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異世界大使館はじめます  作者: あかべこ
13:真柴春彦の冬休み

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13-1

紅葉の季節が終わり、晩秋から初冬へ足を踏み入れる11月半ば。


金羊国大使館には今月分の手紙がまとめて届いていた。


「これで今月分の手紙は全部ですね」


「ありがとう」


月に1度納村は金羊国大使館から東京にある大学病院に通院しており、そのついでに外務省に転送された大使館メンバー宛の手紙や荷物を持ってきてくれる。


緊急性が低く私的な手紙が全員に届くこのタイミングは大使館メンバーにとって心休まるひとときでもある


俺の手元にも毎月叔母から近況報告の手紙が届き、施設での母の様子やいとこたちのくだらないエピソードを読んでその光景を思い浮かべると心が和んだ。


稀に俺の事を聞いた地元の同級生からの結婚式や同窓会のお誘いや、家の事を任せてる不動産屋や母のいる施設からの業務連絡などもある。


俺宛の手紙を精査していると、見知らぬ宛先からの手紙がひとつ出てきた。


「真柴幸輔ましばこうすけ……?」


地球から俺たちに手紙を送る場合、手紙は一度外務省に転送され危険物の封入チェックが行われるので見知らぬ人からの嫌がらせ目的の手紙はほぼシャットアウトされる。


たまに刃物入りの手紙だとか自称異世界人からのおかしな内容の手紙などあったのでこのような対策が取られている。


そこをすり抜けているので恐らく問題はないはずだ。


「どうした?」


自分あての手紙に目を通し終えた木栖が俺のほうを見た。


「いや、見覚えのない宛先からの手紙が入っていたからつい」


「外務省のチェックは通ってるんだから大丈夫だと思うがな」


注意深く封を開けて中に異物がないことを確認すると、手紙を開いた。




真柴春彦様


年の瀬の騒がしい時期に突然のお手紙を失礼申し上げます。


自分は神戸に住む一介のしがない勤め人で、真柴幸輔と申します。


なぜこのようなお手紙をお出しすることになったかと申しますと、今年の6月ごろに外務省による身辺調査の一環でジーン社の遺伝子調査キットを用いて遺伝子検査を受けられたことはお覚えでしょうか。


夏休みにその遺伝子検査キットを使った私の娘・なな恵と真柴様が親族関係に当たると判明し、夏以降自分たち父娘で親族関係をあたっておりました。


調査の結果、真柴様と自分は祖父同士が兄弟に当たるとのことで自分としてもこのような親族関係があるとこの度初めて知ることになりました。


つきましては、ご多忙かと思いますが一度親族として御目文字叶えばと考えております。


調査結果の家系図と連絡先の番号を同封いたしますので、ご一考いただければと思います。




その手紙を見てようやく遺伝子検査の事を思い出した。


(外務省からの身辺調査で親族を洗いなおす、って言われたなそういや……)


身内からも疑いをかけられたことへの気落ちが大きすぎて忘れていたが、身辺調査の一環で遺伝子検査を受けた記憶はある。


しかしそれで父方の親族が見つかったとは聞いていない。


自室に戻って遺伝子検査について資料を封筒から引っ張り出すが、親族関係はほとんど見つかっていなかった。


しかし注意事項として『親族については定期的にウェブサイトの確認を推奨します』という記述があった。


同封の別資料によると、この遺伝子検査の情報は定期的に更新されるそうで俺よりも後に遺伝子検査を受けた人の中に親族がいれば更新されるらしい。


「要確認事項が増えてしまったな」


しかし、長らく謎だった父方のことを知ることが出来るかもしれないと思えばほんの少し好奇心がくすぐられるのも事実だった。

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