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このエピソードは3回更新(18日0時・12時・18時)です。
パリンというワイングラスの割れる音とある人物の悶死によって全てが止まったパーティー会場は、春の穏やかの天気に反して不気味なほどの沈黙と不穏な空気に包まれている。
「これは神罰なのではないでしょうか」
黒い敷き布に包まれて担架で運ばれていったその人を見送った初老の大司教はポツリとそんな言葉をつぶやいた。
「神罰?」
「異世界人の考えに従い獣人奴隷を否定なさろうとしたことへの罰です」
その言葉で途端に空気がざわついた。
神罰など昨今の日本では陰謀論でしか聞かなくなった単語だが、宗教権力の強いこの世界ではそれなりに説得力があるように聞こえるのだろう。
参加していた貴族や従者達から「やはり異世界人と協力し合うべきではないのか?」「獣人奴隷の労働規制は神の意向に反するのかもしれないな」という言葉が漏れ聞こえてくる。
「これは神罰などではありません」
咄嗟に俺の口をついたのはそんな一言だった。
大司教は頭おかしいのかこいつとでも言いたげな顔をしてこちらを見ていたが、一番奥の王族席に座っていた国王はこう言い放つ。
「ならば、これが神罰でないことを証明してみせよ」
微かに顔を歪めて北の国の国王は俺にそう言い放った。
参加者達は俺の方を見てそんな神をも恐れぬ所業がたかが人間に出来るはず無いだろ?いう眼差しで見つめてくる。
「万全の協力を頂ければ、これが神罰ではないと証明してみせましょう」
まったく、何でこんな事になったんだかなぁ。




