなら良かった)


後で北の国へしっかり伝えておこう。


次は沢村家からの荷物だ。送り主は沢村の叔母となっており、特に何かを頼んだ覚えもないので不思議に思いながらその小さな箱を開けて同封されていた手紙を開いた。




『春彦くんへ


お元気ですか?体調崩していませんか?私達は健康に過ごしております。


この夏、私達夫婦と絃子・霽月・叶の5人で大阪へ万博を見に行ってきたのでお土産を買って来ました。食べ物系は少し難しいかな?と思ってそちらでも使えそうな日用品にしてみたのでよかったら使ってください。


まだまだ暑い日が続くので体を大事にして、元気な姿を見られるのを楽しみにしています』




つまりこの中身は叔母からの大阪土産というわけだ。


箱の中身を一つづつ出してみると、万博コラボのメモ帳セットに万博マスコットデザインのペン2本と消しゴム2つ、太陽の塔のメモスタンドにクリアファイルセットと中々個性的な組み合わせとなっている。


おまけに絃子からもメッセージがついており『せっかくだから木栖さんとお揃いで使えるようメタシルと消しゴム2つ買っといたので仲良く使ってね』というだいぶ余計なお世話感のある手紙までついて来た。


(メモ帳は1つあればいいから誰かにあげるとして、木栖は使うのか……?)


筆記具なんてのは別にいくらあっても困らないので俺の分に買ってくれたやつは貰っておくが、木栖が必要としてるかどうかは別な気がする。また本人が要らないと言うならまた誰かに渡せばいいだけのことだ。


「失礼します、お飲み物お持ちしました」


水差しを持ったオーロフがやって来たので、水差しを受け取るとメモ帳を1冊取り出す。


「オーロフ、良かったらこのメモ帳貰ってくれないか?


「……@[l:,/\ですか?」


オーロフが耳慣れない言葉を口にするので詳しく聞くとこちらの世界の昔話に出て来るモンスターの名前だった。


(ミャクミャクって知らない人にもモンスターに見えるんだな……)


今行われているイベントの宣伝用キャラであることをかいつまんで説明し、良かったらメモ帳を貰って欲しいと伝えると「そういう事でしたら、有り難く頂きます」と返事が返ってきた。


「昔はもっと遠慮して中々貰ってくれなかったよな」


「僕らには高級品でも日本の方にとっては他愛もないものだと言うことを十分理解しましたから」


アントリにももう1冊のメモ帳をあげると、やはり同じようにモンスターのデザインを少々気味悪がりつつも貰えるならば……と貰ってくれるのであった。




*****




さて、イトのくれたペンと消しゴムをどうするか。とペンを見つつ考える。


ペンはノック式のボールペンに近い仕様で万博マスコットをデザインしたカラフルなもので、消しゴムも同じデザインの色違いなので見た目でお揃い感がある。


(いい年こいた男二人が同じデザインのペンお揃いは若干キモい気がするんだよな……)


イトのことなのでたぶん悪ノリ半分、春兄が世話になってるんだからというお節介半分なのだろうという気はする。


木栖と同じ指輪をはめてる時点でキモいもクソもないと言えばそうなのだが、一般的な夫婦だって40過ぎてペアルックは普通ないだろう。ペンぐらいなら気にならないだろうが……。


そんな事をうだうだ考えていると「真柴、」と声がかかる。


声の主は木栖で、ひょっこり現れて何の用かと思ったらちょっとした仕事の話だった。


仕事の話を済ませると木栖の左手薬指に目が行き、今更ペンのお揃いがどうこうと思う必要もない気がしてきた。


「なあ、お前ペン使うか?」


「ペン?あれば使うが」


「うちの従兄弟がお前にって、俺と揃いで買って来たペンと消しゴムがあるんだよ」


そう告げると木栖の表情が驚きと喜びの色に染まった。


「……お前とお揃いか」


たかがペン一本でここまで喜ぶのか?といいたいところだが、むしろ俺とお揃いというところ本人の琴線に触れたのだろう。いささか少女趣味的な喜び方ではあるが木栖がこの喜びようならイトも本望だろう。


「女子高生みたいだな、お前」


「恋人とお揃いなんてめったにやれなかったからな、ゲイバレするといろいろ面倒だし」


ツッコミ所は多いがこの木栖に水を差すのも無粋な気がするので、ペンと消しゴムを渡せば「お前の従兄弟にも礼を言っといてくれ」と言いつついそいそペンをしまい込んだ。

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