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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
14:大使館は春を待つ

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14-6

久しぶりに北の国から連絡が来た。


送り主はアネッテ・ディ・シェーベイル宰相補佐官、ハルトル宰相誘拐騒動の時に知り合った女性である。


伝書鳩に餌と水を与えている間に手紙を受け取って開くと、昨今の石油の輸出状況についての近況の話が語られる。


黒油の湧出で畑作出来なくなった地域の人々は少額でも金が入っている事でなんとかこの冬を乗り越える足しに出来ており、黒油の輸出をしてない土地に比べて輸出をしている土地の方が2割程度死者が少ないと言う。


来年以降もこの黒油交易による外貨と食料確保を目指して黒油交易に賛成する領主を増やそうと目論んでいるらしいが、異世界との交易についてはまだ国内から偏見の目が向けられており大規模な交易に繋げるために協力して欲しいという相談であった。


北の国の王家も黒油の湧出で自国の農業が大打撃を受けている以上国民の食糧供給のための外貨獲得は必須である、という見解を見せており異世界人との交易は続けたいという考えらしい。


確か地球でも異世界産原油の輸入によりガソリン価格が下がり始めており、しかも最近天然ガスの存在も確認されだ事を紅忠の河内支社長から聞いている。


天然ガスを液化したLNGは石油よりも二酸化炭素排出量が少ないとされ、人気の高いエネルギー資源であり国としても確保しておきたい代物ではある。


しかし内容が内容だけに俺1人で決められる事ではない。


(……これは日本で要相談だな)


あと、北の国と日本での貿易を活発化させるなら挟まれる金羊国側も巻きこむ必要もある。


とりあえず手紙の返事として周りに伝えておくとのみ書いて鳩の足につけて飛ばした。




****




ハルトル宰相に会えないかと政経宮に向かうと、簡単な手荷物検査の後に会うことが出来た。


10分ほどお茶を飲みながら待っていると「お久しぶりですね」と言いながらやって来た。


「むしろ突然来て会えるだけ有難い限りです」


地球なら国のトップ相手に約束も無くフラッと来て会えるものでもないことを思えば、これで会えるのが奇跡と言っても良い。


早速北の国からの手紙を渡して読んでもらうと「なるほど」とつぶやく。


「ここに僕らも噛ませてもらえるんですね?」


「と言うより金羊国に日本とのトンネルがなければ不可能な交易ですからね、お話だけでもしておくべきかと」


「この場合の問題となるとやっぱり道ですよね……現状道の整備はあまり出来てませんし」


金羊国は道の整備が遅れているので現時点でも物流上のネックになっている事は紅忠側から聞いていた。


国際支援という形での整備も出来なくはないが大陸の他地域と整備に差がつき過ぎても良くないし、それに交易品目が石油と天然ガスのみならパイプラインと言う手もあるので検討中と言う状態である。


「その辺りはまだ検討段階でいいと思います、道の整備はどう頑張ってもすぐできるものでは無いですから」


「ですね。あとはこれで僕らがどの程度の益が認められるか、北の国からの入国規制解除もしていくかも検討しておく必要がありますね」


ハルトル宰相の言う僕らというのは金羊国の国民全体の事であり、私腹を肥やすことなく国民を食わせていく必要性を理解した発言は実に好ましく思う。


入国規制の件はハルトル宰相の誘拐事件の事で金羊国は北の国からの人間の入国規制をかけていた事が絡むのだろう、まあこれは国防だけでなくあの件に関わった周囲の心情も勘案する必要があるからすぐに答えはでるまい。


「そういうことです。ご協力お願いします」

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