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第三十四話 5年後の自分 〜未来〜

わたしは、ハッキングしてなんて言ってない。なのになんで京子たちはハッキングしたんだ。

もう!どうなってんのよ!


「桔梗、誰から命令されたの?」

「ボスです。ボスから連絡がきて、ハッキングしろと…」

「わたしの声で?」

「はい。」


えっ…なんで!?


「ハッキングはやめて、こちら側の回線も閉じておきましたが…」

「うん。わかった。」

桔梗は嘘を言ってない。

だとしたら、一体誰がわたしの真似をして……。


その時だった。


『もしもーし、無線聞こえてる?』






ずいぶんと呑気そうな、わたし自身の声が聞こえてきたのだ。



「だ……だれ!?」

『誰っておいおい、わたしはあんたよ。5年後のあんた。』


………はいぃ?


『ソノオがね、時空通信機の開発に成功したのよ。だから、早速連絡してみた。』

「な、なんの話よ!」

『未来の話。あなた知ってるかわかんないけど、このままだと確実に抗争が起きるんだよ。』

―!

『だからわたしは、雲雀さんに協力してもらって時空通信機を作ってもらった。』

「それを止めるために、連絡したってことね?」

『その通り。だからちょっと試させてもらったわ、ごめんね。』

試す?

あぁ!もしかしてこの人がハッキングしろって言ったのか!?


「……ボス」

桔梗が、無線機を通して聞こえる5年後のわたしに話しかける。

「あなたは今、どこにいるんですか?」

『5年前。こっちは大変なんだよ桔梗ちゃん。機材もろくに無いし…あ、でもこれ変声機付きだから誰の声でも…』

「ボス、まさか変なことはしてないですよね。」

桔梗の声が低くなった。

『やぁーねぇ。変なことって何のことかな。』

「ザクロと自分に会ったりとか。」


沈黙だった。

そして、5年後のわたしは答えた。


『変わんなかったね…ザクロも桔梗ちゃんも。』


つまり、会ったのだな。

ちょっと羨ましい。


「はぁ…厄介なことになる。」

『まぁそう言わずに。で、春ちゃん。何か対策はあるのかしら?』

試してるな、これは。

「正直に言うと…パァです。」

『ほほう』

「でもあなたの登場で、おもしろいことが思いつきました。」

ニヤリと笑うわたし、ふふふ、おもしろいこと、思いついちゃった!




――――……

「なぁザクロ、お前最近よそよそしくないかぁ?」

「あぁ?気のせいだろ。つーか、ジューダの奴俺らのこと散々パシリやがって…」

「つくずくムカつくやろーだよなぁ。」

俺たち、ダートファミリー暗殺部隊は、本部のとある部屋で愚痴をこぼしていた。

まさかこの後、とんでもないことが起こるなんて想像もしないで。


『ダートファミリーの暗殺部隊に告ぐ、我々ディアモファミリーは、三日後に攻撃を開始する。それまでにせいぜい卑怯な作戦でも考えてんだなぁあ!!あーっははははは!!』


なんか、すごくガキっぽいアナウンスが本部に響いた。

しかもそれが、ディアモのボス直々のものだったせいか、一気に俺たちのディアモに対するイメージが崩れた。

「な、なんだよこれ。なめてんのか?」

「ちげぇと思うが、一応ジューダに報告しておこうぜ。ザクロ、それでいいだろ?」

しかし、俺はここで違和感に気づく。

もしかしたら、桔梗や宇都宮春は俺の意志に気づいてんのか?

俺がダートの情報を少しずつソノオに送ってること、パスワードを解読したこと。

全部、気づいてんのか?

「…ジューダには報告すんな。俺たちで片付けられる問題だ。」


にしても、なんかおかしいな。

宇都宮春にしては、馬鹿な作戦だ。

まぁたかが10代の女の考えることだし、そこまで気にする必要もねぇか。


「ザクロさん!大変です!!」

「あぁ?」

いきなり俺たちのいた部屋に、部下が転がり込んできた。

「どーした。」

「この暗殺部隊の情報が、全部デストラクシャンにバレてます!」

「あぁ!?」

「それと、先程のザクロさんの命令通りに第1、第2、第3、第4部隊を全て雲の森に向かわせましたが、一体どうなさるつもりですか?」

「ゔおぉぉおい!俺はんなこたぁ言ってねぇぞぉぉおお!」

「で、ですが先程確かにザクロさんの声で…」

そのとき、俺のなかで何かがひらめいた。

「まさか、ディアモ…?」





「にひひ〜、さっすが5年前のわたしね。まだまだ悪戯心が残ってんじゃない。」


「春、いつまで遊んでる気?」


「あー、すんません雲雀さん。こっちも色々やることありますもんね!」




過去と未来、そして現代で巻き起こる争い。

全てが、三日後に終焉を迎えることなど、まだ誰も考えてもいなかった。




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