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第二十八話 絆弾 〜未来編〜

「…久しぶりだな、春日京子に居町司。」


あたしたちは、ダートファミリーの奴らに睡眠薬を嗅がされた。

そして気づいた時には、ここにいた。

「あなた、確か5年前にアルマーノにいたわよね。」

「さぁ、どうだったかな。」

「俺たちを殺すなら、さっさとやれよ。」

司も、相手の正体を知ってから不機嫌だ。

「殺すなんてとんでもない。君たちにはここで働いてもらおうと思ってるよ。」

―!?

「はぁ?何言ってるわけ!夢見てんじゃないわよ!」

言ってやった。すると

「はははっ、何言ってるやら。君たちは俺たちに協力するよ。嫌でもね。」

悪寒がした。

「なに、言ってるの?」

「…ははは。」


そこへ、扉が開いてある男が入ってきた。

「よぉっ、ボス。ガキ相手になにてこずってんだ?」

「―!!」

「あなた!!」

「うるせぇガキ共だなぁ…せっかくさっきは助けてやったのに。」


な、なんで。

「そんなっ…どうしてっ…」

「うるせぇな。俺は、最初からこのファミリーに所属してたんだよ。」

ありえない。

ディアモの中に、裏切り者がいたなんてっ…


「いい根性してるよねぇ。まさか、ディアモの幹部になって帰ってくるとは思わなかった。」


宇都宮に知らせなきゃ、早く教えなきゃ!

「逃げようとするなよ。そん時は、お前らに怪我させちまう。」


――!!


宇都宮、早く来て。

あなたに言わなくちゃいけないことがいっぱいあるの!

「おもしろくなってきたぜぇ。宇都宮春。」


ニヤリと笑う彼は、ディアモの制服を脱ぎ捨て、ダートファミリーの制服に着替えた。

「頼んだぞ、ダートファミリー暗殺部隊隊長、フォン・ザクロ。」


「任せときな。」


っ宇都宮―………!!!





「瓦礫の教会ってここか…。」

わたしたちは南へと向かい、瓦礫の教会を見つけ出した。

近くに何かいないか用心深く探る。

「地下に基地があるって言ってましたよね、剛平さん。」

「自分が先に行きます。」

桔梗が先頭に立つ。

わたしと雲雀先輩は後ろでその背中を見ていた。

「……何か、いますね。」

桔梗がつぶやいた。

ギィ…!

「ミンクも威嚇してる…」

「敵が近いのかもしれません。気をつけてください。」

目を凝らしてよく周りを見た。

すると、柱の影から、ザクロの姿が!

「ザクロ!大丈夫ですか!?」

慌てて桔梗が駆け寄る。

「…ぁ…あぁ。いきなり、あいつらが暗殺部隊を呼びやがったんだ…。へっへへ…さすがにビビったぜ。」

―!?

あいつら。春日と居町のこと!?

「ザクロ!今の話は本当なの?」

「あぁ。ボス、あいつらは暗殺部隊を使って攻め込んでくる気だ!」

「!?」

あの二人が、仕組んでた?

「証拠は……」

「ぁん?」

「証拠は!?あの二人は、本当に暗殺部隊とグルなの?」

どうする。

ザクロを信じるか、あの二人を信じるか。

「ボス、どうした?」

ザクロが言う。わたしは無言のまま、ザクロの額に指をつけた。

お母さんがよくやってくれた、嘘を見抜くおまじない。


「本当に?」

―ピクッ

眉が少し動いた。

わたしは仲間を疑いたくない。

でも、仲間を裏切る奴は許さない。

「嘘ついても、無駄よ。」

「……くっ……ははっ」

ザクロが笑いだした。

「バレてたか。さっすが宇都宮春。」

―!?

「お前の情報は全部ダートに送らせてもらったぜ。くっ……ははっ…」

なぜ笑うのかはわからない。

でも、なんだかいい気分じゃないのは間違いない。

「ザクロ、いつからダートファミリーになっていたんですか?」

「おぉ桔梗ちゃん。いつから?んなもん生まれたときからに決まってんだろ。」

「ではなぜ利用した!!?」


桔梗が怒鳴った。

ここまで怒りを露わにしている桔梗を見て、わたしもムカムカしてきた。

「春、どうやら君は信頼していたようだね。」

「………。」

「いい経験になっただろう?これに懲りたらもう仲間なんて作らないことだな。」

雲雀先輩までもがわたしに忠告する。

なぜ?人を信じることができないなんて、そんなの不公平。

神様は、いじわる。

「ザクロ、二人のところにわたしたちを案内しなさい。」

キッと睨みつけながら、わたしはザクロに言った。

「それはできねぇ。お前等は、ここで…」

ザクロが懐から、鉄の爪を取り出した。

それを指に装着しながら、つぶやく。

「消す。」


そう言ったザクロの目には、覚悟があった。


だからわたしは、目をそらせなかったのかもしれない。

彼がわたしを敵に回すと言うのなら、わたしはあなたを全力で倒す。

力の差は大きいし、わたしはまだ子供ガキ

でも、でもわたしは



「来なさい、ザクロ。」


わたしはチェックメイトガンを構えていた。

強く強く。


そこに光るのは、絆弾。

みんなとわたしを繋ぐ、糸。

切らせない。あなたとの糸も。



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