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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
17:大使館と王の来日

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17-17

昼食(何故か千葉と関係なさそうなとんこつラーメンだった)もそこそこに午後からは成田のトンネル建設の現場を軽く視察を終えると、まだ午後の3時前となっていた。


これはそもそもトンネル建設自体がまだ工事を始めたばかりで特に見るもののない状態なのが悪いのだが……。


そんなわけで早めに都心へと戻ろうと車を走らせていたが、その前にある場所へ寄り道することになっていた。


「これは……」「大きな塔ですねぇ」


北の国御一行が真上を見上げてもなおてっぺんが見えない塔に感嘆の声をあげた。


「東京スカイツリー、この世界で最も大きな電波塔ですよ」


これも国交省の連中がねじ込んだ観光スポットだ。


さっそく1時間だけ貸切になった展望デッキに上がると、あまりの高さに全員の足がすくんでいた。


特に北の国御一行はほとんどが恐怖を感じて壁側を歩いており、窓側には絶対に近寄るまいというように壁側の手すりを掴んで歩いている。


しかしエイン魔術官は平気な顔をしていて「なんでそんな平気なんですか……」と聞いたら「鳥系獣人は割と高いところ平気な人多いんですよ」と答えになってるのかなってないのかわからない返答が帰ってきた。


「ここはねじ込んだの間違いだったのでは……?」


実際来てみると理屈では安全と分かっていても生物的な恐怖感が勝ってしまう俺に対して、木栖は特に気にするそぶりもなくスカイツリーからの空中散歩を楽しんでいる。


「地球の建築技術の高さを見せるのにはちょうど良いんだろうけどな、ここまで怖がられると技術以前の問題な気がする」


「というかなんでお前平気なんだよ」


「空挺やってるとこれくらいの高さから突き落とされるのがザラだから慣れた」


これだから自衛官は!!!!!!!




****




そんな訳で5時ごろに赤坂離宮へ戻ると、本日もパーティとなる。


本日は赤坂離宮に各国大使・公使を招いて地球と異世界の交流を推進することを目的とした交流会となっている。


が、その前にある事を伝えなければならなくなった。


「1日目の夜にご希望頂いたお土産のワインですが、現地の環境保全の観点から持ち出しの許可が降りなかったので別のものをご用意したいと連絡がありました」


1日目の宮中晩餐会で出した甘い赤ワインを土産にしたいという要望に対して、環境保全のため菌類の持ち込みにも気を遣っている日本側として許可出来ないという結論が出たのである。


「我々がワインを持ち帰る事が何故環境保全につながるのだ?」


「ワインの中に含まれる目に見えない菌類がそちらの国の環境を破壊する事を懸念する声が多いんですよ」


北の国側が要望してきたのだしその辺をガン無視して渡してもいいのだろうが、上の連中は話の一貫性を重視したのかもしれない。決めたのは俺じゃないから実際の都合は知らんが。


「目に見えないものに気を遣うとは変な国だな」


これは広い意味であんたらのためなんだが?と言いたい気持ちを抑えて、出来るだけ冷静に受け答えを続ける。


「代わりの品として真珠を検討しているのですが、いかがでしょうか?」


異世界ではまだ真珠の養殖が確立されていないのでパールネックレスは超高級品だし、元々プレゼント候補だったから帰国までに全員分用意出来る。


どっちかと言うと家族向けのお土産になってしまうが貴重な宝石なら文句も無かろう。


「真珠か、それならまあいいか」


「それと日持ちするお菓子などもご用意しますので、それでお納め頂ければ」


「わかった。ならそれで良しとしよう」


謎に気力を削られた状態で人のいない階段に腰を下ろすと、「……バッカじゃなかろかルンバ」というよくわからない独り言が漏れ出した。


俺もお前もあいつらもみんなみーんなバッカじゃなかろかルンバ!って気分になってきた。


「急な野村克也」


「お前も急に出てきてるだろうが」


「今回の俺の仕事はお前の伴侶兼補助担当としてそばにいることだからな。というか何で野村克也が出てくるんだ」


「割と野村語録って語感が良いから好きなんだよ。というか後2日続くのもしんどい」


「……パーティは極力俺が動くからお前は美味いもんでも食って休んどけ」

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