転生したら優しい勇者だった件
転生したら優しい勇者だった件
俺は疲れていた、別に人間関係とか仕事がブラックって訳でもない。
俺は最近、神?の声が聞こえるのだ、それがお風呂に入っている時、仕事をしている時に聞こえてくるのだからたまったもんじゃない。
そいつは、ずっともっと幸せに…っと言っている、だが自分の声はそいつには聞こえていないのだ。
(あ〜もう、鬱陶しい)
そんな感じで今俺は駅のホームで電車を待っている。
その時だった、危な〜いっと自分の隣に居た人が自分に手を伸ばしていたが、いまいち理由が分からなかった。
次の瞬間、俺の目の前にファー!っと警笛を出した電車がいた。俺の視界は白とも黒とも言えない何も無い世界にいた。
その時、例の神が姿を現した。その神はここがどこなのかを教えてくれた。
「貴方は今から優しい心と悪き心を分ける」
何を言ってるのか分からなかったが、自分の中から何か半分出て行ってしまったと言う感覚は分かった、そして神は続けた、優しい貴方は勇者になり悪き心の貴方は何をするか分か@jPt.☆途中からなんと言っているのか聞こえなくなり、意識が遠のいていった。
転生したら優しい勇者だった件
一話「勇者」
気がつくと、田舎?っぽい森に居た、俺は近くに何かないかを探した
グガッーっと謎の雄叫びが聞こえる、なんだ?と近づくとそこにはゴブリンが居た。俺は怖くなって尻もちをついたが、そのゴブリンは襲うどころかまるで、犬のように甘える仕草をした。
そして俺の手は自然とゴブリンの背中に引き寄せられ、撫でていた。ゴブリンは嬉しそうに笑っている。見た目こそ怪物そのものだが、悪い気はしなかった。
そうしていると、自分の右目にゲームでよく見るメニューが表示された。
体力、魔力量、攻撃力、防御力、魔力、素早さなどのスタンダードなものに加え、kind(度)というステータスがあった。
スキルはブレンディーソウル(友情魂)らしい、力はあらゆる生き物から好かれその力を操れるというものらしい。
試しに、ゴブリンに人に見つからないようにしつつ、の集落を探すよう頼んでみると、ゴブリンは瞬く間に森へと消えていった。先程とは比じゃない。
どうやら俺には欠けた者の潜在能力を向上させる能力があるらしい。
数分待っているとゴブリンが戻ってきた。どうやら集落が見つかったらしい。
そして、何か新しいスキルを覚えた、ブレンディーボイス(友情声)これは人間以外の喋れない者にのみ使えるようで、俺は早速その能力を使った。
「見つけてくれてありがとう……案内してくれるって?本当に助かるよ」
ゴブリンが誇らしそうに自分の胸を叩いた。そして爆速で走って集落についた。ゴブリンは人間に見られるとまずそうなので一旦下がってもらった。
門番が
「おい、そこのお前何者だ!」
「遭難者です、助けてくださいませんか?」
「お前、本当に人間か?その森には恐ろしいゴブリンの里
の縄張りで入ったものを絶対に逃さないと噂なのだ」
「運が良かったんですかね」
へ~っと疑いの目で見られたが、何とか入国を許してもらえた。
町に入るといかにも城下町のような雰囲気だった。果物屋のおばちゃんが客に呼びかけ、武器商人が剣などの武器を磨いている。他にもさまざまな店が立ち並び、子供は走り回って、その母達は話して笑っている。
更に奥の方まで歩いていくと、占い師の店があった。別に興味は無いが、この世界の事が分かると思って入ってみた。
店内は紫や赤、青や黄色が溶け込んだような色をした部屋だった奥には占い師のおじいちゃんが座っていて、
「お客さ……ブワァっ?!お客さんから勇者の気配が
ッ?!」
「ま、勇者と言っても、別にこれといった力がある訳では
無いですが、とにかく貴方には勇者としての素質があ
る」
「ちょっと待ってください!勇者ってなんですか?」
「細かい事はワシも分からん、だがあんたただもんじゃ無
いよ」
「そう……ですか」
「とにかく、ここはいい町だしばらくゆっくりするとい
い」
「はい、ありがとうございます」
そうして、俺が店を出た時、何人かの兵隊達が俺の前に現れて、「王様が貴方をお呼びだそうで…」と言った。ついていったほうが良さそうだ。ついていった。
城内部は、とても綺麗でシャンデリアがギラギラと光っていた。
「では、こちらに」
そして俺は王室の間にとうされた。
立派なひげをはやした厳格そうな王が玉座に座っている。存在感が尋常じゃない。
「早速だが、君は言わば転生者、この世界の救世主と言う
わけだあ」
王の低く重い声が響く。
「この世界に君が召喚される前……」
と言って王様は窓の外を見て、睨むように魔が魔がしい雰囲気の建物を見ていた。
「単刀直入に言おう、君の力は全てを幸せにする力、あの
城にいる魔王バドラーは全てを悪に染める力なのだと言
われた」
「それで、私にどうしろと言うのですか?」
「君のその力で我が国に攻めよとする魔物達を倒すのでは
無く、あくまで退けると言う型をとって欲しい」
「つまり、誰も殺すなということですか?」
「あ〜君にとってもそっちの方がいいだろぅ」
俺はその言葉の意味が分からなかった。
「……っと。そうだ。転生者だから金が無かったか。はじ
めから資金は渡すつもりだったが、早急に用意するとし
よう」
そう言えばっと、あのゴブリンがどうなったか気になり、資金をもらって城を後にした。ゴブリンは元気そうだった。
よしよしと頭を撫でているとゴブリンが光だし、姿が変化した。
「ちょっと待てや」
え?となって戸惑う元ゴブリンだったはずの奴がハワハワとしている。
なぜ服を着ているのか、その謎を解き明かすため、我々は魔王バトラーの城へと歩みを進めた。やってること何も変わってないけど。転生したら優しい勇者だった件
二話「旅立ちと名もなき集落」
城に近づくに連れて、周りの雰囲気がどよんだ空気になった。王様からもらった地図を参考に考えると、間もなく街につくはずだが。ゴブルが少し警戒したような顔を町の方を見ている。
人間が怖いのだろうか。俺は「怖いなら無理しないでいいよ」とゴブルに伝え、街に入った。
店は前の街よりは少なかったがそれなりにあった、しかしほとんどが炭や、小さな野菜がほとんどだった。人々も少し苛ついているように見える。俺は一度町の入り口に戻りゴブルを連れてその町を後にした。
「もう少し先の町で休もう」
本来ならこの街で停まる予定だったが、こうも殺伐としていては致し方あるまい。俺たちはもう一つ先の街まで行くことにした。
地図を見るに、夕暮れ時にはつくだろう。暫く歩いていたが、しかしまあ、景色が変わらない。薄暗い森の道が続くばかりだ。
あまりにも変化がなく、気付いたら日が沈みかけていた。だが一向に街は見えない。縮尺がおかしかったのだろうか。そうだとしたら困った。いったいどこで夜を越せばいいのだ。体中に寒気が走り、冷や汗が頰を伝う。
しかし、不幸中の幸いか、ゴブルが集落を見つけたと報告してくれた。地図にそんな場所は載っていなかったはずだが、今は夜を越すことが肝心だ。行ってみるしかない。
ゴブルの案内で村が見える場所まで来た。と言っても暗くて状況はよくわからないのだか。
……なぜだ。明かりはないのか。まあいい、行こう。
村に入る。そよ風の音だけが聞こえる。静かだった。勇者の力か知らないが、暗闇の中でも5m先くらいまでは見える。
家らしき陰が複数あった。
一番近い陰に近づくと、家の中から突然足音がし、蹴り飛ばしたのかと思うほどの勢いで戸が開けられた。俺は反射的に仰け反った
目の前には背丈の低い中年の男がいた
男は俺の足元から顔までを見て、
「あんた旅の人だろ。泊まってけよ」
と親指で家の中を指した。
「いいんですか?」
「もちろん」
男の視線は俺の手元を向いていた。
転生したら優しい勇者だった件
三話「悪意の集落と狂気の少女」
「まあ、疲れてるだろうから、はやく寝な」
「では、お言葉に甘えて……」
俺は眠りについた
……ガサゴソ音がして、俺は目が覚めた。まだ夜だ。だが音はする。
なんと俺の目の前には、俺の鎧を運ぶ男がいた
「何してんだ?」
「……っ?!なぜだ、もう目が覚め……」
「何してんだって聞いてるんだ!剣も荷物もねぇんだが何
してんだって」
男は黙ったままだ。
「どこにやったんだ!」
「知るかよっ」
「くそっ」
俺が外に出ようとすると、
「おいおい、夜は魔物が活発になるのを知らねえのか、馬
鹿が」
と聞こえる。外に出るなってことか。流石に大勢の魔物が来たら管理できるかわからない。被害者を出さないためには止まるほかなかった。
あさが来た。生憎曇り空である。
「旅の兄ちゃん、おれ、色々お前にしてやったよな」
「はあ?」
「村の警備をやれ、鎧は預かる」
「はあ?」
「やらなかったら殺すぜ」
思わず俺は舌打ちをしたが、断る権利はなかった。俺を消したいみたいだな。だが、多分能力でなんとかなるだろう。
「装備は、返してくれるよな?」
「生きてたらな」
俺は村の警備に当たった。一人で、だ。やはり俺を消したいらしい。
その時、ふとスキルパネルを見ると新しい技を習得していた。ブレンディーボディーは、契約している、モンスターの力を使える、いわゆる、悪食というヤツだ。スキルの特性…契約しているゴブルは足が早くしゅんびんなので、自分もそれが利用出来るらしい。この、スキルってどんな感じなんだ?っと村外れのゴミ捨て場に少し錆びついた双剣があった。だが全然使えそうだ。
俺がその、双剣を握った時に双剣が光った。剣が緑色に光って、いきなり軽くなり早く剣が振れたのだ。そして、俺は気づいた。足が早くなっている事に。もう浮いてるんじゃないかって思うくらいのスピードで俺は村の外に出た。
案の定、モンスターはたくさん居た、何体かは操れたものの、かなり強力な邪気をまとっている奴らだけは操れなかったので、風の用に巨大なモンスターの足を切断した。モンスターは徐々に肉体が崩れて消えた。
その他の操ったモンスターはもうこの村には近寄るなと指示を出し帰らせた。そして、俺はカッコ付けて双剣を高々の上げ「勝ったぞ〜」と言った。
まあ、周りには誰もいないんだが。そろそろ村に報告に行く時間だ。
あいつらはどんな顔をしてくれるのだろうか。それを想像すると口元が緩んだ。いかんいかん。
村に近づくに連れ、生贄だの血祭りだの物騒な単語が頻繁に耳に刺さるようになった。俺のことだろうか。だとしたら笑い話もいいところだな。
村に戻ると、中心の広場に人が集まって騒ぎ立てていた
やはり不快な単語がよく聞こえる。そこにはあの中年の男もいたので、俺は男のかたを叩き、
「終わりましたよ」
「何?!何故生きてる?!」
「そりゃあ、まあ、勇者ですから」
「くっ……」
「たまたまだ!今日中にはお前は死……」
「なないですよ、俺は動物を操れるので」
ゴブルが俺によってきて、頭を垂れた。
「というわけで、もう魔物はやってこない、仕事は終わ
り。……つーわけで、はやく俺のモン返せよクソジジ
イ」
「クソッタレが〜」
「いいからはやく返せ」
「大変だ!あのガキがいねえ!」
突然遠くから男の声がする。
「ガキが、いない?」中年の男はニヤリと笑って、
「お前に新任務だ、女のガキを探してこい!」
「装備はそれまでお預けだぁ!」
「はあ?ふざけんなよ。第一、どの女のコかわかんねえだろ」
「ここに女なんてほとんどいねえよ。ましてや、動き回って外に出るクソガキなんて一人しかいねえ」
言われてみれば、広場には女の影など一つもなかった。
俺は返事代わりに舌打ちをして森へ向かった。
とりあえず、俺は森に入りモンスターに女の子を探させた。しかし10分経っても何も反応が無く、女の子は見つからなかった。
向かわせたモンスターたちも戻ってきた。……何匹かいないな。10分ほど待ったが戻って来ない。残ってる者たちに、再び捜索に向かうよう頼んだ。
……またか。また数が減っている。……殺されたか?だとしたら群れで向かわせてやるか。
そうしたことを何回か続けた。四回目までは群れの数は減らなかった。だが、5回目にはついに一匹も戻ってこなかった。
恐らく、魔物の群れを全滅させるほどの何かがある。これだけは推測できた。強大な力を持つ魔物か、あるいは魔王の手下か、わからないが何かがいる。女の子も見つからないということは多分、そういうことだろう。
日も沈んできている。戻る他なかった。足が重かった。
とぼとぼ歩いて村にたどり着くと、俺はうつむきながら報告した。
「言いにくいけど、多分、亡くなったよ、女の子は」
だがその反応は驚愕のものだった
「あ、そう。ま、でも今考えたら、死んでも問題なかった
な、あいつ」
あまりにも呆気なく、冷たい返事だった。身の毛がよだつという言葉がここまでしっくりくる場面に今後出くわすことはないだろう。そう感じるほどだった。
「何いってんだよ」
「いや、もともとアイツを捕まえたかったのは、ほら、あ
れ見ろよ。あの女みたいに使う予定だったんだ」
「……使う?」
男の指さした方を見る。すると口を紐で縛られ、腕を拘束された女が男二人に連行されていた。女はやせ細っており、抵抗など何もできない状態であった。
「始まるぜ」
中年の男はニヤついた。悪寒が走った。嫌な予感がする。何も起きるな。起こらないでくれ。女がこちらを見つめる。何かを訴えかけるように。やめろ。始まるな。何か知らないがはじまるな。いや、早くしろ。安心したい。いや、やめろ。泣くな。こっちを見るな。俺を巻き込むな。やめ…、
女の腹に棍棒が飛ぶ。
瞬間どっと笑いが起きた。隣の悪魔も笑っている。悪魔が寄って集って女に暴行を加え、嗤っている。吐きそうになり、思わず口を抑えた。
女は必死に口を開けようとしていた。助けを求めていた。だが無慈悲なことに悲鳴は笑い声に掻き消されている。誰も助けやしない。
血が溢れている、骨も滅茶苦茶になっている。女は立っていることさえままならない。
俺の視線が横の悪魔に移った。……憎たらしいツラしやがって。
「何してんだよ……お前ら」
「あ?遊んでるだけだよ、ふへはははは」
「何笑ってんだ……。何笑ってんだよ!」
隣の中年を殴った。
「ってーなぁ!何しやがるんだクソ野郎!」
「お前らがやってたことだよ、悪魔が!」
もう一発殴る。今考えると最悪な行動だった。なんで助けなかったのかって。
「死んだーー!!死んだぞー!!」
先程とは比にならない大きな笑い声が響いた。
女は死んでいた。原型を保っていなかった。ただ、吐き気を催す笑い声だけが残っている。
今更もうなんの意味もないのに、俺の足は女の方へ向かっていた。どう考えたって手遅れだ。なのにこいつはフラフラ進んでいる
「おい、お前!ガキ見つけられなかったんだから、夜も見張ってろよ」
普段なら反発していただろう。だが從ってしまった。何かに押されて、從ってしまった。夜も更けて木々のざわめきが鬱陶しくなってきた。
何だか疲れがすごい。異常に眠い。起きなければ起きなければ……。そのまま眠ってしまった……。
目が覚めた、熱い。背後から熱を感じる。悲鳴が聞こえる。
村は燃えていた。急いで戻った。中年の男が鼻水を垂らしながら逃げていた。
「おい、助け……」
男の頭部が血液の花火となって消え去り、ゴトッという音がした。見ると返り血の付着した頭くらいの石がある。
少女の笑い声が聞こえた。あまりにも純粋な、汚れを感じない笑い声だった。
「どこかな、どこかな」
弾んだ声がする。
「あ、いたー、えいっ!」
愉快な声とは裏腹に肉の裂ける音と断末魔が鳴り響く。
「えーっとぉ、あと……7人かな」
少女はどこだ、どこにいる。
「みーつけた」
断末魔が2つ。
「あっ、らっきー」
3つ。
「えい!」1つ。
「……はぁ〜終わり終わり!こんなに愉しかったんだ
ね〜」
「……あっ!あと一人!忘れてたぁ!……何だもう焼け死んでるじゃん!変なの」
少女は「うーん」と体を伸ばした
「おい、そこのお前……」
少女は振り返り、「おじさん誰?」首を傾げた
「随分、楽しそうだな……」俺は皮肉を込めて言った。
「うん、すごく楽しかったよ!で、おじさん誰なの?名前
は?」
「……ハドラーだ」
「私はね、えっと、あっ、名前なかった、ごめんね!」
「名前か…君歳は?」
「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11……13!あっ、違う12歳だよ!」
「まぁ、歳はともかく、君は何をしている?」
「おじさんたち殺して遊んでた!」
「人殺しが、楽しいのか?」
自分でもわかるくらい声が震えていた。
「楽しいけど……それよりハドラーおじさん、大丈夫?顔
色悪いよ?」
少女は心配そうにおれの方を見ている。
「人殺しが、楽しいのに、人を、心配するのか?」
「うん、するよ?」
「人を心配できるのに、人を殺せるのか?」
「うん」
「おかしいよお前」
「どこが?」
「人を、殺せる、ことだよ……」
「おかしくないよ」
「え……」
「だって、普通でしょ。おじさん達は、女子供をなぶり殺
しにしているとき、すごい楽しそうな顔をするの。あ
あ、私はきっと、このために産まれてきたんだって言わ
んばかりにさ」
「特に反抗的な人をいたぶるときは特段表情が明るかった
よ。すごい楽しそうで、私も混ぜて欲しかったのに、お
じさん達混ぜてくれなかった」
「そればかりか私を玩具にしようとするし、他の人も必死
こいて私を身代わりにするの」
「……ムカつくでしょう?」
流石にびびった。
「だから殺した。だがら楽しかった。……おかしいのって
ハドラーおじさんの方何じゃないの?」
確かに言っている事にほとんど間違いは無いが…見た目やさっき見た光景が脳裏をよぎり少し身震いしてしまった。
「いや……でも……」
「でも……って、生きたいって、楽しいことしたいって思
った私がわるいの?」
不安気な眼差しを受けた。
「いや、そんなことはない。その感覚は普通だ、生きたい
って思うのは。とりあえず最後まで聞いてくれ、いい
な?」
「……わかった、聞く」
思ったより素直で助かった
「よし。ではまず1つ、君は、自分が普通だって言った
な?」
「うん」
「でも世の中の人間の大多数はどっちかって言うと君より
俺に近い感覚をしているんだ、人殺しに関してはな」
「……ここの外にも人がいるの?」
「ああ、いる」
知らないのか。しかしそうなるとおかしな点がある。どうして中年の男は俺に対し旅の人と言ったのか。見当もつかない。
「……私って、変なの?」
怯えているような表情で少女が訴えた。
「……」
答えが浮かび上がらなかった。傷つけ過ぎたかもしれない。ただ、この少女をどうにかしてやりたいと思っただけなのだが。
「……どうなの?」
「……いや、それ以前に、本当に外に人っているの?おじ
さんも、姿を現さなかっただけで、本当はここの人なん
じゃないの?」
「……外に人がいるのは本当だ!俺は外から来た」
「じゃあどうやって生きているの?ここの外で生きていく
なんて不可能なはずでしょ?!」
不安を掻き消そうとしているのか叫ぶような声で畳み掛けている。
「ここ以外じゃ武器をくれるところもないし、無理でし
ょ?!そうでしょ?!」
「くれる?作るってことか?」
「作れないよ!!普通のことでしょ!!」
「いないよ!外に人がいるなんて絶対嘘だ!私おかしくな
い!おかしくなんかない!」
武器が作れない?人工物だぞ?そんなことがあるはずがない。おかしい。どういうことだ。……まさか……
「わかった、わかったから泣くなよ。……なあ、1つ聞きた
いんだが、武器をくれるのは誰なんだ!」
「……おかしくないもん」
「だから、武器は誰が……」
???「私がくれてやったのだよ」