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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
14:大使館は春を待つ

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14-2

冬の休暇の間にたまった書類に目を通して優先順位ごとに仕分けをしつつ、内容をざっくりと把握しておく。


トンネル工事については休暇中停止になっているものの日本の事務所は動いているらしく、資金がどうとか機材の持ち込みについての相談が来ていた。


特に面倒なのは大型重機等の持ち込みである。


重機についた土などから存在しない菌や微生物持ち込みのリスクがあるので日本に持ち込む際は洗浄して欲しいと環境省の担当者から話があったのだが、大森組がトンネル工事の性質上難しいという反論が出たのである。


そしてなぜかその仲裁としていま俺が呼びだされようとしていた。


「……めんどくせえ」


俺は何でも屋じゃないんだが?と言いたい気持ちを抑えて、思考を巡らせる。


これに関しては環境省側の言い分が正しいように思う。


金羊国にはいまだ未知の菌・ウィルスが多くいるとされており、そこ由来の病気が日本で流行れば日本や金羊国へのバッシングが発生する可能性がある。


そうなれば異世界由来の病気の流行は金羊国を産業振興の起爆剤にともくろむ日本にとっても、地球の科学技術で国を盛り立てたい金羊国にとっても不幸な事であり、望ましくない。


新品の重機を購入してこれは金羊国内部でのみ使う!と決めるのが一番手っ取り早いが、それをやると修理担当をいちいちこちらに連れて来る必要が起きる。あとは減価償却の問題や使用後の処分など問題はいくつか出てくる。


しかし金羊国産の未知の病原菌由来のパンデミックというリスクを脳内で天秤にかける。


(とりあえずこれは面倒でも環境省側に従って貰う方が良いな、説得が面倒だけど)


面倒だが優先順位の高い仕事として振り分ける。


次に来たのは金羊国での銃火器類訓練の進捗報告である。


これは木栖が外務省及び一般向けに用意したものらしく隅に『分からない部分があったら書き直すので教えて欲しい、問題がなければ外務省側に提出して欲しい』と書いてあった。


専門用語には補足をつけ、わかりやすくするための模写やグラフも描きこまれている。


目を通した感じだと読みやすい文書といっていいように思う。


これは優先順位をつけず提出する書類のかごに入れておく。


今年秋の留学生募集についての書類も来ていた。


昨年留学生を引き受けた北米・欧州・中国が今年も留学生受け入れを希望しているらしく、今年は韓国が追加で受け入れ希望を出したらしい。


さらに労働力不足気味の国が獣人を労働力としての受け入れできないかという打診までしているらしい。


全員と共有の必要ありだがまだ少し時間があるので優先順位低めのかごに。


あとは毎月渡している金羊国の土壌サンプルが足りないだとか、金羊国滞在中の日本人との通信手段についての問い合わせ、大使館の収支報告を出せとか、とにかく延々と出てくる書類にげんなりする。


この国には仕事が湧きだす間欠泉でもあるのだろうか?


そんなくだらないことを考えながら書類を仕分け、誰に何を振り分けるか考えるのだった。

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