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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
2:大使館を作る(金羊国編)

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2-8

「嘉神たちの見たものについて聞かせてくれ」


そう聞くと嘉神は「分かりました」と短く答える。


「まず今回回った書店で聞いた話なんですが、ほとんどが盗品のようです」


「どういう事だ?」


「この国の人たちはほとんどが逃亡奴隷ですから、逃亡資金やここでの生活資金として使えそうなものとして宝飾品や高価な書籍を主人のところから持って行く場合が多いみたいです」


「問題になるんじゃないのか?」


「生活を一から作る苦労は全員分かってますから黙認というか公然の秘密という感じで済ませてるみたいです。国外での扱いは分かりませんが」


いささか闇を感じるがそうなると今回手に入れた資料もほとんどが盗品である可能性が高い。


とにかくこのせいで面倒なことにならないよう祈るほかない。


「南の国から来てる商人も黙認してるっぽいけどなあ」


そう口をはさんだのは納村だった。


「話聞いたんですか?」


「聞いた感じだと商人連中は盗品だと薄々気づいてはいても質が良いから黙認で、売る側は主への恨み晴らしとか退職金としてこっそり持っていった、って人がほとんどだった」


納村は両方の側から聞いたらしい。


色々面白い話を聞いていそうなのでこの辺りはいずれまとめて聞かせてもらおう。


「あと活版印刷があるようなんですがまだそこまで普及はしてないようですね、教会が主体で大陸中に広めているという事です」


「教会か、詳しい事は分かるか」


「大陸各地で聖書が作られていることが確認できたので影響力は大陸全土に広がると思われます。


基本思想としては『魔術は人間にのみ与えた恩寵である』『獣人は生まれ落ちた時から穢れを背負い、神と人間に奉仕することで救われる』って感じでおそらく獣人の扱いなどは教会の影響があるかと」


「変に関わらないほうが良いぞ」


木栖がそう告げるので「分かってる」と軽く答えた。


宗教はいつの時代も根が深く面倒であり、彼らの正義に俺たちが干渉したって仕方がない。


(まあ向こうが突っかかって来なければいいんだが)


最悪の事態を想定して多少調べておいたほうがよさそうだ。


「それとなんですが、金羊国内を視察できませんか?色々調べておきたい事がありまして」


「いいぞ、後日ハルトル宰相に許可を取ろう。スマートフォンあるよな?」


ネット回線など存在しない世界だが、一台あれば写真や動画を撮れるしBluetoothやポケットWi-Fiも持ち込んでいるので情報共有にも使える。


ただし日本や地球に無線LANの電波は届かないようなので大使館内のみにとどまるうえ、電力は足漕ぎ発電機と太陽光発電パネルに頼ることになるのがネックだが。


「はい、ちゃんと共有しますので」


納村が「私も行きたい」と愚痴を漏らすが「通訳官として大使館待機で」と返す。


コミュニケーション力お化けであり通訳官でもある納村には極力いてもらわないと俺が困る。


「納村は何か聞いたか?」


「とりあえず30人ぐらい話聞きました。身の上話が多いんであとでまとめますけど、私らに直接かかわるのは忌み子の話ですかね」


「忌み子?」


「こっちの世界だと黒髪黒目って呪われているとか破滅の予兆とか悪い風に取られることが多いみたいです。なんでも昔黒髪黒目の子どもが自分の魔術を制御し切れず街を滅ぼしたって伝説があるらしくて、それで捨てられたり教会に送られたりってのが多いみたいです」


昼間俺たちを見て怯えた店主を思い出し、もしかするとこの話も怯えられた要因かもしれない。


「黒髪黒目が原因で酷い境遇に置かれてここまで逃げてきたっていう子もいたんで、獣人の人らもお互い苦労したんだねーぐらいの感覚みたいですけど」


「なるほど。国外に出ることがあれば気を付けたほうが良いな」


有意義なディナーミーティングになったな、と思いつつ空になった食器に「ごちそうさま」と手を合わせる。


空の食器を片付けながら、そういえば俺のほうでも言っておくべきことがあったと思いだす。




「ああ、あとここにいる間は俺と木栖は夫婦という設定で通す。口裏合わせに協力してくれ」




「「「「はぁ?!」」」」


全員にビックリされた。


「そのほうが都合が良さそうでな、ここにいる間はその設定で通す」


「雑過ぎません?」


柊木医師が呆れ気味にそう呟いた。


「しょせん設定だからな、それじゃあまた明日」

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